【最愛考察】守り抜かれた最愛。それぞれが抱えていた思い

【最愛考察】守り抜かれた最愛。それぞれが抱えていた思い

【最愛考察】守り抜かれた最愛。それぞれが抱えていた思い

※このコラムにはドラマ『最愛』第10話までのネタバレが含まれます。

(c)TBS

全てのブラックボックスが開き、謎が解き明かされた待望の最終回。キーパーソンであったことが発覚した加瀬(井浦新)を始めとした、さまざまな最愛が溢れ出したラストについて考察していきます。

■加瀬の残した大きな最愛

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第8話で、弁護士・加瀬が家族としての梨央(吉高由里子)への最愛の感情や、世界を変えるかも知れない可能性を秘めた創薬開発事業が“彼自身の夢”でもあることを語っていました。しかし、それらの感情がここまで大きなものだったとは、とおどろかされた視聴者も多いのではないでしょうか。

渡辺(朝井大智)の死体遺棄、渡辺父(酒向芳)の殺人、そしてフリーライター橘(田中みな実)の転落事故、全てに関わっていたのが加瀬一人というラストにも衝撃を受けました。

梨央や優を守りたいという感情は、家族を失った梨央たちの経験が自分と重なったことから生まれたもので、父・達雄(光石研)の死の時から芽生えたのだと考えていましたが、今回のラストでその時間軸は大きく変わりました。

■加瀬の最愛が芽生えた本当の瞬間

優(高橋文哉)が渡辺を刺してしまい、父・達雄に連絡をした時に同席していたことから、死体遺棄を手伝うことになってしまった加瀬。

「少年法が守ってくれるから(公になっても)問題ない」と倒れている梨央のために救急車を呼ぼうとする加瀬に、「法律の物差しで言わんでください! 世間ではそれで通りません! 子どもを殺人犯にしたくない!」と叫ぶ達雄の大きな愛に触れたことで、心を動かされたのでしょう。

弁護士らしく法律の視点だけで問題解決を行おうとした加瀬にとって、家族への愛情という形で解決をしようとした達雄の考え方は、家族を失い、家族愛というものをどこかで渇望していた彼にとって一切浮かばなかった発想で、脳天に衝撃を受けるほどのカルチャーショックだったのではないでしょうか。

「あれほど家族を想う人、他に知りません」という加瀬の発言が、それを表しているように思いました。

加瀬がこの瞬間に抱いた、痛ましい事件への同情からくる梨央と優を守りたいという感情。そして、このような大きな愛を持ちたいという達雄への尊敬の気持ちや、そんな達雄の家族の一員に自分もなりたかったというある種羨望のような感情などが入り混じって、突き動かされた結果があの死体遺棄ほう助なのでしょう。

「何度も言うけど、家族だと思ってる」と梨央に語っていた感情はここから生まれ、あの事件の瞬間から加瀬にとって梨央たちは家族だったのだと思います。

■大輝の守った最愛・梨央の幸せ

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加瀬が全ての鍵を握っていると気づいた大輝(松下洸平)は、彼のいるショッピングセンターに向かいます。

結局そこで彼を取り逃してしまうわけですが、警察が加瀬らしき人物を確保したものの人違いだった時に、どこか安堵のような表情を見せていたのは、やはり最愛である梨央の幸せを守りたかった感情が心の奥底にあったからなのでしょう。

加瀬を目前に捉え、本当はすぐに追うこともできたのに傍観していたのは、わざと彼を逃したのか、それとも感情が追いつかず追うことができなくなってしまったからなのか……。

刑事として加瀬を捕まえなくてはいけないという義務がありながら、加瀬の強い愛情と覚悟に触れ、梨央と優の幸せを守るために加瀬を逃してやりたい感情が生まれた大輝。

そこから生まれた油断によって加瀬を取り逃し、どうするのが正解なのか、感情に理性が追いつかずぐちゃぐちゃな中しぼり出された、「梨央、幸せか?」という何も知らない梨央への電話での問いかけ。

それに対して、念願の薬の承認が下り「こんな幸せな日はないわ」とうれしそうな梨央の答えを聞いて静かに大輝は涙しました。

このたった一筋の涙には、愛する彼女の夢がかなった喜びと、加瀬を逃したことで彼女の人生最良の日と幸せを守った選択は間違っていなかったという安堵、そして加瀬に対しての「これ以外に解決方法はなかったのか?」というもどかしさが、複雑に入り混じっていたのではないでしょうか。

■梨央の赤い手帳は誰からの贈り物?

途中で誰かが梨央のために購入していた赤い手帳。買っていた人の顔も体も一切映ることはありませんでした。これは一体誰だったのでしょうか。

梨央が最後、「加瀬さんが元気でいてくれさえいればいい……」と、失踪した加瀬さんへの想いを馳せながら赤い手帳を手にしていたので、おそらく加瀬から梨央への製薬の夢がかなったことへのお祝いの品だったのでしょう。

加瀬と大輝との逃走劇が繰り広げられたのが渋谷のショッピングモールでしたが、加瀬が今までに訪れていたような場所ではないことから、あの捕物劇は丁度この手帳を購入した直後の出来事だったのではないでしょうか。

加瀬が最後に残した梨央への最愛は、愛情が溢れでるような真っ赤な色の手帳として形になりました。この加瀬への想いを語るラストでは、いつか元気な姿で彼らが再会できることを祈らずにはいられませんでした。

■「真相は、愛で消えた。」

弁護士である加瀬が言う「法律では守れないものがある」にはとても重みがありました。

「真相は、愛で消える。」というドラマのキャッチコピー通り、ラストに映っていたのは優が目標の一つである大学進学を果たし、梨央は大輝と手を繋ぎながら幸せそうに歩いている姿。父・達雄や母・梓、大輝、そして加瀬など、たくさんの人々が身をていして守った最愛たちの幸せがそこにきちんとありました。

そして、それがこれからもずっとずっと続いていくことを願っています。

良いドラマでした。10回の連載にお付き合いいただきありがとうございました。

(やまとなでし子)

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