話題のホンダN−VANは、趣味と家族を両立できる「男のファーストカー」として使えるか、徹底検証!

話題のホンダN−VANは、趣味と家族を両立できる「男のファーストカー」として使えるか、徹底検証!

ホンダが19年振りに放ったN−VAN +STYLE FUN・ターボ

ぬぉぉぉ! このシンプルな削ぎ落としスタイル、突き詰めた機能性、男らしい「VAN(バン)」のネーミング! こりゃ俺たち趣味も家族も大切にする男が、走る隠れ家的に買ってもいいんじゃないのか? ホンダが19年ぶりに放った軽商用車を見てそう思った男も少なくないだろう。

N−VANはその名のとおり、今や時に月販2万台超の新国民車となった軽スーパーハイトワゴン、ホンダN−BOXベースの商用貨物版として先月登場。広さ、快適性は折り紙付きだし、そもそもN−BOXはちと家庭的すぎ。もうちょい飾り気なく使い勝手のいいのが欲しいと思っていた人に最適かも?

ということで、男のファーストカーとしてどんだけ使えるかをオザワが独断と偏見でチェックしてみたが、結論から言っちゃうと中身を見ないでムードだけでコイツを選ぶのは早計。

まず判断すべきは乗る人数と乗る距離だろう。ズバリ、コイツは事実上のひとりからふたり乗りだ! 趣味でいうならふたりで行く渓流釣りが限界で、3人乗車で一席を荷物で潰しての長距離移動はほぼ無理だ。

リア2席は完璧エマージェンシー用。ほぼ荷物を積載することしか考えておらず、キャンプ用の折り畳みイスレベル。クッションは極薄。膝前も狭く、前後スライド、リクライニングもゼロ。大人が座ると、残念ながらヘッドレストは頭の高さに達しないのである。正直、4人乗りで高速を走るのはオススメできない。

助手席もN−BOX並みの快適性を期待してたらちとガックリ系。こちらもVANならではの積載性を発揮するために、床下に折り畳んでピッタリ収納できるようになっている。結果、シートサイズは運転席より小ぶりだし、リクライニングはするけど前後スライドはしない。

けど、N−VANの不利な点はそれくらい。あとは軽商用としてこれまでにない世界が待っている。まず見た目はグリル、ライト類もN−BOXとはひと味違うサッパリ系。なかでもガチ商用の「G」「L」グレードは超シンプルだ。

だが、それでもバンパーはボディ同色で一体感あるし、サイドのスーツケースみたいな凸凹プレスラインもいい具合。「これだとサッパリしすぎだなぁ」という人のためにメッキグリルやLEDヘッドライトを選べる半趣味人用の「+STYLE FUN」や、通常より車高を落とした全高1.8m台の「+STYLE COOL」を選ぶ手もある。

さらにユニークなのは独特の収納性だ。実はN−VANはこれまでの軽商用の主流、スズキのエブリイやダイハツのハイゼットカーゴみたいなキャブオーバー型じゃない。これらはエンジンをフロアに縦置きし、上に人や荷物を載せるため確かに絶対スペースは広い。

だが、逆にエンジンが車内にあるため、やっぱしウルサいし、振動も厳しい。そこで人気のN−BOX用のFFプラットフォームを使い、独自アイデアで走りと積載性を両立させようってのがN−VANの最大のキモなのだ。

正直、N−VANはエンジンをフロントに横置きするため車内長はキャブオーバーより30cmほど狭いが、車内にはエンジンを置かないためフロアは逆に15cmほど低い。そしてその特性を生かすのがN−VANならではの超低床フルフラットフロアだ。

前述のように助手席、2列目をほぼ完璧に低くフラットにできるから荷物を載せやすい。オマケに助手席まで低くできるから2.6m台の長尺物をラクに載せられる。さらなるキモは軽商用では唯一の助手席ピラーレス構造で左側の前後ドアを開けると横1.58mの巨大開口部が。これならデカいソファや長いハシゴも楽勝!

そして最後の美点は走りだ。何しろN−VANは、安定感に優れたFFプラットフォーム。商用化で足回りは締まってるし、タイヤも軽トラ用なのでN−BOXほどの乗り心地のよさ、静かさは望めないが、ハンドリングは舵を切った方向にビシっと向かうし、エンジン音も静かだ。

オマケにエンジンはN−BOX譲りのパワフルな53馬力のノンターボと、63馬力のターボが選べる。加速はどちらも上々。燃費性能も今どきで、ボディ重めで、ギア比低めで不利な商用なのに最良23.8Km/リットルと十分。オマケに最新先進安全「ホンダセンシング」を標準装備。衝突軽減ブレーキ、歩行者事故低減ステアリング、路外逸脱抑制機能など10の機能付きである。

が、この道具っぽさ、走りの良さは一考の価値アリだ!

●小沢コージ
1966年生まれ、神奈川県出身。青山学院大学卒業後、本田技研工業に就職。90年に自動車誌の編集者に。著書に『マクラーレンホンダが世界を制する!』(宝島社新書)など多数。TBSラジオ『週刊自動車批評』レギュラー出演中。日本&世界カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

取材・文/小沢コージ 撮影/本田雄士

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