女性が職場復帰を前提にトラブルなく「産休・育休」を取得する3つの方法

女性が職場復帰を前提にトラブルなく「産休・育休」を取得する3つの方法

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少子化対策が日本の重要課題である現在において、出産を控えた女性社員に育児休業をしっかりと取得させるのは職場の義務になっています。

しかし、法律で義務付けられているとはいっても産休または育休から、職場復帰の前後には労使間のトラブルが非常に起きやすいタイミングであることも事実です。

そこで、産休や育休を取得するにあたって起こりうる、「休業前の解雇通告」「申請後の解雇通告」「育休申請の拒否」といった3つのケースにおける労務トラブルとその解決策について、三宅坂総合法律事務所の伊東先生にお話を伺いました。

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

@産休前に解雇されてしまったら?

女性にとっては産前休業に入る前から、特に安定期に入る前などはつわりなどで体調を崩しやすく、欠勤しがちになるケースも多くなります。欠勤が多いことを理由にこのタイミングで解雇されてしまった場合、法律上解雇の無効をどのように訴えるべきでしょうか。

「事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、妊娠又は出産に伴う症状によって仕事ができなくなったり、パフォーマンスが低下したりしたこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないとされています。よって、つわりなどによる欠勤を理由に解雇されてしまった場合、法律違反であり解雇は“無効である”と主張することができます。」(伊東弁護士)

具体的な解決策としては、以下の方法などが考えられます。・ 労働局に紛争解決援助を求める・ 裁判所に労働審判又は裁判を提起する

産休前の症状を理由として解雇など不利益な扱いを受けたとしても、法律の保護の対象になるのですね。

A育休を申し出た結果、解雇されてしまったら?

では、育児休業を取得することを申し出たことを理由に解雇されてしまったというような事例は実際にあるのでしょうか。

「育児休業を取得することを申し出たことそのものを理由とする解雇は、育児・介護休業法の中で明確にしてはならない行為であると定められているため、無効となります。そのため、こういったケースで『育児休業を取得したことを理由とする解雇の有効性』が正面から争われた裁判例は見当たりません。」(伊東弁護士)

育休を取る、と宣言したことを理由に解雇されてしまった場合は、全面的に法律の保護を受けることができるのですね。

B育休の取得を会社から拒否されたら?

育児休業の取得を職場から拒否された場合、当然これは法律違反の行為に該当しますが、現実的に育児休業を取得するためには法律上どのような主張を会社に対してするべきでしょうか。

「育児休業の取得は労働者の法律上の権利であることをきちんと会社に伝えるとともに、想定される休業期間や復帰に向けたスケジュールを分かる範囲で示すなどして、会社側で具体的な人繰りの計画が立てられるようにするなど、円満な話合いを行うことが重要です。」(伊東弁護士)

権利を主張しつつ、育休を取得した場合のスケジュールについてしっかりと労使間で話し合うことが重要になってくるのですね。

「また、休業中に仕事を交代してもらう同僚などにも気持ちよく引き受けてもらえるよう、“権利だから当たり前”ということではなく、“助けてもらって有難う”という姿勢で円滑な引継ぎを行うことが、実務上は重要と考えられます。」(伊東弁護士)

育休を取得することは、もちろん法律上の権利ではあるのですが、これを当たり前のことと捉えるのではなく、会社や周囲に対してまずは“感謝の気持ちを持つ”という姿勢で育休に臨むことが、トラブルなく円満に手続きを進めることのできるポイントとなるのですね。

取材協力弁護士:伊東亜矢子(三宅坂総合法律事務所所属。 医療機関からの相談や、 人事労務問題を中心とした企業からの相談、離婚・ 男女間のトラブルに関する相談、 子どもの人権にかかわる相談を中心に扱う。)

*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。

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