話題の『真空低温調理』 メリット・デメリットや家庭での活用法

話題の『真空低温調理』 メリット・デメリットや家庭での活用法

話題の『真空低温調理』 メリット・デメリットや家庭での活用法


執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ


ここ最近TVや書籍などでも取り上げられるようになった

『真空低温調理』

興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

「煮る」「蒸す」「焼く」に続く「第4の調理法」とも呼ばれる画期的な調理法です。

そんな真空低温調理について、基本情報と自宅での活用ポイントを管理栄養士がご紹介します!

真空低温調理の基礎知識

「低温調理」「真空調理」とも呼ばれる調理法のひとつです。

フランスで食肉加工業を営む料理人ジョルジュ・プラリュ氏が、1974年にフォアグラの調理に考案した調理技法といわれています。

日本では、1986年に山梨県富士吉田市にあるホテル「ハイランドリゾート」の洋調理長をしていた谷孝之氏が、真空低温調理法を独自に開発しました。

その後ホテルやレストランを中心に普及し、現在では病院や介護施設などでも広く活用されています。

大まかに説明すると、食材を袋に入れ真空状態にして適度なお湯に浸し、真空低温調理に適した調理器で温度×時間を管理して加熱するというプロセスになります。

この調理法の特徴で最大のメリットは、柔らかくジューシーに仕上がることです。

その他にも次のようなメリットがあります。

安定した品質で仕上がる


一般的に料理の仕上がりというのは、調理法や調理器具、食材の温度や切り方など、さまざまな条件によって左右されます。

調理する人の感覚に委ねられる側面が多分にあるといえるでしょう。

一方、真空低温調理では、温度と時間を適正に管理すれば、誰でも簡単に一定の品質で作ることができます。

美味しさが増す


真空状態にして調理しますので、素材から出たうま味成分などを逃がさず美味しく仕上がります。

栄養素を逃がさない


うま味だけではなく水に溶けだす栄養素も摂取できます。

この利点を活かして、栄養価の高い食事を必要とする病院などで取り入れられています。

このように、真空低温調理法は誰でも簡単に、美味しくてなおかつ栄養素を逃がさず、一定の品質を保って作ることができる、お得な調理法といえます。

真空低温調理法の原理

真空低温調理法のポイントとなる成分が

「たんぱく質」

です。

たんぱく質は熱でその構造が変化し、これを

「熱変性」

と言います。

たとえば、生肉は、焼くと白っぽい色に変わって硬さが増し、徐々に縮まって少し小さくなりますね。

これは、肉に含まれるたんぱく質の熱変性によって起こる現象です。

生肉は保水力がとても高く、水分やうま味成分(いわゆる肉汁)が閉じ込められていますが、加熱するとその保水力が低下して肉汁が出てきます。

65度程度で肉汁の流出が起こり、さらに温度が高くなると蒸発します。

一方、真空低温調理の温度帯は60〜100度程度ですから、熱変性が進みすぎることなくジューシーな仕上がりを実現できるのです。

また、真空状態ですので熱が均一に伝わります。

そのため、うま味が流れ出すことなく凝縮され、味付けに加えられるというわけです。

この性質から、肉や魚などたんぱく質が豊富な食材の調理に向いていますが、野菜や果物などにも活用できます。

真空低温調理のデメリット

革新的な調理法の真空低温調理ですが、デメリットも理解しておきましょう。

【衛生面の管理に要注意】

低温で調理しますので、手順を間違えると殺菌が不十分で、食中毒や腐敗が起こりやすくなります。

食中毒菌の適温帯は20〜50度、ほとんどの食中毒菌は75度で1分以上加熱しないと死滅しません。

そこで厚生労働省は、安全を保つために食材の中心温度を75度で1分以上、また食肉の製造においては、中心温度を63度で30分加熱することを基準としています。

また、真空状態にする前の食材の取り扱いや、清潔な調理器具を使用するのはもちろんのこと、調理温度や時間もしっかり守る必要があります。

【時間がかかる】

低温で調理をしますので、十分な加熱にはそれなりの時間を要します。

メニューにもよりますが、1時間、5時間、9時間などさまざまです。

ただし、基本的に置いておくだけですから、計画的に進めればデメリットにならないかもしれません。

家庭で活用するポイント

第4の調理法とも呼ばれる真空低温調理法、ぜひ家庭料理にも取り入れたいところです。

失敗なく安全に活用するために、次の4つのポイントを押さえましょう。

(1)まずは「清潔」


デメリットで触れたとおり、この調理法で最も気をつけたいのは衛生面です。
基本は「菌をつけない」こと。

手洗いを十分に行い、調理器具もしっかり洗浄しましょう。
肉や魚はできるだけ手で触れる回数を少なくするか、ビニール手袋などを利用してもよいでしょう。
野菜や果物もよく洗ってください。

(2)保温するときには温度をチェック


最近では家庭用の専用器具も登場して、空気を抜く工程や温度管理が適切にできます。
積極的に取り入れたい場合は、そうした器具の利用を推奨します。

耐熱性のあるポリ袋、炊飯器やIHコンロの保温機能などを利用する際は、空気をしっかり抜き、適正な温度が保たれているか温度計で確認しながら調理しましょう。

なお、一般的な炊飯器の保温温度は、70〜75度に設定されています。

(3)食材は小さくカット、小分けでパック


火の通りをよくするためには、食材を小さめカットして、小分けにしてパックしましょう。

(4)保存するなら調理後すぐに冷却


すぐに食べないで保存する場合は、調理後速やかに冷やしてください。
お伝えしたように、食中毒菌が繁殖しやすい温度帯をできるだけ短い時間にするためです。
10度以下で保存しましょう。


誰でも美味しく簡単にできる真空低温調理法。

適正な方法を守って取り入れれば、日々の献立の幅が広がること間違いなしです。


<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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