勤務時間は本当に短くなる?「プレミアムフライデー構想」のメリット・デメリット

勤務時間は本当に短くなる?「プレミアムフライデー構想」のメリット・デメリット

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政財界では個人消費を喚起するため、月末の金曜日に「プレミアムフライデー」という、午後3時に仕事を終える制度が検討課題として浮上していることが報道で伝えられました。一見メリットが大きいように感じるプレミアムフライデー制度ですが、月に1度早く帰れたとしても、その分のシワ寄せが他の出勤日で残業するといったかたちであらわれる懸念もあると思います。

そこで、プレミアムフライデーを実施することで、労働者の労働条件面で、どういったメリット・デメリットが発生する可能性があるのか、星野法律事務所の星野宏明弁護士に伺いました。

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

■プレミアムフライデーを導入するにはどんな方法がある?

もし実際にプレミアムフライデーが導入されるとしたら、どんな制度になるのでしょうか。

「プレミアムフライデーを導入する方法として、福利厚生の一環で企業の内部制度として採用する方法と、現行法を改正したり特別法を制定したりするなど法律上の制度として取り入れる方法の2つが考えられます。前者の場合、各企業の業務内容に応じて柔軟な設計ができるというメリットがある反面、この制度を全国的な普及を迅速に進めていくことは難しいかもしれません。

後者の場合は、いくつか例外を設けたとしても、ある程度一律の制度にせざるを得ないため、各企業の業務が忙しいか、忙しくないかといった実情に柔軟に合わせることが難しくなります。」(星野弁護士)

■賃金が減る可能性も。プレミアムフライデーのデメリットとは?

プレミアムフライデーの導入はメリットばかりではないかもしれません。想定できるデメリットついても確認しておきましょう。

「法律を制定してプレミアムフライデーの制度を導入した場合に考えられるデメリットとしては、早期退社をした時間分の賃金が減るということです。法律によってそうした賃金が減るといった事態をフォローする制度を設けることも可能だと思いますが、労働法ではノーワークノーペイという原則があり、労務提供していない時間は、賃金が発生しないのが原則です。その原則から考えれば、早期退社をした時間(月末金曜の15時〜本来の定時)分の賃金が減ってしまう可能性が高いのです。

一方で、プレミアムフライデー制度を適用して早期退社した時間帯も法律上有給扱いにするという制度設計もありえます。しかし、これは実質上の賃上げになり、企業側のコストが増大するので、経営者が導入に積極的になることはないと予想されます。」(星野弁護士)

こうした労働者と経営者、両方の懸念を考えると、日本では有給休暇の大半が消化されていないという問題を改善するほうがメリットは大きいとも考えられます。また、消費喚起という意味でも、各人が好きなときに取得できる有給ではなく、GWやお盆休暇のように全国一律一斉に休む必要がどこまであるのかという疑問が残ります。

大切なのは、プレミアムフライデー構想がきっかけとなって、私たち日本人の休暇に対する考え方を改めて見つめ直すことかもしれませんね。

*取材協力弁護士:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)

*取材・文:塚本建未(トレーニング・フットネス関連の専門誌や、様々なジャンルのWebメディアを中心に活動するフリーランスライター。編集やイラストも手がける。塚本建未Website 「Jocks and Nerds」)

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*Aechan / PIXTA(ピクスタ)

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