ジュースの飲み過ぎが原因で「ペットボトル症候群」に?

ジュースの飲み過ぎが原因で「ペットボトル症候群」に?

ジュースの飲み過ぎが原因で「ペットボトル症候群」に?


執筆:吉村 佑奈(助産師・保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ

暑い季節には、飲み物を飲む量や回数が増えますよね。

水分補給をするときには、何を飲んでいますでしょうか。

ついつい砂糖がたくさん入った甘いジュースを選んでいませんか?

そのような方へはぜひ気をつけてほしい「ペットボトル症候群」について、お話しいたしましょう。

「ペットボトル症候群」について

ペットボトル症候群とは、ペットボトルなどで糖質が多く含まれる飲料を大量に飲み続けることで起こるさまざまな症状のことで、1992年に日本糖尿病学会で報告されました。


正式には「清涼飲料水ケトーシス」と呼ばれています。

「ケトーシス」とは、体内に大量のケトン体が蓄積されることをいいます。

つまり、ペットボトル症候群は、糖質を多く含む清涼飲料水を大量に飲み続けることで身体にケトン体がたくさんたまり、不調をきたしている状態なのです。

この「ケトン体」とは一体なんなのでしょう?

また、なぜ糖質をたくさん摂ると、ケトン体が溜まってしまうのでしょうか。

次からそのメカニズムを見ていきましょう。

ペットボトル症候群のメカニズム

ヒトは糖質を摂取すると、血糖値が上がります。

すると、身体は膵臓からインスリンを分泌して血糖値を元に戻そうと働きます。インスリンには、ブドウ糖を細胞内に取り込み、エネルギーに変換する働きがあります。

糖質の摂取量が多い状態が続くと、インスリンの働きが間に合わなくなり、ブドウ糖からエネルギーを作り出すことができなくなってしまいます。

すると、身体は脂肪を分解してエネルギーを作り出そうとします。

この過程で肝臓で作られるのがケトン体です。

ケトン体は、脳のエネルギー源となるなど、身体にとって必要な働きをしています。

しかし、同時に体液を酸性に傾かせる作用もがあるため、ケトン体が大量に蓄積されることで、体液のpH(水素イオン濃度)が変わり、さまざまな症状を引き起こしてしまうのです。

清涼飲料水を大量に飲み続けることは、ケトン体の蓄積につながる、ということなのです。

ペットボトル症候群になるとどんな症状が出る?

ペットボトル症候群では、次のような症状が現れます。

のどの渇き、多尿

血糖値が急激に高くなると、その濃度を薄めようと、水分を欲するようになります。そのため、のどが渇くことがあります。

また、このときにさらに水分を摂ることで、多尿の症状も現れます。

だるさ、イライラ

血糖値が急激に上昇し、インスリンが大量に分泌されることで、低血糖状態になることがあります。すると、だるさやイライラなどの症状が現れます。

意識障害

ケトーシス状態が悪化すると、血液や体液がさらに酸性に傾きます。

血液が酸性に傾くと、血液中の赤血球と酸素が結合しにくくなるため、脳や全身に十分な酸素を届けられなくなります。その結果、意識障害が起こります。

ペットボトル症候群と糖尿病

先に述べた症状を見て、気づいた方もいるかもしれませんが、ペットボトル症候群は糖尿病と大きく関係しています。

本来、ケトーシスはインスリンが全く分泌されなくなる1型糖尿病で起こりやすく、インスリンが多少でも分泌されている2型糖尿病では起こりにくいと考えられていました。

ところが、2型糖尿病でケトーシス状態に陥る人が増えはじめるようになりました。

そこで、原因を調べたところ、清涼飲料水を大量に摂取しているという共通点が発見されたのです。

糖尿病やその予備軍の人の中には、「自分は糖尿病(あるいは予備軍)である」という病識がない方もいます。

そのような状態で清涼飲料水を大量に飲むことで、ペットボトル症候群を発症してしまう人が増えたといわれています。

ペットボトル症候群を防ぐ方法

ペットボトル症候群を予防するためには、やはり飲み物の選択がカギとなります。


コーラやジュースにはおよそ10%の糖質(500mlの場合はおよそ50g)、スポーツドリンクにはおよそ5〜6%の糖質(500mlの場合はおよそ25g)が含まれています。

これに対して、砂糖・果糖・ぶどう糖などの吸収されやすい糖類の1日あたりの摂取量目安はおおよそ25gです(WHO基準)。

食事や間食にも糖質は含まれるため、水分補給をするときは水やお茶を選ぶようにしましょう。フレーバー入りの無糖炭酸水もおすすめです。

運動時や熱中症対策でのスポーツドリンクは2〜3倍に薄めたり、どうしても甘いものを飲みたいときは、成分表示を確認し、できるだけ糖質が少ないものを選ぶ癖をつけましょう。


ペットボトル症候群の患者は、10〜30代の男性に多いことがわかっています。

ただ、これに該当しないからといって、リスクがないわけではありません。

夏になると、どうしても冷たくて甘い食べ物や飲み物に手を伸ばしてしまいたくなりますが、自分の身体のためにも、飲み物選びを見直してみてください。

<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
助産師・保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供


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