無理のない食事と運動で脱肥満 中高年向けダイエット法

梅雨が明け、夏本番を迎えると薄着になる機会が多い。そこで気になるのが、たるみきった体やお腹まわりの贅肉。また、春に受けた健診の結果で、ダイエットの必要性を感じている人も多いだろう。
 「一昔前から欧米では、“太っていると出世できない”と言われました。自分の体を管理できない人間が、管理職として部下を管理できないとみなされているからです。日本でも健診で肥満などの結果が出ると、出世が遅れたり、賞与がカットされる企業が増えているようです」(健康ライター)

 そうした中、巷には様々なダイエット法が溢れている。
 「これまでにも、毎食りんごのみを食べるりんごダイエットや、朝食にバナナを食べる朝バナナダイエットなどが流行しましたが、流行っては消えていきます。昨今話題となっているのが糖質制限ダイエット。これは白米や食パンといった精製された炭水化物や糖質を避けることで減量を目指す方法です。これに関しても賛否両論の意見があります」(同)

 また、ダイエットや健康維持のためにランニングやウオーキング、ジム通いに励む人をよく見かける。しかし、いざダイエット法や運動を始めても、三日坊主で終わってしまことも少なくない。病院でダイエットをしようにも、保険適用でなければ、高額な自費診療などに尻込みしがちだ。
 しかし、横浜や大阪、北海道で肥満治療・ダイエット外来を展開する北星クリニックでは、生活習慣病に罹っている人が保険適用でダイエットの指導を受けられる。
 「保険適用の対象は、生活習慣病や肥満症の方です。肥満は、日本ではBMIが25以上を指し、肥満症は、肥満に原因があります。関連する健康障害を合併している場合、あるいは合併が予測される場合には、医学的に減量治療を必要とすると定義されています。つまり、体重が多いことが原因で、血圧や中性脂肪が高い、糖尿病を患っていることも肥満症と言います」
 こう説明するのは、同クリニックの理事長で医学博士の島野雄実氏。

 病院で肥満治療と聞くと、手術や減量用の薬を処方されたり、運動を求められることを想像しがちだが、実際にはどのような治療をするのだろうか。
 「日本では、ダイエットに関して薬物療法、食事療法、運動療法、行動療法の4つが推奨されています。当院では4つを組み合わせますが、運動習慣がない人はいても、食習慣がない人はいませんから、特に重視しているのが食習慣です」(同)

 最近、注目されている白米などの炭水化物抜きダイエットは、外食時にはなかなか実行できない。
 「患者さんによって、食事の嗜好やライフスタイルが違いますから、一様に何を食べてはいけませんとは言いません。それよりも、バランスと食事を摂るタイミングが重要です。学生の頃を思い返してください。若い頃に太っていた人はそんなに多くはないはずです。それは1日3食、規則正しい時間にしっかり食事をしていたからです」(同)

 日本人の肥満、つまりBMIが25以上の割合は、男性で20代が25.7%、30代が28.6%、40代が34.6%、50代で36.5%(2016年国民健康・栄養調査より)と、加齢とともに肥満の割合が増加している。
 「特に男性の場合、就職後、年齢を追うごとに責任ある立場になり、忙しくなった結果、食事の時間や生活習慣が不規則になりやすい。当院では肥満症の患者さんに、いつ、どこで、何を食べたかを、まず記録してもらいます。多くの患者さんは仕事の影響で昼食を食べる時間が毎日違うなど不規則になっている。翌日の仕事内容は前日には把握しているはずですから、予め毎日同じ時刻に食事を摂れるように、翌日のスケジュールを調整するようにアドバイスします」(同)

 確かに、午後早くに打ち合わせがあるからと昼食を早めに食べたり、逆に遅めに食べることはありがちだ。
 「食事内容に関しても、肥満の方は平日の昼食で一品物と言われるカツ丼やカレー、ラーメンといった炭水化物の量が極端に多い食事を摂る傾向がある。また、飲みに行っても、長時間飲み続ける。そうすると必然とつまみの量も増え、食べすぎてしまうのです」(同)
 こうした状況から規則正しい生活習慣へ改善することで155キロだった体重が1年超で70キロ前半まで落ちた例もあるという。

 肥満症ではないが、夏に向けて少しでも体重を落としたい人にはどのようなダイエット法があるのか。
 「肥満症の患者さんと同じように、まずは生活習慣を見直すために1週間ほど食事の中身や時間をメモしてみましょう。そうすると一品物ばかり食べていないか、食事の時間が不規則になっていないかが分かります」(同)
 島野氏によると、人間は脳で食事を楽しめる動物なので、食事の種類が豊富だと量が少なくても満足できるという。そこで一品物ではなくコンビニなどで、サラダと幕の内弁当、お茶など品目を増やすことだという。

 また、運動については、
 「運動には基礎代謝を上げ、心肺機能を強化し、ストレス解消の効果もあるので、無理のない範囲で取り組むことは大変いいことです。ただし、運動だけで体重を1キロ落とすには、フルマラソンを2回分、つまり80キロ近く走らなければなりませんから、運動だけでのダイエットは期待できません。また肥満の方が、突然運動を始めると膝を痛める可能性があります。運動でのトレーニング効果を期待するのであれば、体の中で一番大きい筋肉である太ももの大腿筋を鍛えるのがいいでしょう。そうすれば消費カロリーが増すのも事実です。膝への負担が少なく、かつ大腿筋を鍛える運動としては水中ウオーキングや自転車をこぐのがいいでしょう」(同)

 他にも、特別飲みたいわけではないが習慣で飲んでしまっているジュースや缶コーヒー、長時間の飲酒も気をつけたい。
 「古くから言われていることですが、規則正しい生活と適度な食事や運動が、健康への近道です」(前出・健康ライター)

 まずは、この機会に自らの食生活と生活習慣を見直し、一味違った夏を迎えるのはどうだろうか。

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