とにかく人目を引きたい 「演技性パーソナリティ障害」

とにかく人目を引きたい 「演技性パーソナリティ障害」

とにかく人目を引きたい 「演技性パーソナリティ障害」


執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)


「演技性パーソナリティ障害」の人は、周囲の気を引き、感情や考えをオーバーに表現し、化粧や服装など“外見に凝る”といった行動をとります。

他者の目を引きつけるために、演技・仮面・ウソを用いて酔いしれます。

装飾的で派手な生き方を好み、セックスアピールにも長けている半面、地道な家庭生活や、平凡だけれど内面が充実するような人間関係を築くことができません。

今回はそんな「演技性パーソナリティ障害」の特徴と、このタイプの人への接し方について見ていきましょう。

演技性パーソナリティ障害の特徴

「天性の誘惑者にしてウソつき」

演技牲パーソナリティ障害を端的に表現したキャッチコピーです。このタイプは、他人を魅了していないと自分が無価値だと思い込んでいます。

ですので、相手の注意を引きつけるためなら、自分をおとしめたり傷つけたりすることも構いません。

パーソナリティ障害群の中でも最も衝動的で、自殺や危なっかしい情事、薬物乱用、犯罪にも関わりやすいのが特徴です。

空想の自分と現実の自分の間で苦しむ

演技性パーソナリティ障害の人は、他者からの評価を得るために自分が空想する幻の自分を作り出し、空想の自分と現実の自分とを錯覚しています。

そして、このギャップを演技やウソで穴埋めしようとします。

学歴を詐称したり、名家の出だと言ったり、体裁や外見、ステータスやブランドなどを重要視します。異性の気を引くことにも熱心ですが、長続きしません。

家庭生活などには向かず、結婚しても離婚を繰り返すこともあります。同性の友人との関係は表面的になりがちです。

両親の不倫や異性問題も、この障害との相関を示唆しています。

この障害の人との接し方

このタイプには、2つの接し方が指摘されています。

ひとつは「演じている仮面・ウソ」を賞賛し、相手が期待する反応を示すこと。

もうひとつは、逆に「仮面・ウソ」を暴き、このタイプを遠ざけることです。

後者では絶交状態となって、悪評を振りまかれる恐れがあります。従って、本人との関係を維持するには、演技やウソを面と向かって指摘しないのが原則です。

ただし、当人の望むままにしていると、振り回され、本人の障害を強化することになります。

冷静に対処し、行動の背後にある寂しさに注意を向けさせるよう接していくことで、仮面やウソが影を潜めていく可能性があります。

なお、このタイプはパニック障害などの身体表現症状も出やすいです。症状が出たら、まず休息させます。

そのうえで、症状に振り回されずに、自分で対処させるようにすることで、現実とつき合えるように仕向けていく努力が求められます。

演技性パーソナリティ障害の克服

「自分自身と向き合うこと」と「地道な努力を積み重ねることの価値を理解すること」が、演技性パーソナリティ障害克服のポイントです。

生活がある程度波乱万丈でないと自分が保てないタイプですが、それだけではイソップ童話『アリとキリギリス』のキリギリスだと悟ることで、克服につながっていきます。

平凡・身近なこと・ささやかな習慣を大切し長続きさせることがこのタイプに最も不足しているのこと。内省する時間を持つ、日記をつける、読書をする、植物・小動物の世話をする等といったことが有効です。

<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長

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