子どもの脳にいいこと、悪いこと - 脳科学者が教える頭のよい子に育つ習慣

子どもの脳にいいこと、悪いこと - 脳科学者が教える頭のよい子に育つ習慣

画像提供:マイナビニュース

「頭のよい子に育ってほしい」。親ならば誰もが願うことだろう。そのためには、たくさん習い事をさせて、食事は栄養が多いものにして……と、並々ならぬ努力が必要と思われがちだが、実はそうではない。脳科学者・川島隆太教授は、特別なことではなく、ごくごく当たり前の習慣こそが子どもの脳を育むと話す。

世界的にヒットしたゲーム"脳トレ"こと『脳を鍛える大人のDSトレーニング』の開発者でもある川島教授は、日本における脳研究の第一人者。今年4月に刊行した著書『頭のよい子に育てるために3歳から15歳のあいだに今すぐ絶対やるべきこと』(アチーブメント出版)では、現代社会で陥りがちな子どもの脳への悪影響、それを回避するために親がすべきことを提唱している。

日常生活に潜む落とし穴を回避しながら、頭のよい子に育てるためにはどうしたらいいのだろうか? さっそく話を伺った。

○朝食は「ご飯+おかず」がベスト

日本の朝食事情は、王道の「ご飯派」「パン派」のほか、最近は「シリアル派」「ジュース派」も増えており、実に多様化している。漠然と"毎日食べればいい"と思いがちだが、子どもにとって一番いい朝食は「ご飯+おかず」なのだという。

「中には"朝は食べない"という人もいますが、食事は必ず1日3食とらなければ脳の100%のパフォーマンスを発揮することはできません。2万人以上の子ども(小学5年生〜中学1年生)を対象に、朝食習慣のある子とない子を比較したデータでは、偏差値に大きな差が出ることが証明されています。また、その中でもパン派とご飯派を比較してみたところ、朝食にご飯食べている子の方が発達がいいことがわかったのです」

同じ主食でありながら、なぜ差が出るのかというと、ご飯派の場合、主食と副菜つまり"おかず"も一緒に食べていることが理由として大きいと川島教授は話す。

「朝食の内容によって朝の脳の働きや集中力を比較する実験を行ったところ、おにぎりしか食べていない子は、朝食を食べていない子とほぼ同じ結果になったのです。これを踏まえ、研究を行ったところ、ご飯だけでなく、おかずに含まれている栄養分もしっかりと摂取することが脳に大きな影響を与えることがわかりました。また、小学生の朝食事情について実態調査を行うと、おかずの品数が少ない子ほど成績が悪いということもわかっています」

○睡眠は「8〜9時間」が脳にいい

日常生活において食事とともに欠かせないのが「睡眠」。"寝る子は育つ"という言葉もあるが、睡眠は子どもの脳にどのような影響を及ぼすのだろうか。

「小学生を対象に睡眠と成績の関係を調べてみたところ、早寝・早起きができていて十分な睡眠時間がとれている子は"総じて成績がいい"という結果が出ました。睡眠不足のときは体力が落ちて体も疲れやすくなりますが、これは脳の細胞にもまったく同じことが言えるのです。個人差もありますが、最も脳に効果的な睡眠時間は8〜9時間といわれています」

とはいえ、子どもがなかなか寝てくれない、起きてくれないという悩みを持つ親も多いはず。川島教授は、「日中にしっかりと日光を浴びていれば、必ず夜には眠くなります。日中の過ごし方を改善してみるといいでしょう」とアドバイスしている。実際、同書によると"東大合格者の約75%は夜11時前に就寝していた"という調査もあるそうで、子どもの将来のためには規則正しい睡眠サイクルを保つことが大事と言えるだろう。

○スマホは「百害あって一利なし」

"スマホ依存"は社会的な問題にもなっているが、スマホは子どもの脳においても多大な悪影響を与えてしまうと川島教授は話す。

「日本のものづくりは、昔から"楽で便利"が重要視されてきましたが、ここ20年ぐらいは携帯電話やパソコンなど"脳が楽で便利"という製品も開発されるようになってきました。スマホはその代表格と言えます。どのような悪影響があるかというと、なんと"記憶を消してしまう"のです。子どもの勉強時間とスマホ(携帯)の利用時間の関係性について調査を行ったところ、毎日勉強をしている子どもでもスマホを長時間使うことによって、勉強をしていない子どもと同じ成績になっているのです」

現状、どのようなメカニズムなのかは判明していないそうだが、インターネットやゲームも同等の影響があると川島教授は言う。これらの結果を踏まえ、同氏は「スマホは1日1時間以内に厳守する」ことが大切だと語る。

○毎日の習慣が頭のよい子を育む

朝食、睡眠、スマホ利用と、日常的な3つの事柄について話を伺ったが、なにより大事なのはしっかり"習慣化"することだという。

「『今朝は子どもが朝食を食べたくないと言うから、今日だけ無しでもいいかな』というのはやめるように心がけてください。これを許してしまうと、子どもが大きくなっても『今日だけ』『今日ぐらい』というのが習慣化してしまうのです。現代社会は、子どもたちの脳を健やかに発達させることが難しくなっています。だからこそ、これら習慣を意識し、子どもの豊かな将来を築いてほしいと切に思います」

※写真はイメージで本文とは関係ありません

○筆者プロフィール: 川島 隆太(かわしま りゅうた)

東北大学加齢医学研究所所長、スマートエイジング国際共同研究センター長。東北大学大学院医学研究科修了、スウェーデン王国カロリンスカ研究所、東北大学加齢医学研究所助手、講師、教授を経て、2014年より同研究所所長。任天堂DSゲームソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」、学習療法を応用した「脳を鍛える大人の音読ドリル」シリーズ(くもん出版)などで一躍時の人となった。人間の脳活動のしくみを研究する「脳機能イメージング」のパイオニアであり、脳機能開発研究の国内第一人者。研究で得た知見を産学連携に応用、その実績から総務大臣表彰、文部科学大臣表彰。『脳が活性化する大人のおもしろ算数脳ドリル』(学研プラス)、『頭のよい子に育てるために3歳から15歳のあいだに今すぐ絶対やるべきこと』(アチーブメント出版)など著書多数。

○頭のよい子に育てるために3歳から15歳のあいだに今すぐ絶対やるべきこと(1,300円・税別/アチーブメント出版)

"脳トレ先生"川島教授の最新脳研究でわかった、"子どもの脳にとって最高の食事"、"声のかけかた"、"睡眠のすべて"。そして、脳発達を阻害しないためのスマホ、テレビ、ゲームとの付き合い方。3歳から15歳の子どもをもつ親が絶対に知るべき賢い脳を育てる絶対の法則がわかる一冊となっている。
(中納俊)

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