熟年離婚でもっとも揉めやすい慰謝料の問題をうまく解決する方法

熟年離婚でもっとも揉めやすい慰謝料の問題をうまく解決する方法

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成田離婚というように若くして離婚する夫婦もいますが、夫の定年退職後に離婚するような「熟年離婚」が近年の人口高齢化もあって増加しています。法的な対処方法は基本的に同じですが、熟年離婚特有の問題もあります。

離婚する際に決めるべき問題は、親権、養育費、面会交流、慰謝料、財産分与、年金分割などがあります。

親権、養育費、面会交流は、子供が未成年の場合に問題になるもので、熟年離婚の場合にはほとんど問題となりません。今回は要素が多岐にわたるため、もっとも深刻な問題となるケースが多い慰謝料に絞って、解説していきたいと思います。

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

■結婚生活が長くなると、慰謝料を決める要素も複雑に

慰謝料を決める要素は、離婚原因、夫婦関係の長短、有責性の有無など、多岐にわたります。

熟年離婚の場合は、長期間にわたる夫婦生活が慰謝料算定の基礎となりますので、争いの範囲が広がります。離婚訴訟になると、夫婦の出会いから今までの事情について、事細かに言い争うことになります。新婚旅行の態度とか、子供が生まれた直後の態度とか、何十年も前のことが争点となります。ある意味、記憶力の勝負となります。

■記憶を証拠とするために有効なのはカードの作成

この勝負に勝つには、とにかく記憶を喚起することです。出会いから決裂するまでのいろいろな出来事を可能な限り思い出すことです。人間の記憶は、出来事や場所については正確に覚えているものですが、日時については不正確になりがちです。それを防ぐには、とにかく思い出せる出来事(どこで喧嘩したとか、どこに旅行に行ったとか)を全て思い出し、それをカードなどに記載することです。そのようなカードが増えてくると、カードの順番が分かってきます。カードを並べ替えたりしていると、出来事があった日時も思い出せます。

パソコンが使えるなら、思い出せる出来事をとにかく文章作成ソフトで入力することです。その後、出来事の順番を入れ替えると立派な証拠となります。

■離婚訴訟では記憶が最優先される

裁判の証拠というと、契約書とか録音とか写真とか目に見えるものを想像すると思いますが、離婚訴訟で一番大事な証拠は、記憶です。夫婦の日常生活をすべて写真に撮ったり録音などしている人はいません。記憶を書面化したものを陳述書と言いますが、陳述書が一番重要な証拠となります。詳細な陳述書を出した方が裁判は有利に進みます。

慰謝料を多く要求したい妻は、恋愛時代から新婚時代、子育て期、倦怠期など詳細な陳述書を提出します。対する夫は、妻にもいろいろな不備があったという陳述書を提出します。最終的には、裁判官の前で夫婦双方の本人尋問をして裁判官が心証を形成して慰謝料額が決まります。

このように非常に面倒なことをする離婚訴訟をすると、どなたも二度としたくないと言います。訴訟になる前に話し合いや調停で決着したいものです。

*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)

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*sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)

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