すでに学級閉鎖も。感染拡大を起こしてしまう "秋インフルエンザ"の罠

すでに学級閉鎖も。感染拡大を起こしてしまう "秋インフルエンザ"の罠

インフルエンザウイルスの電子顕微鏡写真。最新の研究によると湿度が高くても感染力は変わらないという

9月10日、東京都江戸川区の公立小学校で、都内では今シーズン初のインフルエンザによる学級閉鎖が報告された。

ほかにも山形県、茨城県、埼玉県、千葉県、岐阜県、愛知県、大阪府、和歌山県、愛媛県などの幼稚園、小中学校でも学級閉鎖が続出し、インフルエンザは今、全国的な広がりを見せている。

「今年は例年に比べて2、3ヵ月流行が早まっています」

そう語るのは、池袋大谷クリニック院長でインフルエンザに詳しい大谷義夫医師だ。

「うちのクリニックでも、9月中旬と10月1日にひとりずつインフルエンザの患者が出ました。

『インフルエンザは気温と湿度が低い冬の病気で、湿度が高いとウイルスの感染力は下がる』とこれまでは言われてきましたが、今年6月に発表された最新の研究では、湿度が23%、33%、43%、55%、75%、85%、98%の7段階でも感染力は弱まらなかった。

そのためインフルエンザは、空気が乾燥した冬に流行する疾病ではなく、一年中いつかかってもおかしくない病気といえるようになりました。

ただ、夏に流行しにくいのは、湿度が高いと人の喉にある線毛が活発に動いて、インフルエンザウイルスが入ってきても、体の外に出してくれるからです」

さらに今年、インフルエンザには、もうひとつの新しい事実が加わった。

「今年2月に発表されたアメリカの研究では、インフルエンザの患者142人から呼気(吐く息)を集めて分析したところ、咳やくしゃみをしていない状態の呼気でも約48%にインフルエンザウイルスが見つかりました。

これまでインフルエンザは咳やくしゃみによる飛沫(ひまつ)感染や接触感染によって伝播(でんぱ)すると考えられていましたが、このデータを見ると空気感染の可能性も出ているんです」

実は、インフルエンザが空気感染しているのではないかということは以前からいわれていた。飛行機の中にひとりのインフルエンザ患者がいて、その周囲の人だけでなく、遠く離れた席の人にも感染したという研究報告があるのだ。

それでも、トイレのドアなどでの接触感染もあるため、空気感染の可能性は低いと思われていた。それが今回の研究報告で空気感染の可能性が高まったのだ。

しかも"秋インフル"には、冬のそれ以上に、感染拡大を起こす罠(わな)が潜んでいる。

「これまでインフルエンザは冬の病気と思われていたので、この時期に高熱が出て病院に行っても、医師も患者もインフルエンザだとは思わないんです。

9月にうちのクリニックに来た患者さんは、高熱が出たのである病院に行ったら副鼻腔炎(ふくびくうえん)だと診断されました。以前、副鼻腔炎になったことがあるからです。

そして炎症を抑える薬をもらいましたが、1週間たってもまだ38〜39℃の熱があった。それで、うちのクリニックに来たのですが、そのときにはインフルエンザをこじらせて、すでに肺炎になっていました。

もうひとりの患者さんも、熱が出たので病院に行ったら『風邪です』と言われて、解熱剤と抗生物質をもらった。それでもまだ熱が下がらなかったので、うちに来てインフルエンザの検査をしたら陽性でした。

もし、最初の病院でインフルエンザの検査をしていたら、すぐに薬を飲んで家で療養してもらうのに、うちのクリニックに来るまでの数日間に、職場などでインフルエンザウイルスを他人にうつしてしまった可能性があるんです」

冬の病気と思われがちなため、秋はインフルエンザを疑わない。だから感染が拡大してしまう。この厄介な"秋インフル"、『週刊プレイボーイ』44号(10月15日発売)では、予防法について解説している。

取材・文/村上隆保 写真/時事通信社

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