女性もAGAに? 女性型AGA (男性型脱毛症)について

女性もAGAに? 女性型AGA (男性型脱毛症)について

女性もAGAに? 女性型AGA (男性型脱毛症)について


執筆:青井 梨花(助産師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ


「最近、髪の分け目が目立つ」「髪にコシがなくなってきた」など、髪にまつわるお悩みを持つ女性の方も少なくないでしょう。

昨今、テレビCMでもよくみかけるようになったAGA(Androgenetic Alopecia;男性型脱毛症)。

しかし男性だけでなく、じつは女性にも起こることをご存知ですか?

今回は、そんな「女性型AGA(FAGA;Female Androgenetic Alopecia)」の原因と対策をお伝えします。

AGAのメカニズムとは

ヒトの毛髪は、以下のようなヘアサイクルを繰り返しながら、1本1本生え変わっています。

成長期


 新たに毛をつくる器官「毛包」が、2〜6年ほどかけて太く長く成長する

退行期


 その後、約2週間で、毛の生成が弱まって萎縮する

休止期


 約3〜4ヶ月かけて、萎縮した毛は、次の新しい毛が生まれてくると押し出されるように自然に抜け落ち、そこにまた新しい毛が伸びてくる

しかし、毛が太くしっかりと成長する途中の、まだやわらかく細い状態で毛が抜け落ちてしまい、ヘアサイクルの乱れがくり返し起きると、次第に毛包が小さくなります。


すると、成長期の期間が短くなり、充分に成長しない細い毛の状態で、退行期や休止期を迎えることになり、いわゆる薄毛の状態となります。


これがAGAです。

また、AGAはとくに頭頂〜前頭の毛髪が薄毛になるのが特徴です。

AGAの原因

AGAの原因として、血液中にある男性ホルモン(テストステロン)が関係しているといわれます。

男性ホルモンが、頭皮にある「U型5α-リダクターゼ」という酵素とくっつくと、より作用の強い男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変化します。

このDHTが、毛包の根っこ部分にある「毛母細胞(毛髪をつくる細胞)」に入り込み、ホルモンを感知する器官「アンドロゲンレセプター」に結びつくと、毛の成長を抑える因子がはたらき、毛髪が十分成長する前に抜け落ち、ヘアサイクルの乱れが生じるのです。

5α-リダクターゼの分泌量には個人差があり、分泌量が多い体質は遺伝によるものと推測されています。

また、アンドロゲンレセプターにDHTがくっつきやすいかどうかにも、個人差があるといわれます。

このように、AGAの原因として、男性ホルモンの影響が挙げられます。

では、女性にも「男性型」脱毛症が起こり得るのでしょうか?

女性型AGAとは?

女性も、おもに副腎から男性ホルモンが分泌されています。

しかし、30代頃まで女性ホルモンの方が圧倒的に多く分泌されているため、通常は男性ホルモンからの影響はあまり受けません。

その後、40代前後から徐々に女性ホルモンの分泌量が減少してくると、相対的に男性ホルモンの影響を受けやすくなり、男性と同じメカニズムでAGAを発症するのではないか、と考えられています。

更年期前後から閉経後の女性にAGAが多い傾向がみられるのは、このためではないか、といわれますが、まだ明確にはわかっていません。

なお、加齢による老化現象のひとつとして、毛が細くなってきたり、髪の毛の量が減ったりすることは、男女問わず生理的にみられるものですから、更年期以降、だれにでも大なり小なり毛の量に変化はみられるものではあります。

女性型AGAの特徴

女性型AGAは、男性のAGAの脱毛パターンと異なり、前頭部〜頭頂部全体という比較的広い範囲で毛髪が薄くなり、頭皮が透けて見えるようなパターンが多くみられます。

このような脱毛パターンを起こすものとして、甲状腺疾患や貧血など、病気が原因のものもあります。

その場合は根本の病気の治療が主となります。

女性型AGAの治療法

女性型AGAの場合もまた、病院やクリニックの皮膚科もしくは脱毛専門外来で治療を受けることができます。

日本皮膚科学会の「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年)」によると、女性型AGAでも、AGAと同じく「ミノキシジル」という成分配合の外用薬が推奨されています。

また、AGAではDHTがつくられるのを防ぐ薬として、フィナステリド配合の内服薬も推奨されています。

しかし、女性の場合は、更年期以後の女性には無効であることと、副作用があることから、使用不可となっています。

そのほか、医学部外品として、薬局で入手可能な育毛剤に関しては、「明確な発毛効果が実証されてはいないが、用いてもよい」とされています。

頭皮の健康を守る生活習慣とは?

間接的にはなりますが、そもそも頭皮と髪の健康は、日常の生活習慣とかかわりがあるといわれています。

ですから、次のことを日々心がけるとともに、頭皮の清潔を保つなど、頭皮環境をととのえていくことも対策のポイントです。


(1)バランスの良い食事
 
(2)生活リズムをととのえる
 
(3)ココロとカラダのリラックスや適度な運動をして、ストレスをためない
 
(4)禁煙


昔から「女性の命」といわれてきた髪。

髪はその人のイメージを大きく印象づけるひとつでもありますから、脱毛は切実な悩みですね。

でも、最近では、以前よりも良質で手頃なウィッグも多数販売されていることから、「おしゃれを楽しむのもひとつの方法」と前向きに捉える方も増えているようです。


<執筆者プロフィール>
青井 梨花(あおい・りか)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー
株式会社 とらうべ 社員。病院や地域の保健センターなど、さまざまな機関での勤務経験があるベテラン助産師。
現在は、育児やカラダの悩みを抱える女性たちの相談に応じている。プライベートでは一児の母。


<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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