「おたふく風邪」や「リンゴ病」 “子どもの病気”に大人がかかると?

「おたふく風邪」や「リンゴ病」 “子どもの病気”に大人がかかると?

「おたふく風邪」や「リンゴ病」 “子どもの病気”に大人がかかると?


執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ


子どもがかかると軽くてすむことが多いのに、大人がかかると重症化したり、合併症のリスクが高くなったり、命の危険さえある病気があります。

その理由は分からないことも多いようですが、子どもで大したことがなかったからといって、甘く見ないようにしなければなりません。

どの疾患もワクチン接種をすることで予防できる病気です。

自分に抗体があるのかどうか、とくに妊娠する可能性のある女性およびその配偶者には、調べてみることをおすすめします。

それでは、大人が注意すべき病気を紹介していきましょう。

風疹

風疹は、子どもの病気と思われがちですが、患者の8割以上が20〜40歳代です。

予防は、ワクチン接種です。

1回のワクチンで約95%、2回のワクチンで99%の予防効果があるとされています。現在風疹ワクチンは定期接種となっていますが、20代以上のある世代では行われていなかったため、ワクチン接種をしていない人がいます。

そのため、1万人を超える患者の多くは、20代〜40代の男性です。

症状は、発熱後、赤い発疹、リンパ節の腫脹などですが、子どもよりも大人は、重症化する傾向があります。

妊婦が風疹にかかると、生まれてくる赤ちゃんに心臓病、難聴、未熟児などの可能性があります。

はしか

はしかは、小児期に多い病気で、麻疹ウイルスによって引き起こされます。

感染力が強く、免疫をもっていない人が感染したら、100%発症するといわれます。

感染してからの症状の経過は、次の3期に分かれます。

1.前駆期

発症して、1〜4日ほどは、38℃前後の高熱と咳、くしゃみ、鼻水、倦怠感など風邪症状がでます。

口内炎がでることもありますが、コブリック斑と呼ばれる白いブツブツがでれば、麻疹と診断されます。

2.発疹期

一端熱が下がって、再び39〜40℃の高熱がでます。

顔や首、胸から発疹が出始め、全身に広がります。風邪症状もひどくなり、発疹にかゆみが出る場合もあり、つらい時期です。

3.回復期

発症後、10日ほどで回復に向かいます。熱がさがって、風邪症状もおさまります。

発疹は黒ずんでいき、しばらくして消えていきます。

水疱瘡(みずぼうそう)

水疱瘡は、水痘帯状疱疹ウイルスによる感染症で、正式名を「水痘(すいとう)」といいます。

子どもの病気の代表ですが、生まれてから一度も水疱瘡を経験していない大人は、油断できない病気です。また、一度水疱瘡にかかったことがある人でも、免疫力が低下したときに、帯状疱疹という発疹を症状とする疾患を発症することがあります。

2週間の潜伏期間があり、10~21日ほどで初期症状がでてきます。

その後、発熱、食欲の低下、倦怠感、軽度の頭痛などが現れます。水疱瘡だとは気がつかず、症状が悪化してから病院にいき、隔離されることもあります。

重症の水疱瘡では、合併症として、肺炎、心内膜炎、関節炎、肝炎、脳炎などが起きる可能性があります。また、喫煙している人は、肺炎を合併しやすくなります。

妊娠12〜20週未満に感染すると、胎盤からの感染を起こし、「先天性水痘症候群」を発症して未熟児や精神発達遅滞、白内障などを起こします。

分娩前後に感染した場合、新生児にも産道感染する可能性があり、新生児水痘を発症します。新生児水痘は、致死率が20〜30%と、重症になりやすいです。

おたふく風邪

医学名で「流行性耳下腺炎」といいます。ムンプスウイルスへの感染で発症します。1年中発症しますが、最も多いのは冬の終わりから春先にかけてです。

感染経路は、飛沫感染や接触感染です。

感染力が非常に強く、子どもの看病をしていて感染する場合もあります。

初期症状には、首や耳下腺が腫れ、痛みがでます。高熱が3〜5日続き、ほぼ1週間で治まります。

おたふく風邪の特効薬はなく、対症療法が中心です。

おたふく風邪の怖いのは、合併症を起こしやすいところです。

骨髄炎、心筋炎、膵炎、肝炎、甲状腺炎、難聴、などを起こす場合があります。それ以外に、男女別に合併症のリスクがあります。

男性にあるリスク

男性は、20〜30%位の確率で、睾丸炎になる可能性があります。

耳の下が腫れ、4〜10日ほどで片方の睾丸の激痛や腫れ、陰嚢が赤くなるなどの症状がでます。

女性にあるリスク

女性は卵巣炎の可能性もありますが、7%ほどで、不妊症の心配はそれほどありません。

ただ、下腹部痛、高熱、おりものの増加などの症状がでますので、注意が必要です。

おたふく風邪が問題となるのは、妊娠していた場合です。妊娠初期の場合は、流産の確率が高まるといわれています。

しかも、おたふく風邪のワクチンは、妊娠中には接種できません。妊娠前に検査して、必要ならばワクチン接種を受けましょう。

<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー


<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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