魚介類につく寄生虫「アニサキス」が食中毒の原因に! 対処法は?

魚介類につく寄生虫「アニサキス」が食中毒の原因に! 対処法は?

魚介類につく寄生虫「アニサキス」が食中毒の原因に! 対処法は?


執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ


ここ最近、寄生虫

「アニサキス」

による食中毒の報告件数が急増しているといいます。

保健所への届け出が義務付けられていますが、実際の患者数はもっと多いという見方もあります。

アニサキスによる食中毒は、10年前に比べ10〜20倍を超えるとのこと。

厚労省の調べによると、2016年の1年間で124件の患者が確認されています。

魚介類を生で食べる機会の多い方は注意が必要です。

まずはどんな食中毒か理解しておきましょう。

アニサキスの基本情報

アニサキスはクジラやイルカなど海洋哺乳類のお腹のなかで成虫になる線虫です。

その幼虫がサバ、イワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジなど、私たちがよく食べる魚介類に寄生しています。

東京都福祉保健局の調査では、2012〜2017年までに市場に流通する魚介類の47種からアニサキスT型、U型幼虫が検出されています。(※)

※東京都福祉検査局『魚種別アニサキス寄生状況について(平成24年4月から平成29年3月まで)』(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/anzen_info/anisakis/tyousa2.html)

アニサキスの幼虫は体長2〜3cmの糸状をしています。

寄生する魚介類が新鮮なうちは内臓に寄生し、水揚げされてから時間が経って鮮度が落ちると筋肉に移動することがわかっています。

アニサキス症(食中毒)

アニサキスの幼虫が寄生している魚介類(生食、冷凍や過熱が不十分なものを含む)を食べると、

アニサキス症

という食中毒を引き起こします。

アニサキスが胃壁や腸壁を傷つけるため、激痛や嘔吐などの症状がでます。

急性胃アニサキス症


食後数時間後から数十時間後、みぞおちあたりの激しい痛み、吐き気や嘔吐が起こります。

急性腸アニサキス症


食後数十時間から数日後、激しい下腹部痛、腹膜炎症状が起こります。
腹膜炎は腹部の臓器を覆っている腹膜に炎症が起こる疾患です。
急性の場合、突然の激しい痛みが特徴です。

実際には、アニサキス症の多くが急性胃アニサキス症といわれています。

原因魚はサバが多かった

東京都健康安全研究センターによると、アニサキス症の原因魚種として最も多いサバの寄生状況を調査したところ、218尾中162尾からアニサキスT型幼虫が検出されました。実に74.3%という割合です。(※)

既にお伝えしたように、アニサキスは寄生する魚介類の鮮度が落ちると内臓から筋肉へ移動しますから、「内臓をとれば安心」とはいかなくなります。

刺身の柵(サク)や切り身でも寄生している可能性があるので要注意です。

ちなみに、シメサバにもアニサキス症の報告は多くみられます。

※東京都健康安全研究センター『アニサキス症とサバのアニサキス寄生状況』(http://www.tokyo-eiken.go.jp/assets/issue/health/webversion/web28.html)

アニサキス症の治療

激しい腹痛などをともなうため、医療機関を受診することになりますが、今のところ幼虫に対する効果的な駆虫薬は開発されていません。

治療法に関しては、胃アニサキス症の場合、胃内視鏡で虫体を探して摘出する手術が一般的です。

一方、腸アニサキス症は、胃と違って内視鏡で取り除く方法が困難ですので、対症療法で様子を見ます。

症状が悪化すると外科的処置として開腹手術が施されます。

アニサキス食中毒を予防する

アニサキスによる食中毒を防ぐには、とくに

内臓など寄生している可能性がある部位を取り除く

か、

中心部まで70度以上で加熱

する、あるいは、

マイナス20度以下で24時間以上中心部まで完全に冷凍

するよう注意喚起されています。

また、厚生労働省は消費者に対して次のような注意を行っています。

新鮮な魚を選んで購入する丸ごと一尾で購入した際は速やかに内臓を取り除く内臓を生で食べない目視で確認して、アニサキス幼虫を除去する一般的な料理で使う食酢での処理(シメサバなど)、塩漬け、醤油やワサビをつけてもアニサキス幼虫は死滅しない


これらの注意喚起は消費者に限らず、生鮮魚介類を取り扱う事業者も同様です。

以下は事業者向けのリーフレット(※)です。一般の消費者にも参考になる内容です。

※厚生労働省『アニサキスによる食中毒を予防しましょう』(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-)Shokuhinanzenbu/0000171143.pdf


食中毒は、事業者と消費者がともに注意して予防を心がけ回避しなければなりません。

とくに日本は、新鮮な魚を生の刺身や寿司にする、あるいはたたきや酢締めなど半生に調理する、といった食文化が根付いています。

魚介類の生食が原因となる寄生虫症のなかで、アニサキス症が日本で最も多いゆえんでしょう。

身近な食べ物だけに、くれぐれも気をつけてください。


<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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