きちんと使えてる? 「受け取る」の敬語表現

きちんと使えてる? 「受け取る」の敬語表現

きちんと使えてる? 「受け取る」の敬語表現

ビジネスでは、相手に物の受け取りを依頼したり、また自分が物を受け取ったりするケースがよく発生します。

「受け取る」という言葉の敬語にはいろいろな表現があるため、正しい使い方に迷うことはありませんか?

ここでは、「受け取る」の敬語の使い分けや他の表現について確認してみましょう。

■敬語の種類別に見る「受け取る」の表現

敬語には、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」があります。

それぞれの種類別に、「受け取る」の表現を見ていきましょう。

◇尊敬語での「受け取る」は「お受け取りになる」

取引先や上司の状態・行為を言い表すには、相手を立てる表現である尊敬語を使う必要があります。

そのため、相手に何かを受け取ってもらいたい場合には、尊敬語で「受け取る」を表現します。

尊敬語には、

1.「お〜になる」

2.「〜れる・られる」

3.言い換え表現の特定形

の3パターンがあります。

例えば、「相手が受け取る」という場合、この1〜3に合わせると、それぞれ以下のようになります。

1.「お受け取りになる」

⇒例文:「部長、○○様からの伝言メモはお受け取りになりましたか?」

2.「受け取られる」

⇒例文:「今、○○支社の○○課長から荷物を受け取られたと報告がありました」

3.「査収」など

⇒例文:「ご査収くださいますよう、お願いいたします」

◇謙譲語での「受け取る」は「頂戴いたします」

自分の動作には、自分がへり下って相手に敬意を表す謙譲語を使います。

そのため、自分が相手から何かを受け取った場合には、謙譲語で「受け取る」を表現します。

謙譲語のパターンとしては、

1.他の表現に言い換える特定形

2.「お〜いたす」

の2パターンがあります。

例えば、自分が受け取るという場合には、この1〜2に合わせると、それぞれ以下のようになります。

1.「頂く」「頂戴する」

⇒例文:「○○様よりお土産を頂きました」「お心遣いをありがたく頂戴いたします」

2.「お受け取りいたす」

⇒例文:「確かに、商品をお受け取りいたしました」

ちなみに「頂きます」も「頂戴いたします」にも「頂」という文字が使われていますが、この漢字には「頭の上にのせてささげる」という意味があります。

その意味からも「頂きます」や「頂戴します」が、目上の人への表現としてふさわしい理由が理解できますね。

なお、「頂戴いたします」には同じ意味を持つ「頂」と「戴」を重ねて使っていますので、「頂きます」より、「頂戴いたします」の方がより丁寧な印象です。

◇丁寧語での「受け取る」は「お受け取り」

丁寧語は、相手との上下関係が発生しない敬語ため、同僚や親しい先輩などに使われます。

丁寧語にするには、以下2つのパターンがあります。

1.接頭語の「お」を付ける

2.語尾に「です・ます・ございます」を付ける

例えばこの1〜2に合わせると、それぞれ以下のようになります。

1.「お受け取り」

⇒例文:「こちらの資料をお受け取りください」

2.「受け取ります」

⇒例文:「会議の資料は、昨日受け取りました」

■自分が「受け取る」場合の敬語表現(例文付き)

前段の謙譲語でも触れたように、自分が「受け取る」場合に使う謙譲語を用います。

ここでは、「受け取る」の意味合いを持つ表現を見てみましょう。

◇「受領する」

「受領」の言葉の意味は、「他人から正式に物または金を受け取り、自分の中におさめてしまうこと」です。

もう少し分かりやすく言うと、お金や品物などを正式に受け取るという意味です。

逆に言えば、受領は物理的なもの以外を受け取る場合には使うことができません。

例えば、親切や厚意、愛情などに対して「受領しました」とは使えないということです。この場合は「受け取りました」などを使いましょう。

なお、同じ「領」を使う「領収」は、金銭のみに使われます。

☆例文

・ご送付いただきました資料を、本日受領いたしました。

受領いたしました。内容を確認次第ご連絡いたします。

◇「拝受する」

拝受は「受け取る」「受領する」の謙譲表現ですが、「拝」という漢字には、目上の人に敬意を払う謙譲の意味があり、「受」には「受け取る、受領する」という意味があります。

つまり「拝受」は「つつしんで受け取る」という意味です。

目上の人に対して、その人から書類や資料をいただいた時、「受け取りました」という意味で、口頭で伝えたりメールの文章に書き添えたりします。

また、「拝受いたしました」は、ビジネスメールで頻繁に使われる「ご査収ください」の返事として

もふさわしい表現です。

☆例文

・お送りいただきました請求書、拝受いたしました。

・新プロジェクトの企画書を拝受しました。検討させていただきます。

・○○のデータを拝受いたしました。ありがとうございます。

◇「受信する」

「受信」は他からの通信を受け取るという意味で、ビジネスでは主にメールやFAXなどを受け取る場合などに使います。

ただ、受信という言葉自体には敬意は含まれないため、謙譲表現として使う場合には「受信いたしました」など語尾を敬語表現にすることに気を付けましょう。

☆例文

・○○の資料を確かに受信いたしました。ありがとうございます。

・確かに○○社からのメールを昨日受信しております。

■相手が「受け取る」場合の敬語表現(例文付き)

続いて、相手に受け取ってもらう場合で使える、「受け取る」の意味合いを持つ表現を見てみましょう。

相手に受け取りを依頼する場合には、尊敬語を使う必要があります。

しかし、相手に依頼する表現ですから、相手や状況に合わせた配慮が必要になるので要注意。

◇「ご査収ください」

ビジネスでよく使われる「ご査収」は、「ごさしゅう」と読みます。

・「ご」=尊敬語

・「査」=「よく見て調べる、検査する」

・「収」=「収める、取り入れる」

という意味ですので、「ご査収」とは、「内容をよく確認してお受け取りください」というニュアンスです。

よく送付物の内容にかかわらず、どんな時でも「ご査収」という言葉を使っているケースが見られますが、「確認して受け取る」という本来の意味を意識して使うようにしましょう。

具体的な使い方として、取引先や上司宛てに、確認が必要な請求書や見積書、企画書などを文書やメールで送る時に、「金額・数字・内容を確認して受け取ってください」という意味が含まれています。

また、「ご査収」の言い回しはよく使われる決まったパターンがあり、「ご査収くださいませ」「ご査収のほどよろしくお願いいたします」のほか、「ご査収くださいますようお願い申し上げます」などがあります。

☆例文:郵送の場合

・契約書を同封しておりますので、ご査収のほどよろしくお願いいたします。

・請求書を同封いたします。ご査収くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

☆例文:メールの場合

・ご依頼いただいたデータをまとめた資料を添付しております。ご査収のほど、よろしくお願いいたします。

・会議資料を添付いたしますので、ご査収ください。

◇「ご検収ください」

ご査収の類語として、「ご検収」という言葉があります。

「検」にも「よく確認する、調べる」という意味があり、納品された物に対して使われます。

「数が合っているか、破損しているものがないか確かめた上で受け取る」を意味します。

ご査収とは、下記の通り受け取るものが異なることに注意が必要です。

・「ご査収」:金銭や書類

・「ご検収」:発注を受けて納品された商品やサービス

☆例文

・ご注文の品を納品いたします。ご検収のほど、お願い申し上げます。

・本日到着した商品は、すべて検収しました。

◇「お納めください」「ご笑納ださい」

「受け取る」を丁寧な言葉に変える表現として「納める」があります。「納める」は自分のものにするという意味です。

「受け取ってください」「もらってください」を「お納めください」にすると上品な印象がしますね。

また、同じような表現として、「ご笑納ください」もあります。「笑納」とは 「つまらないものかもしれないが、笑って受け取ってください」という意味を含んだ表現です。

☆例文

・○○をご用意いたしました。どうぞ、ご遠慮なくお納めください。

・心ばかりの品ですが、どうぞご笑納くださいませ。

状況に合わせた表現で「物や気持ちの受け渡し」をスムーズに

いかがでしたか?

基本的には相手に受け取ってもらう場合には尊敬語を、自分が受け取る場合には謙譲語を使うと良いでしょう。

「お受け取りください」にはいろいろな表現があり、また敬語の種類によっても使い方が異なります。

相手に気持ち良く、物や気持ちを受け取ってもらえるように、その状況に合わせて適切な表現を使い分けましょう。

(大部美知子)

※画像はイメージです

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