「酒は百薬の長」だが、飲み方次第 多量飲酒が招く病気のリスク!

「酒は百薬の長」だが、飲み方次第 多量飲酒が招く病気のリスク!

(提供:週刊実話)

暑い日が続くと、思わずキンキンに冷えたビールに引きつけられ「ちょいと一杯」というサラリーマンも多いはず。それが毎日続くような人でも、節度ある少量飲酒派と、週末だから「今日はいくぞ」とばかりにガブ飲みする多量飲酒派のタイプに分かれる。

 これを医学的に見ると、どういう見解になるのか。東京医療センター循環器内科・藤井隆成医師はこう説明する。
「日本高血圧学会の治療ガイドラインによりますと、毎日、少量飲酒を続けている人は、アルコールによる疾患など特殊な場合を除いては問題ありません。反対に平日は飲まず、週末だけストレス発散として羽目を外して酒を多く飲む人はどうかといえば、米国の研究ではこんな見解があります。日々少量飲む場合と、週末にまとめて飲む場合は、後者のほうが3倍も動脈硬化が促進する可能性が高いと報告されています。ですから週末だけの多量飲酒はよくないということになります」

 酒を飲むと、一般的に二日酔いの原因とされている「アセトアルデヒド」という毒素が生じる。特に日本人は、これを分解する酵素の働きの悪い人が多いと言われ、アルコールを少し飲むだけで顔が赤くなる人がこれにあてはまる。

 多量に飲むとアセトアルデヒドがどんどん溜まり、これにより血圧が上がるとされる。
 また、飲酒後にアルコールが抜けていく過程で起こる交感神経の高まりでも、血圧が上昇するので注意が必要だという。

 酒飲みにとって深刻な病気が「肝硬変」だと言われる。
 飲んだアルコールの分解と処理は肝臓で行うが、毎日多量の酒を飲み続けると肝臓は休む暇がなくなり、確実に障害が起こる。

 アルコールによる障害はすぐには出ないため、“俺は大丈夫”と思い込んで安心していると、大変なことになる。アルコール脂肪肝やアルコール性線維症、そして肝炎から肝硬変へと移行してしまう。
「『今日は1週間ぶりなので、ガンガンいってもOKだ』と思い込み、短時間で多量の酒を口に運ぶ飲み方をする人はよくありません。血中のアルコール濃度を急激に上げるため、高血圧から動脈硬化を促進させ、逆に動脈硬化は血圧を悪化させる相互関係があります。それに拍車をかけると考えていただきたい」(医療関係者)

 また、飲酒で体内に入ったアルコールは、約20%が胃で吸収され、残りのほとんどは小腸で吸収されて血液中に溶け込み、さらに全身を駆け巡る。
 そして脳をマヒさせていき、その濃度に応じて「酔い」の感覚をもたらすという。飲んだアルコールは肝臓に運ばれ、そこでアセトアルデヒドに分解され、さらに酵素の働きによる酢酸を経て、最終的には無害な水と炭酸ガスになって排出される。
 だが、ここで酔いが残る場合は、中間代謝の産物であるアセトアルデヒドが分解されず、「二日酔い」になると考えられる。

 東京都健康長寿医療センター顧問・幾瀬泰介氏はこう説明する。
「普段からお酒をよく飲まれる人は、このアセトアルデヒドを早く分解して無毒化すること。二日酔いになるか、ならないのかの分かれ目は、この分解能力の差で決まります。夜に酒を飲み、朝起きると不快感。そんな悩みがある人は、残るほど飲まないことですね。ただ、酔いというのは個人差があるし、その程度は、血液中のアルコールの濃度に比例します。例えば、体重60キロの人がビール大瓶1本飲むと、酔いが覚めるまで約3時間かかります。つまり、1時間にアルコールは10cc程度しか分解できないことになります。二日酔いになりたくないなら、日本酒1合、ウイスキーならシングル2杯程度ということになりますが、どうでしょうか。ここでとどめることが出来る人は、翌日も爽快でしょう。二日酔いは、これを超える量を飲めば飲むほど起こるというわけです」

★休肝日を作るより量を減らす

 アルコールに関する過去の研究報告では、興味深い話がある。酒を全く飲まない人よりも、日本酒1合程度を飲む人のほうが、狭心症や心筋梗塞の発症リスクが低いという。

 このように考えると、週末のガブ飲みより、毎日少しずつ飲むほうが身体にはいいという事になる。そして、飲酒で血圧上昇につながりやすい高血圧の人は、そもそも狭心症や心筋梗塞のリスクが高いので、多量飲酒はやめたほうが無難だ。
「酒量は少なくても、ウオッカなどのアルコール度数が高いお酒は、やはり心臓病や血管疾患を増やすとされています。高血圧の方は、ビールや日本酒、ワインなど、日々の楽しみは度数が低めのお酒を少なめに嗜むことを心掛ける必要があります」(同)

 日本には、昔から「適度な飲酒であれば健康によいという言い伝えがあって「酒は百薬の長」という言葉がある。アルコールは適度な範囲であれば、死亡リスクを下げる、という研究報告もある。

 専門家によれば、概ね1週間当たりの大量のアルコール(エタノール)摂取で、総死亡リスクが増加することは、国内外を問わず、ほぼ一致している結論だとしている。

 「1週間当たり多量のアルコールを摂取する男性を詳しく調べると、多く飲酒すれば“休肝日”の有無に関わらず、総死亡率のリスクが高いことが分かりました。つまり、休肝日さえあればたくさん飲んでいいわけではありません。トータルなアルコール量(アルコール摂取量が週に300㌘以上)を減らすのと、量は変えないで1日休みを作る(1日休んだ代わりに別の日に多く飲む)ことを比較すれば、当然、量を減らしたほうが健康上のメリットがあるはずです」(健康ライター)
 これはアルコールを1度に多量に飲むと、体重や悪玉コレステロール値を増やし、動脈硬化のリスクが増えるためだ。
「専門家は『肝臓を休ませた方がよい、という科学的根拠は薄い』という見解の人がほとんどです。ただし、飲みすぎの人に注意を促すために、休肝日が生まれたのでしょう」(同)

 いずれにせよ、酒を飲むのは楽しくありたい。「沈黙の臓器」と言われる肝臓をいたわり、肝硬変などの怖い病気を避ける努力を怠らないように心掛けよう。

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