市川紗椰がCIAの機密文書パトロールで半日かけて見つけたお気に入りは「対ソ連のスパイニャンコ」

犬派の市川を猫の魅力に目覚めさせてくれた、知り合いが飼っているエキゾチックショートヘアの「ふう」と
『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、CIAが開示した機密文書について語る。

* * *

今年の1月、CIAがUFOに関する機密文書を開示しました。古いものは70年代にまでさかのぼり、その量は2780ページに及びます。

正直、UFO関連にさほど興味がない私ですが、CIAのアーカイブに公開されている文書をなんとなく見てたら、さらに古い元・機密文書にたどり着き......。気づいたら半日が経過。「なぜ機密に指定した!?」という無害そうな事務的な書類から、奇妙なもの、とにかく笑えるものまでいろいろあったので、お気に入りを発表します。

まずは、なぜ機密にした部門から、「飲み終えたコーラの瓶はちゃんと捨ててください」という、CIAの職員に向けた1954年の局内張り紙。厳しい審査を通った選ばれし人たちなのに、ゴミの捨て方を注意されるのは面白いですが、機密に指定するには事務的すぎてむしろその瓶には何かすごい秘密があったのか、と深読みしてしまいそう。しかし、いわゆる陰謀論っぽいものにあまり燃えない私は、「エリートなんだからゴミくらいちゃんとしなさい」とシンプルに受け取りました。

くだらない部門1位は、CIA長官のための、ソ連をいじるジョーク集。「レジの行列に並んでいたA氏が"もう待つのに飽きたから場所取りしてもらってもいい? ゴルバチョフを暗殺してくるわ"とB氏に言った。A氏が戻ってきたら、B氏は"成功したか!?"と尋ねる。"いやー暗殺を狙っている人の列がもっと長かったから戻ってきたよ"HAHAHA」や、「生まれたての子猫が共産主義者になりたいと言いました。1週間後。子猫は共産主義を捨て、資本主義者になっていました。なぜ? 答え:目が開いたから」。

そんな、爆笑は生まれなさそうなジョークたちが淡々とつづられているだけで、いったいなんのために用意されたのかは不明。政府の要人とのパーティ用が一番現実的ですが、私の中では、長官が笑いの沸点が劇的に低くて、オフィスでひとりゲラゲラ笑うためのもの、ということにしました。

そして最後は、よく企画会議通ったな部門。作戦名はオペレーションアコースティックキティ。こちらも冷戦時のメモや報告書が開示されています。

内容は、猫を対ソ連のスパイとして起用しようというもの。猫の体内にマイクやアンテナを埋め込み、送られてくるラジオ波によって右や左に進むように訓練させたそうです。猫がにゃにゃにゃっとあどけなくターゲットに近づき、盗聴した会話がCIAに送られるのが計画の大筋。2000万ドル(当時)もかかった猫の最初の任務はソビエト大使館近くの公園での盗聴。しかし、ベンチに座るターゲットのふたりの男に向かうはずの猫は、放たれた直後、タクシーにひかれたそう。

計画は予算を削られ、一度も成功しないまま、莫大(ばくだい)なお金と猫の命を失って終わったそうです。インターネットには、作戦は失敗しておらず、「現在もスパイニャンコは起用されている」との声も。なわけないだろう、と思いつつ、スパイニャンコ対策を考えました。怪しい猫が来たら、とりあえずなでまくって仲良くなり、ゴロゴロ喉を鳴らして会話を聞こえなくします。

これからも機密文書パトロール続けます。

●市川紗椰(いちかわ・さや)
1987年2月14日生まれ。愛知県名古屋市出身、米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。軍用イルカの存在を知ってから、水族館のイルカショーを疑いの目で見ている。公式Instagram【@sayaichikawa.official】

関連記事(外部サイト)