AYA世代(思春期・若年成人)に発症する「若年がん」の特性を知って!

AYA世代(思春期・若年成人)に発症する「若年がん」の特性を知って!

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執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ


子どもから大人になっていく過程の

AYA(アヤ)世代

印象深いライフイベントが次々にめぐってくるこの時期に、「がん」という病気と向き合う本人や周囲の人たちには、どのような心構えが必要になるのでしょうか。

今回は

「若年がん」

の現状や特性についてお伝えします。

AYA世代:人生の基盤を作る時期

あなたは

「AYA世代」

という言葉を耳にしたことはありますか?

英語の「思春期と若年成人」を意味する「

A

dolescent and

Y

oung

A

dult」の頭文字をとって作られた言葉で、15〜39歳ぐらいまでの年代を指します。

AYA世代の前半にあたる思春期は、成人として自立するまでのとても多感な時期です。

だれもが学業や就職など、将来についての悩みを抱えているでしょう。

また、友人や恋人、さまざまな人間関係が形成され、生活のなかで重要な位置を占める時期でもあります。

そして、AYA世代の後半は、結婚をして家庭をもち、子どもが誕生して親の介護が始まるなど、さらに多様なライフイベントが続きます。

社会的な立場も変化する過程で、人生の基盤が形成される時期といえるでしょう。

AYA世代のがんはめずらしい?

がんを発症しやすい年代というと、一般的にイメージするのは中高年から高齢者だと思います。

事実、がんと診断される罹患率(りかんりつ)や、がんによる死亡率が最も少ない年代はAYA世代です。

とはいえ、AYA世代のがんの発症が滅多にない…というわけではありません。

国立がん研究センターの調査によると、2009年〜2011年のがん罹患率をもとに、1年間でがんと診断された数の推計は、0〜14歳の小児で約2,100例、15〜19歳で約900例、20歳代で約4,200例、30歳代で約16,300例と報告されています。

しかし、2014年に新たに診断されたがん患者は全体で867,408例でしたから、総数と比較する限りAYA世代のがんは希少といえるでしょう。


小児と成人の境目にあたるAYA世代のがんは、治療が困難になりやすいという側面を持っています。

その理由の一つは、小児がんと成人がん、両方のがんが発症し得ることです。

また、さまざまな種類のがんが存在する一方、症例が少ない若年がんは治療法の開発が遅れているという事情も伴います。

さらに、若いからと本人が身体の不調を見過ごしやすいうえ、病院でも小児科とがんを診療する専門科との連携が不十分で治療が遅れる、といった点も挙げられます。

AYA世代のがんの特徴

AYA世代に発症するがんには、どのような特徴があるのでしょうか。

ひとくくりにAYA世代といっても、年代ごとに発症しやすいがんの種類は異なります。

15〜19歳では、0〜14歳の小児と同じく第1位が白血病で、以降、脳腫瘍、リンパ腫、胚細胞腫瘍・性腺腫瘍と続きます。

20〜29歳では、胚細胞腫瘍・性腺腫瘍や甲状腺がんが多く、30〜39歳になると乳がんや子宮頸がんが急増します。

20〜30代は女性特有のがんの発症が増加することから、女性の罹患率が高くなる、という性別の差もみられます。

こうした傾向は統計データ(最新がん統計)でも示されていますが、医療機関ごとにみると、AYA世代のがん患者がきわめて少ない施設も見受けられます。

AYA世代のがん治療に注力している病院がある一方で、地方などでは専門医が不足しています。

本来必要に応じて小児科も関わることが望ましい15〜19歳の若年がんの診療を、経験の少ない成人診療科が担うケースが多いという現状もうかがえます。

若年がんに求められる医療のあり方とは…

がんと向き合おうとするときに生じる困難は、病気そのものだけではなく、日常生活や人間関係、人生設計など広範囲に影響を及ぼします。

とりわけ大人への成長過程で多くのライフイベントに直面するAYA世代にとって、がんと診断されて抱える問題の大きさは計り知れません。

そのような状況下で少しでも前向きに病気と相対するには、できる限り学校や仕事に支障なく、本人が望む日常生活を継続できる治療法が必要でしょう。

なかには、基本的に治療は外来で行う、多様な治療の選択肢を提示する、といった対応を取っている病院もあります。

また、がんの治療が将来の妊娠や出産などのライフプランの妨げとならないよう、小児科と産婦人科が連携するなどのサポート体制をとっている施設もあります。


このようにAYA世代のがん治療は、特有の悩みを緩和できる医療体制の確立が強く求められています。

そして私たちは、万が一自分や家族ががんと診断されたとき、起こり得る問題や治療法の種類などについて正しい情報を知っておくことも大切です。


<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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