“イイにおい”が原因で体調不良? 「香料アレルギー」とは

「香料アレルギー」イイにおいで体調不良に 日本消費者連盟が「香害110番」開設

記事まとめ

  • 芳香剤や柔軟剤、お菓子など、香料のにおいがダメ!という人も増えているという
  • こうした人たちが増加していることを懸念して、各自治体による「香料自粛」の動きも
  • 「香料アレルギー」「匂いアレルギー」は、特定のにおいで体調が悪くなる過敏症の一種

“イイにおい”が原因で体調不良? 「香料アレルギー」とは

“イイにおい”が原因で体調不良? 「香料アレルギー」とは

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執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ

日本人の消臭意識は、世界的にもずば抜けて高いといいます。

「過敏すぎる」と指摘される向きもあります。

そして、芳香剤や柔軟剤、お菓子など、香料のにおいがダメ!という人も増えています。

あらゆる日用品にいい香りをつける風潮が加速するなか、こうした人たちが増加していることを懸念して、各自治体による「香料自粛」の動きも広がりをみせています。

今回は、「匂いアレルギー」とも呼ばれる「香料アレルギー」について、ご説明しましょう。

香料アレルギーの症状

「香料アレルギー」は、特定のにおいを吸うと息苦しさやめまいなどの症状がでて体調が悪くなる過敏症の一種です。

においの成分に含まれる化学物質へのアレルギー反応であると考えられています。

「匂いアレルギー」「臭いアレルギー」とも呼ばれています。

対象として多く挙げられるにおいは、香水、柔軟剤、化粧品やシャンプー類、タバコなどです。

昨今は「香害」という表現もあり、日本消費者連盟が「香害110番」という電話相談(※)を開設したところ、多数の訴えが寄せられたといいます。

従来の「生乾き」「汗臭さ」「体臭」のような臭さではなく、「いい匂い」が迷惑や体調不良の原因になるという現象が起こっているのです。

※日本消費者連盟『草の根で広がる香害なくす運動』(http://nishoren.net/publishment/comsumer-report/9439)

化学物質過敏症

香料アレルギーは、香料に含まれている化学成分がアレルゲンとなるアレルギー反応です。

このように、化学物質がアレルゲンとなって引き起こされるアレルギー反応を「化学物質過敏症:Chemical Sensitivity 」といいます。

1950年代にアメリカ人医師によって提唱され、2009年から厚生労働省の病名リストに登録されています。

化学物質過敏症支援センター(※)によると、「何かの化学物質に大量に曝露(=さらされること)されたり、または、微量だけれども繰り返し曝露された後に、発症する」とのことです。

※化学物質過敏症支援センター『化学物質化敏症について』(http://www.cssc.jp/cs.html)


原因となるアレルゲンには次のようなものがあります。

 ・香水やシャンプー、柔軟剤、化粧品などの合成香料

 ・タバコの副流煙の化学物質

 ・塗料などに含まれる揮発性がある有機化合物

 ・排気ガス ・殺虫剤や除草剤 ・シンナー ・大気汚染

また、化学物質過敏症には次のような症状が発症します。

<吸い込みによるもの>

 ・咳   ・のどや鼻の症状 ・息苦しさなど気管支の症状
 ・動悸  ・めまい     ・吐き気
 ・手足の冷えやしびれ    ・目がちかちかする
 ・頭痛  ・睡眠障害    ・うつ    

<接触によるもの>

 ・皮膚の発疹 ・皮膚のかゆみや腫れ ・アトピー性皮膚炎

なお、自律神経失調症や心身症、あるいは更年期障害などの症状と、区別が難しいとする専門医もいます。

においを気にし過ぎる日本人

冒頭でも触れましたが、日本人は世界的に見てにおいに敏感といわれています。

きれい好き、清潔・潔癖好きともいわれています。

体臭や口臭などで他人に不快な思いをさせることを嫌って、自分のにおいを周囲の人がどう感じているか、気にする傾向は従来からありました。

もちろん、限度をわきまえている分には問題ないのですが、エスカレートすると極端な潔癖主義など病気の領域に入っていきます。

メンタルな恐怖症のなかには、不潔を極度に恐れたり他人に不快な思いを与えていると思い込んだりする病気もあります。

また、個人レベルにとどまらず集団や社会といったレベルで、においを極度に嫌い、極端な清潔さに走る可能性がないとはいえません。

においで他人に不快な思いをさせる人に対して「スメハラ(スメルハラスメント)」という造語まで生まれるくらいです。

それだけに、香料アレルギーも、ともすると「気にしすぎじゃないの!?」という目で見られてしまいがちです。

自治体による「香料自粛」呼びかけ

猛暑の本場として知られる埼玉県熊谷市。

市役所の入り口にミントの香りを漂わせる機器を設置したところ、市民から「香りが苦手」と苦情が多発し、除去を余儀なくされたそうです。

こうした事例はいくつかの自治体でもみられますし、香水や整髪料を公共の場では控えるようにという、自粛のお願いを発している自治体もあります。(※)

※化学物質過敏症支援センター 『香料自粛のお願い〜近くの公共施設、病院にお願いをしてみませんか。』(http://www.cssc.jp/kouryo_jisyuku.html)


イイにおいが辛い「香料アレルギー」と、国民性ともいえる清潔や潔癖さを好む現代社会…

人間とにおいの関係は実に複雑です。

これからも「健康」と絡めて論議されていくと推察します。

現時点で大切なことは、「自分はイイにおいと感じても他人が同じとは限らない」という配慮、加えて「におい」に対する寛容さではないでしょうか。


<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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