「諦める時」の判断基準3つ

「諦める時」の判断基準3つ

「諦める時」の判断基準3つ

仕事やプライベートで、「もうやめたい」「続ける意味が分からない」と感じたことはありませんか? また、そう感じた時、多くの方が「途中で諦めることはいけないのかも……」と考えてしまうのではないでしょうか。

しかし、諦めることは良くないことなのでしょうか? 今回は「諦める」ということについて考えていきたいと思います。

■「諦めない」ことが美学とされた理由

そもそも私たちは、どうして「諦めること=悪」だと思いがちなのでしょうか?

◇「諦めない」美学の背景

諦めることを良くないと考えてしまうのはなぜ? そう問われたら「親や先生からそのように教育されたから」と答える方は多いと思います。

それではなぜ、そうした教育が推奨されてきたのでしょうか? さまざまな理由が考えられますが大きな理由としては、社会や集団で活動するにあたっては、他人と異なる言動を取ることは統制する側にとってやりにくいからです。

学校の先生は、生徒全員が同じスケジュールに沿って、定められたカリキュラムを最後まで遂行してくれたら教えやすいですよね。また、家庭においては、子どもがドロップアウトせずに学生生活を終えてくれた方が世間体も保てます。

もちろんそう考える教育者や親ばかりではありませんし、さまざまな生き方を認める流れにはなってきています。ただ、それでもまだこうした価値観が主流ではあります。

そして、もう一つ。仕事においても、以前は労働の多くが手作業だったため「石の上にも三年」「継続は力なり」ということわざにもあるように、良質な物をお客様に提供するためには時間がかかっても諦めずに経験を積むことが大切だったのです。

しかし、IT化が進みコストパフォーマンスが重視される現代では、時間をかけることへの意識がガラッと変わりました。

◇「諦めること=悪」なのか?

結論からお伝えすると、諦めることは悪ではありません。

現在では、「諦める」という言葉は「物事を途中でやめる」という意味で使われていますが、元々「諦」という漢字は「真理・道理」という意味で、仏教用語で「諦観」といえば「物事の真理を見る」という意味です。

しかし、それが次第に真理を明らかにした先の選択の一つでしかない「やめる」のみに焦点が当たり、「根気がない、飽きっぽい」というネガティブな意味付けが主流となりました。

ただ、語源にあるように、自分と向き合い、物事の本質や真理・道理を明らかにした上での結論が「やめる」ということであれば、それは終わりではなく次につながる一歩を踏み出したということなのです。

■諦めることができない心理

諦めるという選択が悪ではないと分かっていても、罪悪感などを抱き諦めることができない場合があります。なぜ諦められないのか、その心理を解説します。

◇(1)教育による洗脳から

前述したように、諦めることは良くないことであると教育を受けて育つと、それは成人してからも自身の価値観として根付きます。

特に学生自体に体育会系の部活に所属していた場合、勝つためには諦めないことを強く指導されていることが多いため、その傾向が強い人も多いでしょう。

◇(2)過去に成功体験があるから

過去に、やめたいと思ったけれど辛抱強く続けたら成果が出たという成功体験があると、再び同じような場面に出会った時に「あの時だって続けたら成果が出たのだから、今回も諦めちゃダメだ」と自分に禁止令を出すようになります。

これは、そうした成功体験を重ねるほど強くなる傾向があります。

◇(3)諦めたことによるネガティブな体験から

これは(2)とは逆の体験です。例えば、どうしても嫌だった部活をやめたら以前の部活仲間から無視されてしまった。嫌な習い事をやめたら親からひどく叱られたなど。

諦めたことによって精神的に傷つく体験があると、もう傷つきたくないという防衛心理が強く働き、途中でやめることができなくなる傾向があります。

■「諦めて良い」の判断基準は?

では、諦めるべきか迷った時には「諦めて良いかの判断基準」があるといいかもしれませんね。以下3つの基準から、どうすべきか判断してみてはいかがでしょうか?

◇(1)心身に不調が出ていないか

例えば、朝起きた時に「眠いし会社に行くのがしんどいなあ」と感じる程度であれば問題ありません。

しかし、仕事のことを考えると眠れなくなったり、原因不明の体の不調が続いたり、ひどい抑鬱感などが出ているなら、それは体が出している「諦めるべきタイミングのサイン」である可能性があります。ここで無理しないことは非常に大切です。

◇(2)諦めた後に空虚感を抱いていないか

諦めた先に何も無いとひどい空虚感を抱く場合があり、それがメンタルバランスを崩すきっかけになる可能性もあります。

そのため「諦めるという選択をポジティブに捉える感情が自分の中にあるか」については、よく考えて結論を出しましょう。

ただ、(1)のように心身がSOSを出すような限界まで疲弊した後は、未来が考えられないのも仕方ありません。そういう場合は、まずはゆっくりと休み、エネルギーチャージができてから考えるようにしましょう。

◇(3)勝つことだけにこだわっていないか

勝敗にこだわり過ぎると、物事の本質が見えなくなることがあります。

例えば、今の仕事に熱量が持てず将来性も見えないけれど、同期との出世競争に負けたくないから会社を続けている、など。本当は情熱が薄れているのに、誰かに勝ちたいだけになっていることはありませんか?

■諦める勇気を持つ方法

諦めるべきか判断できたら、最後は諦める勇気を持つだけです。その方法についてもお伝えします。

◇(1)迷いや苦悩を受け入れる覚悟を持つ

あることを諦めると決断し、それが敗北ではないと頭では理解したとしても、何かが終わった後には手放す解放感と併せて、迷いや苦悩の時期もやってきます。

しかし、それは人生の転機には誰もがたどる過程です。過去との決別を誓うと共に、新しい始まりのためにその苦悩を受け入れるのだという覚悟を持ちましょう。

◇(2)トレードオフの概念を持つ

経済学でよく使われる「トレードオフ(何かを得ると何かを失うという考え方)」の概念は、人生においても大切です。

相反する概念として両立するという考えもありますが、諦める勇気を持つためには両立性よりトレードオフを意識してください。「何かを失うけれど、その代わりに自分は何かを得ることができるのだ!」と前向きに捉えてみましょう。

◇(3)人生を4つのLに配分する

4つのLとは、サニー・ハンセン博士が人生の役割を、Labor(仕事)、Love(愛)、Learning(学習)、Leisure(余暇)に分けた考え方です。人生を大きくこの4つのLに分けて、トータルで100になるように考えてみましょう。

まず、今の自分の配分は100を超えていないかを検証し、そしてなりたい自分について、100を超えないように設計してみるのです。

これをすることによって、自分が何を重視して生きていきたいのかが明確になり、「諦める」ということは選択の一つであることが理解しやすくなります。

終わりは始まりである

アメリカの心理学者・ブリッジズは、「人生の転機とは何かを始める時ではなく、何かが終わる時であり、転機の始まりである終焉の時期には過去との決別が大切である」と説きました。

前述してきた通り、自分と向き合い、物事の本質や真理・道理を明らかにした上での結論が「諦める」なのであれば、それは終わりではなく始まりです。過去と決別し、前を向いて人生の転機を乗り切っていきましょう。

(小日向るり子)

※画像はイメージです

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