目標管理(MBO)って何?

目標管理(MBO)って何?

目標管理(MBO)って何?

キャリア相談を受けた際、散々目的を決めろ、ゴールから逆算しろと偉そうなことを言っています。いや、大事だし本当に自分ではやっているんですよ。でもね、嫌いなんです。会社から求められる「目標設定の記入と面談」。

いやだーーーーー!!! って毎回叫んでいます。

嫌いな理由はシンプルです。記入が面倒、上司との面談が億劫。だから。それだけ。

しかしやらないと上司ともども人事から怒られるしなぁ的なね。面談だと強制的に上司との1on1が発生するので好きじゃない上司だときっついんだよなぁ! 的なね。

多くの会社で何かしらの言葉で設定されているだろう「目標設定とその管理による評価」ですが、目標管理制度(MBO)と呼ばれます。

今回はこの目標管理制度について考えてみましょう。

■目標管理制度(MBO)とは。目的は何?

お恥ずかしながら、MBOという単語はファイナンス用語のマネジメント・バイアウトしか知らなかったのですが、今回はそれではなく「目標管理制度」のMBOのお話です。

「目標管理制度(MBO)」とは、マネジメント・バイ・オブジェクツ(Management by Objectives)の日本語訳で、マネジメントといえばこの人! な、P.F.ドラッガーが提唱した組織マネジメントの概念です。

個人やチームごとで目標を設定し、目標に対する達成度合いで評価を決めます。概念自体は一般的な「評価(管理)制度」と相違はないでしょう。

MBOの目的は「何をどれだけ達成すれば評価につながるか」を明確にし、組織と個人の成長指針を合わせることで利益を最大化することです。

目標管理制度(MBO)を導入することで、目標を実行する側(評価される側)の自主的な行動や思考を促し、押し付けや「やらされ感」を排除して、自ら組織の成功に貢献する意識を持たせることができるとされています。

■目標管理制度(MBO)のメリット・デメリット

毎年やってるやつだし、成果と評価が可視化できるからいいんじゃん? と雑に済ませたくなりますが、メリットとデメリットはそれぞれ存在します。

◇メリット

☆1.仕事へのモチベーションが上がる

具体的な目標設定がもたらすメリットは以下の5点が挙げられます。結果として仕事へのモチベーションが最大化される点は大きなメリットです。

a.何をするのかが明確になる

b.自分の業務の適正なレベル設定ができる

c.目標達成までの期間を設定することで、効率的に成果が出せる

d.達成するための手段・方法を理解できる

e.仕事への納得感が得られ、モチベーションが上がる

☆2.成果と評価が可視化される

会社の評価制度と連動した成果基準を設定できるため、達成できたかできていないかが明確になります。つまり、実績を評価しやすく不公平感が生まれにくいのです。それにより結果として社員エンゲージメント率の向上が見込めます。

◇デメリット

☆1.成果偏重を生む

目標と成果がはっきりしているため、成果の重視が加速した結果、自主性と真逆の押し付け的なノルマ主義になったり、成果に対する金銭的インセンティブばかりが目的になるデメリットがあります。

前述した、MBOを導入することで期待できる成果とは真逆の作用です。

☆2.メンバーシップ型企業との相性が悪い

外資系企業がジョブ型(※1)の組織を取っていることに比べ、メンバーシップ型(※2)及び年功序列型の日本企業では年齢や勤続年数など別の基準が評価において重視されます。

※1ジョブ型……仕事内容に合わせて人を採用する方法。欧米企業に多い。

※2メンバーシップ型……人に対して仕事を割り当てる。職務や勤務地を限定しない雇用方法。日本企業に多い。

そのため、設定した成果と評価がひもづかず、評価者側は「何を基準に評価したらよいのか」と悩み、実行者側は評価基準が曖昧なことで「自分の成果が適切に認めれていないのでは?」という不満を抱えることになります。評価者、実行者どちらにも負担・不満が発生する最悪の制度として君臨する可能性があります。

■目標の立て方・書き方・設定方法

目標管理制度(MBO)がある以上、目標設定シートへの記入と上司との擦り合わせ作業は避けられません。その際、とりあえずで「こんな感じ」な物を作っても意味はありません。目標は明確であり、かつ実行可能なものでないといけませんからね。

◇SMARTの法則を意識して書こう

世の中にはSMARTの法則といった目標設定のための指標があります。目標設定に必要な5つの要素の英単語の頭文字を取ったものです。5つの要素は以下の通り。

●Specific:誰が読んでも意味が分かるような、具体的な表現で記述する

●Measurable:目標達成の進捗が分かるよう、定量的に表す

●Achievable:希望や願望ではない、達成可能で現実的なものかどうか

●Relevant:その目標が自分の仕事や職務に必要なものかどうか

●Time-bound:いつまでに実行するかの期日の設定

当たり前体操なことばかりですが、何も考えずこれらを網羅して書ける人は、訓練された人です。

とりあえずで書くと、曖昧な「頑張ります」という決意表明になりがちですが、上記指標に照らし合わせて作ってみると、具体的な目標設定ができるはずです。

◇目標設定の例文

【例】前年の売上が900万。今季の売上目標が1000万の営業マンの目標設定。

目標:2020年上期中に見込み案件を5社作成し、年内に売上1000万を達成する。2021年1月〜3月にかけて、顧客の年度末予算消化を狙い200万の追加売上を達成する。

SMARTに当てはめてチェックしましょう。

□Specific:何をすべきかが明確に分かる

□Measurable:見込み案件数と、売上金額で進捗を管理できる

□Achievable:昨年度実績と今年度の目標からの現実的かつ成長可能な数字である

□Relevant:売上目標という営業職で管理されるべき目標である

□Time-bound:短期、中期、長期での期日設定がされている

端的に言えば、逃げたくなる「X件をいつまでに、どう達成するか」をぎちぎちに書けということです。

■目標管理制度(MBO)はトレンドなのか?

ジョブ型との相性がいい目標管理制度(MBO)ですが、最前線のアメリカ企業では目標管理制度(MBO)から離脱する動きがあり、Googleはその代表格です。

Googleはさまざまな観点から社員エンゲージメントを高め、社員がベストパフォーマンスを上げることに対して貪欲です。その中で目標管理制度(MBO)のデメリットである「低ランク評価だった人間のモチベーション低下」が、目指すべき企業エンゲージメント向上の観点からマイナス作用が大きいと判断されたためです。

ただし、評価そのものが無くなったわけではなく、ランク付けをしないようにしているそうです。

目標管理制度(MBO)のメリットだったはずの自主的に意欲的に働くという効果を最大化する意図であり、形骸化した評価制度にメスを入れるのはGoogleらしさといえます。

しかし、「Google式!」と話題になっても、組織設計、労働者の権利、仕事の専門性や職種設計、人材の質がそもそもまったく異なるため「Googleにおいては成立」といった前提の精査が必要な話です。

■コロナ禍で日本企業の「ジョブ型」シフトトレンドは続く

アメリカトレンドは前述の通りですが、日本国内においては年功序列からの離脱や成果主義的評価の強化などを大企業が唱えており、リモート勤務と相まってジョブ型・成果型の組織設計への変革トレンドは続くでしょう。

その中で目標管理制度(MBO)は問題を抱えながらも、評価制度として今後も使われていくというのが私の見立てです。

なので、改めて「どう目標設定をするか」を深堀りし、具体的な記述の習慣を付けることはキャリアに活かせるはずです。

これを機に、ぜひ自分の目標管理について一度見つめ直してみてください。

(ぱぴこ)

※画像はイメージです

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