死に直結する「誤嚥性肺炎」の予防法(2)

 肺炎は一気に高熱が出て、空咳、息切れなどに苦しむイメージが強いが、誤嚥性肺炎はそれとは違う。
 別な専門家は、こう説明する。
 「通常の肺炎は2〜3日で一気に菌が増殖しますが、誤嚥性肺炎では増殖に1週間ほどかかるケースが多く、その後、一気に発症します。高齢者は感覚が鈍くなっていることもあり、いつ発症したのか分からないまま病状が進行しているケースが少なくないのです。治療する側としても“なぜこうなるまで放置しておいたのか”と思うことがしばしばです」

 では、どのような症状が出た時に誤嚥性肺炎を疑えばいいのだろうか。
 専門医が続ける。
 「まず、食欲がない、元気が出ない、倦怠感があるといった状態になります。また、食事中に咳込むことが多くなった、唾液がうまく呑み込めない、常に喉がごろごろしている…という時も、すでに発症している可能性が高い。以上のような事を感じたら、医療機関の診察を受けてみる必要があります」

 ただし高齢者ともなると、うつや不眠などを患い、精神安定剤、睡眠薬などの服用が多くなりがちで、これが誤嚥性肺炎の引き金になる場合があることも頭に入れておかなければならないという。
 「これらの薬は、呼吸を抑制するばかりではなく、大脳基底核に作用してドーパミンの分泌が減り、“サブスタンスP”と呼ばれる合成物量を低下させます。サブスタンスPとは、食べ物を飲み込んだり、咳をするように神経に働きかけをする物質。そのため、服用している場合は誤嚥性肺炎を引き起こしやすくなることが分かっています」(健康ライター)

 実際、東京都内のある救急病院で誤嚥性肺炎の年齢別患者数を調べたところ、高齢者と同様、若者も多かったという例がある。これらの若者には過度な睡眠薬の服用者も含まれていたという。
 日本呼吸器学会系クリニックの院長は言う。
 「誤嚥性肺炎で厄介な点は、抗菌剤が効いたとしても嚥下機能は回復しないため、すぐに再発してしまうことことにあります。実は、それを防ぐには、日中はとにかくお喋りをして、嚥下に関わる筋肉を鍛えることが効果的です。さらに、寝ている間は雑菌が肺に入らないように枕を高めにすること。そして、肺炎球菌ワクチンを打つことです」

 肺炎球菌ワクチンは肺炎全体の2〜3割程度にしか効かないと言われるものの、誤嚥性肺炎を抑えられるとの報告もある。
 さらに、防ぐための注意点を、専門家に聞いた。
 「口の中の細菌が多いと肺炎になりやすい。口の中を清潔に保つために歯磨きをきちんとする、入れ歯も消毒をきちんとすること。自分で動けない場合は、介護の人や家族に口のケアをしてもらう。また、口内が渇いた状態が続くと細菌が増えるため、水分をたくさん摂ることも大切です」

 高齢者にとって誤嚥性肺炎は、致命的になる恐ろしい病でもある。まずは誤嚥を起こさぬようにしっかりと予防し、少しでも普段と違う様子が見られたら早めの呼吸器内科を受診すべきだ。

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