心臓病・認知症の予防になる 驚くべき「地中海食」の効用(1)

 イタリア料理、スペイン料理に代表される地中海料理は、オリーブ油や新鮮な魚介類、野菜をふんだんに使うのが特徴。実はこれらが、心筋梗塞などの心臓や血管の病気予防に効果があるという。
 「昨年8月末に開催された欧州心臓学会で、イタリアの大学の医学グループが行った研究結果が報告された。心臓血管病がある1197人を含む2万5000人を約7年にわたり追跡したところ、ナッツ、オリーブオイル、魚、果物、野菜、豆類などが多く含まれる地中海料理食を食べている人は、食べていない人に比べて心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の再発リスクが21%低下。さらに、最も多く食べているグループは、最も少ないグループに比べて37%も低下したというのです」(健康ライター)

 また、スペインの複数の医療機関の医師らが調べた調査報告もある。糖尿病や高脂血症、肥満など、心臓や血管の病気リスクが高い約7500人を3グループに分けて調べた結果が、米医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に掲載された。
 調査方法は、それぞれ(1)オリーブ油を使う地中海料理、(2)ナッツを使う地中海料理、(3)低脂肪食を食べてもらい、心筋梗塞などの発生頻度を比べたという。

 女子栄養大学実践栄養学科の准教授は、報告書をもとに、こう説明してくれた。
 「(1)(2)のグループの食事の基本は、新鮮な果物や野菜、豆、魚介類、トマトソースなどを使った料理で、(1)ではこれに加熱処理をしていない『エクストラ・バージン・オリーブオイル』を1日小さじ4杯(50グラム)以上を使い、(2)ではクルミやアーモンド、ヘーゼルナッツなどのナッツ類を1日30グラム程度食べる。一方の(3)のグループは、低脂肪の乳酸品やパン、パスタ、ご飯といった炭水化物と新鮮な果物を1日3回以上食べる。いずれのグループも摂取カロリーや運動は自由で、約5年間続けました。結果、地中海料理の(1)(2)グループは(3)の低脂肪食のグループに比べ、やはり心筋梗塞や脳卒中、心臓や血管の病気による死亡率の発生が3割少なくなったというデータが出たのです」

 フランスの研究では、心筋梗塞などを起こした人たちの再発を防ぐ効果も確認されたという。
 「地中海料理に使われるオイル、魚、ナッツ類にはオレイン酸が多く含まれ、活性酸素を和らげる上に、血管内皮の状態を整える効果があると考えられるのです」(同)

 また、東京都多摩総合医療センター循環器科外来担当医はこう言う。
 「地中海食が心血管疾患の発症リスクを低下させることは、これまでも数多く報告されています。欧州心臓学会ではさらに、すでに心臓病を発症している患者さんの再発を防ぐ2次予防においても有効であることが分かりました。一度、心臓病を引き起こした患者の再発率は高く、予防するには『スタチン』を服用してコレステロール値をコントロールしたり、『アスピリン』などの抗血小板剤で血栓ができるのを防ぎ、降圧剤で血圧を調整しなければならないなど、厳格な管理が必要になってくる。しかし、地中海食はそうした薬による2次予防効果にも匹敵する効果があることが分かったのです」

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