嫌われるアドバイス5カ条

嫌われるアドバイス5カ条

嫌われるアドバイス5カ条

私が17歳でレイプされた時、29歳で犯罪の被害にあった時、一番嫌だったのは「善意でアドバイスしてくる人」でした。

こういう人生のどん底にいる時は、大して仲良くもない人が「私もつらい目に遭ったの」と泣きながらカミングアウトしてくることも多いです。「あの時は私もつらかったの。もうだめだと思ったの」と、“アドバイス”という体裁で自分の傷を癒しにくる。

自分が孤独で一番寄り添ってほしい時に、むしろそれを利用して癒されたい人が寄ってくる。しかも“アドバイス”という殻を被って。それは、犯罪の被害に遭ったことと同じくらい、つらかったことの一つです。

アドバイスは、時として本質的に押し付けがましくて、独りよがりなものです。

■「アドバイス」の正しい意味を知っていますか?

そもそも「アドバイス」という言葉の意味を知っていますか。そのままの意味としては「助言」ですが、英語の“Advice”は語源を探るとサンスクリット語の“veda”「私は知っている」という意味からきているという説があるようです。

他の言語を見ても、ギリシャ語、ロシア語、ガリア語、リトアニア語、ブルガリア語……いずれも「見える、分かる、知っている」という単語からアドバイスが派生しているらしいのです。

つまりは、語源からしてアドバイスって、相手の気持ちを全て知っているかのようでちょっと押し付けがましい言葉なんです。

◇アドバイスと指導の違い

また、アドバイスと指導の違いはさほどありません。どちらも「善意」から生まれているし、どちらも押し付けがましく、身勝手なものでもあるのです。

ただ、指導の方がまだマシかもしれません。なぜなら、「指導」は押し付けがましいこと前提でやってくるからです。反対に、アドバイスは一見対等なふりをした相手がやってくるので、より一層しんどいと感じてしまうのです。

■良いアドバイスと悪いアドバイスがある?

ただ、私は全てのアドバイスを否定しようとは思いません。良いアドバイスも確かにあるし、人生で私を救ってくれたアドバイスがあるからです。

ここからは、良いアドバイスと、悪いアドバイスを比べてみましょう。

◇良いアドバイスの例

良いアドバイスとは、以下の原則を守ったアドバイスです。

(1)相手が助けを求めてくるまで助けない

(2)相談者が話したくなるまで待つ

(3)話をじっくり聞いて、共感する

(4)相手の意思を尊重する

(5)その上で、できることを教える

例えば私は、人生相談をしてきた人へアドバイスするのは「悪いこと」とは思いません。その方は既に一人で悩んで、サポートが欲しい状況だからです。その上で、相手の話を聞き、尊重し「それでね、こういう選択肢もあるんじゃないでしょうか」と差し出されるアドバイスは、聞く気が起きるからです。

私が人生で一番感謝しているアドバイスは、小学校時代に祖父からもらったものでした。

私「将来、小説家になりたい! でも何を練習したらなれるかな? 小説家になる道が、芥川賞を取ることしか分からない」

祖父「いいねえ。書くのが得意だから、向いていると思うよ。ところで、小説にはいろいろな社会経験をする人が出てくるだろう。だから、小説家になりたいなら、むしろ会社員を経験してからやってみた方がいいよ。社会人から小説家にはいつでもなれるけど、小説家になってから社会人に戻るのは、ちょっと難しいからね」

今思えば、会社員になるよう言いくるめられたと思わなくもないですが、今ライターとして活動できているのは、会社員を経験してきたからです。祖父にマジ感謝。

逆に、これくらい気を付けないと、簡単に相手の嫌な気持ちを引き起こしてしまうのが、アドバイスの難しさなのです。

◇悪いアドバイスの例

悪いアドバイスは、分かりやすく「良いアドバイス」をひっくり返したものです。

(1)相手が助けを求めていないのに助言する

(2)相談者が話し終わる前に話し始める

(3)話をじっくり聞かず、まくしたてる

(4)相手の意見を否定する

(5)やるべきことをたくさん伝える

冒頭の私が毛嫌いしているアドバイスは、まさにこの体裁を保っています。

もっと身近な例だと

「そんな男、絶対に別れなよ!」

「だめだって、そんなの絶対うまくいかない!」

「どうせ後で泣くよ」

な〜んてアドバイスは、典型的な悪いアドバイス5か条に沿った言葉遣いです。相手の心をえぐるだけな上に、意見を聞いてもらえない確率200%。もし自分がこういった言葉で相手を止めたくなったら「それ、どうせ聞いてもらえないし、むしろ嫌われるよ」と天の声を脳内に響かせた方がいいでしょう。

■良いアドバイスをするコツは「我慢、忍耐」

ここまでご覧いただけたら、良いアドバイスをするコツが見えてきたと思います。結論は「我慢」です。相手が相談したくなるまで、待って、待つ。そして「話を聞いてほしい」と相手が思えるまで、じっと寄り添う。

アドバイスの9割は、忍耐にあります。目の前で失敗すると分かっている相手を、ぐっとこらえて見守る。そして相手が泣いている時にそばにいる。話し始めたら、ずっと話を聞く。そして最後に「こうしたら、ラクになるんじゃないかな」と少しだけ添える。

だから、良いアドバイスはとても難しい行為なんです。語源からして、「良い助言をすること」なんて意図されていないのですから。

ただ、それができる人だけが最後に友達なり、信頼できる家族になれるのでしょう。アドバイスによって試されているのは、実はアドバイスを「する側」なのです。

(トイアンナ)

※画像はイメージです

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