〈目からウロコの健康術〉 生活習慣病のリスクを高める「脂肪肝」の脅威

〈目からウロコの健康術〉 生活習慣病のリスクを高める「脂肪肝」の脅威

(提供:週刊実話)

師走の真っただ中。忘年会や新年会と「飲みすぎ」や「食べすぎ」に要注意のシーズンに突入する。

 飲みすぎが肝臓にダメージを与えることを知らない人はいないと思うが、その第一歩となるのが「脂肪肝」だ。放置すれば肝炎につながり、肝硬変や肝がんのリスクが高まる。肝臓を傷めやすい時期だからこそ、いかに守るかは重要である。

 肝臓は、代謝や解毒、消化を促す胆汁を作るなど、さまざまな働きをしている。酒を多量に飲むと肝臓での中性脂肪の合成が高まり、その結果、肝臓にそれが溜まって『脂肪肝』になる。

 健康な肝臓の脂肪は3〜5%だが、脂肪肝になると30%以上に増え、肝臓の働きを妨げる。酒の飲みすぎはよくないが、酒を控えめにしても脂肪肝という人がいるから注意が必要だ。

「人間ドックの調査では、3割以上の人が脂肪肝による肝機能異常があると報告されています。それは、多量飲酒というよりも食べすぎの事が多い。国内では、食べすぎによる非アルコール性脂肪肝が2000万〜3000万人いると推計され、その人たちは、少量のアルコールでも肝機能を悪くしやすいのです」

 こう説明するのは、東京都健康長寿医療センターの桑島恒彦顧問だ。

 前述したように、近年は飲みすぎより食べすぎによる「脂肪肝」の人が増化している。このような人が、忘年会などで飲酒をした場合、少量でも肝機能にダメージを与えるため、それを防ぐには、日頃から食生活を見直して肝機能を守ることが大切だ。

 ではどんな食事、食材がいいのか。新潟大学病院元管理栄養士で料理研究家・林康子氏はこう語る。
「言われるところの脂肪肝は、肝臓で脂肪酸の合成が高まると生じます。その合成量を減らすと報告されているのは、青魚などに含まれる不飽和脂肪酸の1つ、エイコサペンタエン酸(EPA)です。緑黄色野菜と青魚を食べると、肝臓に炎症が起こりにくく、脂肪肝予防にも役立ちます」

 そして林氏は、さらにこう説明する。
「肝臓を守るには、ご飯などの炭水化物を控えて、サバの味噌煮、ほうれん草やニンジンなどの緑黄野菜をたっぷりと食べるとよいでしょう。ただ、脂肪肝になっている人は、これらの栄養素だけでは足りません。特に食べすぎでなっている人は、足の筋力が低下している人が多く、筋肉に役立つ栄養素も取り入れて、体を動かすことが重要になります。一般的に筋肉量の減少と筋力の低下は『サルコペニア』と診断されます。30代以降、加齢に伴い筋肉量は1〜2%ずつ減少するため、運動と食事で強化しないとサルコペニアに陥りやすいと言われます」

 一方、『ダイナペア』と診断される場合は、筋肉量は維持されているが、筋力が低下した状態だという。体内の脂肪は、筋肉でエネルギー代謝されるが、その機能が低下すると脂肪が溜まりやすくなる。
「骨格筋を画像検査により解析してみると、サルコペアでは、筋肉のすき間に脂肪が溜まって映し出されます。いわば霜降り肉のような状態で脂肪筋と呼ばれます。結果として、同じ運動をしてもエネルギー代謝が悪く、体内に脂肪が溜まりやすくなるのです」(専門家)
少しの運動を継続して行う

 筋肉を正常に保つためには、前出の林氏が説明しているように、ご飯などの炭水化物は半分程度に減らし、青魚や緑黄色野菜、肉類、キノコ、ヨーグルトなど、肝臓と筋肉を守る食材を十分に摂ること。

 なお、肉類などに含まれるロイシンは、筋肉に取り入れやすいため、筋肉強化に役立つ。ただし、食べすぎは厳禁だ。

 だが、そうは言っても、飲食の機会が増えるこの時期に、食事量を控えるのは難しい。そこで、体を動かすことが重要になるのだが、「運動をしなければ」と思うとストレスになり、逆効果になってしまう場合もある。それでは、どうすればいいのか。
「運動はストレスを感じると長く続きません。楽しみながら取り組み、長期間にわたって継続することで、脂肪肝はもとより健康維持のために寄与していると考えてほしい」

 こう語るのは、理学療法士・向坂義弘氏だ。
「医師から“運動をしなさい”と言われると、運動習慣のない人にとってはストレスになる。特に年末に向けて仕事などでストレスが溜まりやすい状況では、ストレスを感じる運動には取り組む気にはなれないでしょう。ですから、少しの時間で取り組める簡単な方法で行う。ハードな運動を1時間して、翌日は全くしないよりも、毎日10〜20分、少しの運動を継続して行うほうが脂肪肝の解消につながります。筋肉と肝臓には、“筋肝連関”と言われる臓器間のネットワークがあり、筋肉を毎日こまめに動かすことで脂肪肝の改善、予防になるのです。また、脂肪肝が改善すると筋肉の質もよくなります。体重が減らなくても、軽い運動を続けることで筋肉の脂肪が燃焼されて筋肉の質が高まると、肝臓に溜まった脂肪も燃焼されるのです」(向坂氏)

 また、社会医学研究センターの村上剛医師はこう説明する。
「脂肪肝が進行してNASH(非アルコール性脂肪肝炎)になると、病気としての意味合いが強くなり、治療も難しくなる。脂肪肝の人は生活習慣が偏っている場合が多く、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症などを合併していることもあります。ですから、その他の病気を予防するためにも、食習慣や運動などの生活習慣を見直していかなければなりません」

 また“食事制限”と言う考え方もあるが、村上医師は「極端に食事を抑えると体内にある脂肪は肝臓に運ばれ、体は痩せても肝臓には脂肪が溜まっている状態になります。このような背景から、ダイエットのしすぎによって逆に脂肪肝を進行させてしまうことになります。このあたりも、専門家の意見を聞く必要がある」という。

 ただ、やはり運動は必要。毎日、少しの運動を心がけていると、運動強度が少しずつ上がってくる。週に2〜3回は、息が上がるような強度の高い運動を10分程度行うことも、脂肪肝の予防に役立つのだ。

 生活習慣の見直しと運動、この2つをうまく連動させて、怖い「脂肪肝」を撃退しようではないか。

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