【相談ファイルvol.2】一方的な婚約破棄で指輪は返すべき?〜男と女愛の法律相談所〜

【相談ファイルvol.2】一方的な婚約破棄で指輪は返すべき?〜男と女愛の法律相談所〜

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男女の恋愛のもつれが原因の事件は数あれど、「この場面、法律的にはどうなの?」という素朴な疑問を解決する『男と女愛の法律相談所』。数多くの恋愛・結婚相談を受けてきた元市議の筆者が、実際にあった事件をもとに法律的見解を弁護士に問います。今回は、婚約破棄した場合に、“婚約指輪”を彼に返さなければいけないのか?がテーマです。

婚約したけれど……まさかの婚約破棄!
32歳になった春、晴れて勝太郎(仮名)からのプロポーズを受け婚約に至った晴海(仮名)。

「彼ってば、奮発して結局、0.5カラットのダイヤにしてくれたのぉ〜」

女子会では、芸能人の結婚会見よろしく左手を自分の胸の前に立てながら、婚約指輪を披露するのが最近のお気に入りポーズだったのだが……。

それから1ヶ月経った女子会では、突如として雲行きが変わった。

「ウゥッン……フッ……グフゥ! 彼のお母さんが、あの女との結婚はやっぱり許さないって……」

1ヶ月前の笑顔は何処へやら。今は、戸惑う友人たちを前にワンワン泣いている晴海だった。

 

彼の言葉を思い出していた。

「お袋がキミのこと“好きじゃない、やめろ”って言うからムリなんだよ」

「結婚は俺たちだけの話じゃないし、お袋も好きになる人じゃないとダメだろ?」

 

つまり「君と僕の母親との折り合いが悪い」という理由で、あっさりと婚約破棄されてしまったのだ。

晴美の様子があまりにも深刻なだけに、「そんなマザコン男との結婚はやめて正解よ」という言葉を周囲は飲み込むーー。

 

それから3ヶ月後、少しだけ立ち直り、人生に前向きになった晴美から女子会で質問が投げかけられた。

「ところで、プロポーズのときにもらっていた婚約指輪、売却しようと思うんだけど。返せって言われてないし、いいんだよね?」

 
男性の責任で婚約破棄する場合には……返さなくてもいい!?
まず、婚約破棄における基本ルールを確認していきましょう。
「婚約指輪は婚姻の成立に向けて授受される“一種の贈与”(最判昭39・9・4参照)と考えられているため、法的効果としては,婚姻が不成立になった場合には原則として返還されるべきでしょう」(協力:アディーレ法律事務所)
判例や信義則の考えかたに基づけば、原則としては返すべきものということ。しかし、
「もっとも、両者で協議し納得して婚姻関係を解消している場合において、男性に必ず返さなければいけないという訳ではありません。
男性側に婚約破棄の責任がある場合は、自らの責任で婚約解消という事態を招いておきながら“結婚指輪は返してもらう”ということは、“信義誠実の原則”※1に反するものといえ、信義則上(民法1条2項)婚約指輪の返還を請求することはできないでしょう」(協力:アディーレ法律事務所)

※1 社会生活において、お互いに信頼などを裏切らないよう誠実に対応しなければならないという法的な考え方
つまり、男性側の落ち度で婚約破棄に至った場合には、指輪を返却しなくても良い場合がある、ということです。

今回の晴海さんの場合には、晴海さんにはまったく落ち度がなく、彼に一方的に婚約破棄されたので、「彼の責任による婚約破棄」であり、指輪の返却の義務はないといえるのです。

破棄後の指輪の行方については、法律的には個別の事例によって判断が変わるようですが、どちらに破棄の責任があるのかによって、その結果は大きく変わるのです。
想像もしたくないことですが、万が一の場合には、「指輪をどうしたらいいのか……?」と頭を悩ませる女性も少なくないはず。本当に万が一の時の為に、知っておくとよい知識ですね。

 

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【取材協力】

※ アディーレ法律事務所・・・債務整理分野で豊富な実績を誇り、その他にも労働問題・不倫の慰謝料請求・交通事故被害者の救済・B型肝炎の給付金請求など幅広い分野を扱う法律事務所

 

 

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