環境の変化で乱れを引き起こす 自律神経を整える方法(1)

 季節が移り変わり、暖かくなると「運動でも始めてみよう」と心機一転する人も少なくない。一方で、5月病に代表されるように、体の不調を訴える人たちもいる。中でも、自律神経の乱れから不調をきたす自律神経失調症に陥る場合が多い。
 よく耳にするこの自律神経とは、一体どんな働きをし、乱れるとどんな症状を引き起こすのか。今回は、対策とともに探ってみたい。

 「春先から今頃にかけては、職場での異動やら、進学や引っ越しなど環境の変化が多い時期です。そのため、変化からストレスを受け、お腹の調子を崩したり、頭痛や肩こりなど様々な不調を訴える人が多くみられます」
 こう指摘するのは、国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第3部の功刀浩医師だ。
 新しい環境によって心が落ち着かない、という経験がある読者も多いはず。そういった心の状態などに関わっているのが自律神経だ。

 では、そもそも自律神経とは何なのだろうか。
 「自律神経とは、簡単に言えば本人の意志で動かせず、神経が文字通り自律し、勝手に動いている神経のことです。たとえば、心臓を速く動かそうとしても、本人の意志で急に速く動かすことはできません。そうした本人の意志では動かすことのできない交感神経や副交感神経を、自律神経と呼びます」(同)
 緊張時や活動時に優位に働いているのが交感神経で、反対にリラックス時に優位に働いているのが副交感神経。この自律神経が全身の器官をコントロールしている。しかし、両者のバランスが崩れると、先の症状に加え、抑うつや倦怠感、頭痛など、様々な症状を引き起こすという。

 しかし、自らの意志では動かせないとなれば、どうやって予防すればいいのか。その鍵は、生活習慣の改善にあるという。
 「現在は飽食の時代で、食べ過ぎなどにより栄養のバランスが偏りやすい。また、テレビやスマートフォンの普及で、何時まででも起きていられます。そうすると生活習慣の基本である食事、睡眠、運動が乱れやすい。これらを適正にすることが重要です」(同)

 食事、睡眠、運動の三つが生活の基本だとは分かっていながら、ついつい夜更かししたり、言い訳をつけては運動をサボってしまいがちなのは、よくある話。そこで生活習慣を適正にするにあたっては、功刀医師がこう続ける。
 「まずは、しっかりと睡眠を取り、翌朝起きたら太陽の光を浴びることです。光を浴びると脳内の体内時計がリセットされ、16時間後に眠くなる。そして、朝食をきちんと食べると、体の末梢部分のスイッチが入るので、脳と体をしっかりと“ON”にした状態で出勤できます。そうすれば仕事の能率も上がり、長時間労働を避けることができる。さらに早く帰宅できれば、夕食の時間を楽しむ余裕もできます。また、日中にしっかりと活動することでぐっすりと眠ることもできる。このように、食事、睡眠、運動のよい循環が生まれます。そうした生活習慣では、昼間に交感神経が、夜は副交感神経が優位に働くため、ストレスの反応が和らぎ、自律神経が整うのです」

 睡眠については、個人差を考慮すると6〜8時間程度の時間が必要だという。そのためには、「就寝直前までスマートフォンやパソコンを使わない」、「寝る前にコーヒーなどのカフェインを摂らない」、「夜は部屋を昼間よりも暗くする」などの工夫が有効だという。
 ただし、眠れないからといって寝酒は厳禁。お酒は睡眠を浅くし、質を悪くするからだ。

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