笑うより泣く方がストレス解消に? 「涙活」の効果とは

涙を流すことでストレス解消を図る「涙活」 心理的には笑うことよりも効果的とも

記事まとめ

  • 涙を流すことでストレス解消を図ろうという「涙活」には、グッズが充実しているという
  • 発案者の寺井広樹氏は涙婚や涙活支援の住宅提供、涙活パーティなどの企画もしている
  • 心理的には笑うことよりも泣くことの方が、カタルシス効果が高いとも言われているそう

笑うより泣く方がストレス解消に? 「涙活」の効果とは

笑うより泣く方がストレス解消に? 「涙活」の効果とは

笑うより泣く方がストレス解消に? 「涙活」の効果とは

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ


婚活、就活、終活、温活など「○活」が流行っています。

そんな中に「涙活(るいかつ)」もあります。

1か月に2〜3分でも能動的に涙を流すことでココロのデトックスを図ろうというものです。

今では、さまざまなイベントやCDにガイドブックといった涙活グッズも出回っているようです。

今回はこの「涙活」について詳しく見ていきましょう。

「涙活」さまざま

涙を流すことでストレス解消を図ろうという「涙活」。発案者の寺井広樹氏はさまざまな異色コラボを企画してきました。

・涙婚(るいこん)


 婚活パーティで「泣ける落語」「泣ける動画」を鑑賞する。その様子をスタッフがチェックして、同じ泣きツボ同士をマッチングさせる。

・ナクルート


 会社説明会で人事担当者と学生とが、涙を流すことでお互いが「素」となって交流するような場にする。

・涙活支援の住宅提供


 家族とのだんらんを楽しんだり、一人でリラックスできる自分の時間を切り替えられ、感動的な映画や音楽を鑑賞して定期的に涙を流すことのできるような注文住宅の発売。

・イケメン男子のオフィス出張


 メソメソと涙を流すイケメンがオフィスに出張して、女子社員の涙を拭いてくれるサービス。

・涙活パーティ


 仕事帰りの人たちが集まって、動画などを鑑賞して泣く集まり。涙を流した後に座談会などがセットされて、素直に悩みなどが打ち明けられる。


このようなイベントのわき役を飾る「涙活CD」「涙活ミュージックビデオ」、詩の朗読や“泣く語”と称した人情噺などの「コンテンツ」と、さまざまな涙活グッズも充実しているようです。

涙活で「失感情」を脱する

発案者の寺井氏は、知人の女性の「3年以上泣いていない。泣きたくても泣けない体質になった」という話を聞いて「涙活」を思い立ったと言います。

これは、ストレスによる病気ともいえる心身症の原因と関連しています。

ストレスが高じてしまうと、自分を見つめたり困難に対処するよりは、ごまかしたりお酒に逃げたりといった、むしろストレスを避けるような行動に走ってしまうようなことも起こります。

そんな性格傾向を「失感情症:アレクシサイミア」と呼んでいます。アメリカ人の精神科医シフォネスの造語で「感情を表すコトバを失ってしまう」という意味です。

「楽しい、うれしい、悲しい、つらい」といった感情を言葉で表現しない習慣が、これら喜怒哀楽の感情そのものを枯渇させてしまうという現象です。

涙活のきっかけはまさに、失感情的になっている女性に接したことによるものだったといえるでしょう。

涙活はストレス発散、つまり、失感情症からの脱出の機会を与えることになったわけです。

カタルシス

もともとはギリシア語に由来する「カタルシス」。

「精神の浄化」とも訳され、心にたまったわだかまりが解けて、気持ちが浄化されることを意味する用語です。

映画や音楽を鑑賞することで感動したり、笑ったり泣いたりと気持ちがすっきりするのは、まさにカタルシスが果たせたからにほかなりません。

カタルシスはカウンセリングや心理療法では、抑圧された感情を表出するための治療技法ともみなされています。

ただし、感情表出はできるだけ自然の方が効果はあります。

いわば、造られた「笑い」や「泣き」は自然なものに比べると効果が薄れるとも言われます。

笑いよりも効果あり!?

「笑い」がストレス発散に役立つことは以前から指摘されてきました。

血行促進、免疫細胞の活性化、大脳皮質への血流増加、自律神経のバランスを整える、筋力アップなどさまざまな効果が謳われています。

同じように泣くことも、自律神経のバランスを交感神経から副交感神経優位に転じさせる、ストレスによって増えたストレスホルモン「コルチゾール」を減少させる、泣くことでセロトニンの分泌を増やして抑うつ状態を解消するといったストレス発散効果が、生理学や医学の立場から指摘されています。

心理的には笑うことよりも泣くことの方が、カタルシス効果が高いとも言われています。

たとえば、「笑ってごまかす」のように笑いはストレスと上手に距離をとる経験といえますが、泣くのはストレスでつらい自分そのものを表現することでもあります。

ホロリ、おろおろ、さめざめ、シクシク、めそめそ、おいおい、ポロポロ、ワンワン、オンオン、ギャーギャーなど、泣いているときの擬音語を思いつくまま挙げてみても、こんなにたくさんあります。

泣くという経験は多様な感情の表出だということを示唆しています。

いかがでしたでしょうか。

心から笑ったり泣いたりする感情表出は、どちらもストレス発散にとって効果的で、優劣はつけることに意味はないのかもしれません。


【参考】
・NHK NEWS WEB『泣きたい男 泣けない女』(https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2018_0118.html)
・MAKOTO&全米感涙協会『涙活』(https://www.ruikatsu.com/)

<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供


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