障害者枠採用の社員がパワハラを受け休職…どのような訴え方ができる?

障害者枠採用の社員がパワハラを受け休職…どのような訴え方ができる?

シェアしたくなる法律相談所

障害者雇用促進法をご存知ですか? 障害者が仕事を通じて自立した生活を送れるように、国は障害者雇用を進めています。

最近、大手企業での障害者雇用の社員へのパワハラが報道されました。この件について、ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士にお話を伺いました。

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

■パワハラを訴えるには証拠が重要

まず、上司から部下へのハラスメントである「パワハラ」は近年一般的になりましたが、パワハラにより休職し、相手を訴える場合、どうすればよいでしょうか?

「まず、パワハラによって休職に追い込まれたという事実の証拠を集める必要があります。その事実、すなわち、使用者側の責任で休業したということを主張して、その期間の賃金の全額請求と慰謝料請求ができます。

個々の事案によりますが、本人の主張だけではパワハラがあった事実を証明するのは難しいので、録画・録音、メールなどで記録化・可視化、さらに可能であれば他の従業員の陳述書まで用意できれば、と思います。

賃金については、労基法26条では平均賃金の6割の支払いを罰則(30万円以下の罰金)で確保していますが、残り4割も免責する趣旨ではありません。」(森川弁護士)

■障害者社員へのパワハラには特別な罰則などはある?

パワハラを訴える場合は証拠が重要ということがわかりましたが、障害者社員へのパワハラは、一般社員へのパワハラと違う罰則などはあるのでしょうか?

「障害者へのパワハラに対して特別な措置というのは存じていません。ただ、差別的な扱いなどでは認定がしやすい事案も多いのではないかと思われます。」(森川弁護士)

障害者雇用促進法には「障害者に対する差別の禁止」という条項もあり、採用や待遇について、障害者とそうでない者と不当に差別的な扱いをしてはならないと定められています。障害者社員へのパワハラを認定する際には、この法律が考慮される可能性もあるそうです。

障害者雇用促進法では、常用労働者が50人以上いる企業では労働者のうち2.0%は障害者を雇用するよう義務付けられています。また、常用労働者が100人を超える企業がこの基準を満たしていない場合は、不足する人数に応じて「障害者雇用納付金」を納めなければなりません。

これらの施策により今後ますます障害者雇用が進むことが想定されますが、このような制度の整備と同時に、障害者への差別やハラスメントが起こらないような企業内での工夫も求められるのではないでしょうか。

*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)

*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)

【画像】イメージです

*Goodluz / PIXTA(ピクスタ)

【関連記事】

*「働き方改革」でどう変わる?「残業トラブル」でチェックしておきたい事例を弁護士が回答

*上司の「パワハラ」で出社がツラい…やめさせるためにおぼえておきたい2つの方法

*勤務時間は本当に短くなる?「プレミアムフライデー構想」のメリット・デメリット

*違反件数が過去最多!「下請法」で知らないうちに違反しないための気をつけるべき4つのポイント

*36協定の見直しで何が変わる?根強い「残業トラブル」の法的問題を弁護士が解説

関連記事(外部サイト)