その症状は熱中症ではない!? 夏場に陥る血栓症の予防策(2)

 健康で若々しい血管は、ゴムのようにしなやかで、その内側もすべすべしている。ところが、血管が老化すると固くてもろくなり、内側がベタベタしてくるという。
 都内の総合医療クリニック院長・久富茂樹氏は言う。
 「老化した血管では、血液中の悪玉コレステロールなどが血管壁に取りつき、その中に侵入しようとするため、それを排除しようと白血球の仲間が集まってきます。白血球の仲間は悪玉コレステロールなどを食べた後に死んでしまう。その死骸と残ったコレステロールがプラーク(粥種=血管のコブ)となり、それが何らかの刺激で破れると、その傷を修復するため血小板が集まってきてかさぶたを作る。これが血栓です」

 ちなみに健康な血管は、出血が収まると傷口周辺の内皮細胞が増殖して血管壁は修復される。その後は血液中のプラスミンという物質などの働きで血栓は溶かされ、跡形もなくなるという。
 「しかし、若い血管の持ち主はいいのですが、問題は動脈硬化や老化が進んだ血管を抱えている場合、このシステムがうまくいかなくなる。老人や動脈硬化が進んだ血管は、血液がよどむことで血栓ができることがあり、その代表が心房細動です。この病気は脳梗塞を引き起こしやすいことで知られていますが、それは心臓が震えるだけで血液を外に出せないため。ですから血液同士がぶつかり血栓ができやすいわけです」

 若い人でも、コレステロール値や中性脂肪の高い人は、血液の流れが悪くなる。ちなみに、血流のよどみによって起きる血栓症は動脈より静脈に多いと言われる。
 同じ姿勢で座っていると発症する下肢静脈血栓症は、血液が心臓から吐き出される動脈よりも、心臓に戻る静脈の方が血流がゆっくりしているためだ。
 また、夏に大量の汗をかいた後に、利尿作用のあるビールや度数の高い酒ばかり飲んでいると、血液が固まりやすい成分に変わってしまう。水分が抜けた分だけ、血小板をはじめとした血液凝固成分の濃度も上がるからだ。

 健康ライターの深見幸生氏はこう語る。
 「お酒の飲み過ぎはいけませんが、夏場にダイエットをしている人も注意が必要です。人間は、1日に1〜2リットル程度の飲み水が理想と言われていますが、それ以外に食べ物からも摂っています。ダイエットで食べない人はその分、水分を摂らなければなりません。また、人の血液が一番固まりやすい時間は、寝ていて体を動かさない早朝と言われています。つまり血栓ができやすいわけですが、他にも肉や砂糖を過食したり、ストレスをためたり、興奮したり、激しい運動をした後も、血栓ができやすいことも分かっています。薬でも、ピルやステロイドを使っている人は注意が必要です」

 むろん、血管に圧力がかかり続ける高血圧、食事前後に血糖値が大きく動く糖尿病、他に膠原病や歯周病や痛風に罹っている人も血栓ができやすいといえる。
 持病を理解した上で、自分が思うよりも水分を多く摂取し、精神的にも無理をしない生活を送る、そんな心持ちで、血管に優しい夏を過ごそう。

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