じわじわとブームが拡大中。柔らかくてクセのない羊肉「アイスランドラム」を今こそ食らえ!

じわじわとブームが拡大中。柔らかくてクセのない羊肉「アイスランドラム」を今こそ食らえ!

アイスランドラムを使った絶品料理

今年開催された、2018FIFAワールドカップ ロシア大会でのアイスランド代表の活躍を覚えているだろうか。

初出場したW杯デビュー戦で、リオネル・メッシ率いる、前回準優勝のアルゼンチン代表とドローゲームを演じ、世界中のサッカーファンの心をわしづかみにしたのだった。

そのアイスランドには、サッカーの他にも、肉好きの胃袋をつかんで離さない至宝がある。ラム肉である。サッカーのアイスランド代表も間違いなく食べているはずのアイスランドラムに、いま注目が集まっている。

実は、日本国内で流通するラム肉のほとんどが輸入肉。しかもその大半が、オーストラリア産とニュージーランド産だ。対して、アイスランド産はわずか1%。

ところが近年、その貴重なアイスランドラムの旨さが評判を呼び、メニューに掲げるレストランが増えてきているという。

北極圏のすぐ南に位置し、国土の広さは北海道と四国を足したほど。人口は東京都北区とほぼ同じ35万人という、北大西洋の島国・アイスランド。

1100年前、この島に入植したバイキングが羊を持ち込み、放牧したのがはじまりだというが、現在も約2000軒の農家が50万頭の羊を放牧している。

アイスランドでは、広大な国土を「大きな農場」と考え、氷河や火山や滝や温泉がある極北の豊穣な大地で羊を放ったらかし。柵がまったくないのだ。

そして、毎年9月、食肉に加工するため、国中に散らばる羊たちを集めてくるという――。


そんなアイスランドラムを、昨年9月に取材した人がいる。羊齧(ひつじかじり)協会主席の菊池一弘さんだ。

羊齧協会とは、「羊肉好きが、思う存分羊肉を食べることができる」世界の実現を目指す、羊肉の消費者団体。1997年に母体が北京で誕生し、2012年から羊齧協会の名前で活動している。

その時のアイスランド現地で感じた印象を、菊池さんはこう語ってくれた。

「バイキングが連れてきた羊が交雑せず、いまも原種のまま残っています。春先に生まれた仔羊は、柵がない国で9月まで放牧されていました。大地に生える草やハーブを食べているはずですが、詳細はまったくわかりません。ほぼ野生でした。

ラム肉の中にはスパイスをまぶすと、なんの肉かわからないものもあります。ところが、アイスランドラムは、スパイスを使ってもそこはかとない羊の香りが消えません。アイスランドラムがおいしいのは、羊本来の品種の力なのかもしれません」

そこで、アイスランドラムを使った絶品料理を味わえる、菊池さんおすすめの3軒を取材した。


■アイスランドラムをジンギスカンで食す

一軒目は、「ゆきだるま中野部屋本店」(中野区)。

元幕内力士(四股名は若孜[わかつとむ])の中尾浩規さんがオーナーをつとめるこの店では、アイスランドラムのジンギスカンを食べさせてくれる。

現役時代、アイスランドラムに魅せられ、この店の常連となった中尾さん。引退後、ひいきにしていた店を継承。

ジンギスカンはラム肉の匂いを消す目的もあり、ニンニクなどを使ったタレに漬け込んだ肉を出す店が多い。ところが、アイスランドラムは臭みがほとんどない。そのため、この店では、カットしただけのラム肉をスタートメニューに用意している。

「スタートメニューのラム肉(野菜付きセットで963円)は、ラムチョップと同じぐらい厚く切ってあります。ミディアムレアに焼いたら、まずは塩コショウで食べてみてください」

シンプルな味付けのほうが、クセがなくジューシーなアイスランドラムの味を存分に堪能できる。しかも厚切りなので、噛めば噛むほどラム特有の旨味が感じられる。

また、テーブルに用意されたタレは、醤油ベースのさっぱり味で、アイスランドラムがより奥深く楽しめる。

「味付き肉(778円)も人気です。こちらの肉は、タレが染み込みやすいように薄くカットしています。さらに、アイスランドラムのジンギスカンでご満足いただけたら、おいしいシメの料理があります。肉を食べたタレを、ほうじ茶で割ったスープでつけ麺(ラーメンは西山製麺製、381円)を召し上がっていただくのがうちのスタイルです(笑)」

この他にアイスランドラムのラムチョップ(587円)もあるが、ジンギスカン同様、ジンギスカン鍋で焼いて食べるのが、この店の流儀だ。


【ゆきだるま中野部屋本店】

住所/東京都中野区中野3−33−20−2F 
電話/03−3380−8321 
営業/17:00〜24:00(LO23:30) 
定休日なし ※予約可 
ジンギスカン食べ放題に、飲み放題がついたメニューは4480円(90分)と4980円(120分)。 
※単品は税別。ただし食べ飲み放題は税込。中野部屋本店の他、中野部屋(はなれ)、両国部屋、亀戸部屋、本八幡部屋もある。 

http://nakano.kita-yukidaruma.com/


■イタリアンが供する骨付き仔羊のロースト

「2年前、ある方にすすめられ、アイスランドラムを使うことにしました。アイスランドラムはクセが少なく、しかもやわらかくて、脂がミルキー」

こう語るのは、「トラットリア コルディアーレ」(中央区日本橋人形町)の鈴木達郎シェフ。

イタリアンとして日本で初めてミシュラン2つ星に輝いた「Argento ASO」(中央区銀座)でスーシェフを務め、2年前にコルディアーレに入店。現在、シェフとしてこの店の味を守っている。

「銀座の店では、オーストラリア産を使っていました。すべてのラムに共通しているのですが、ラムが肉の中で一番火入れが難しいんです。火を入れすぎるとパサパサ。火を入れないと生。牛や豚よりも難しいです。でも、羊をおいしく焼くには、コツがあります」

肋骨が付いたラム肉を2本分、塊のままローストする。オリーブオイルを引いたフライパンで皮面から焼くのだが、骨の下がもっとも火が入りにくい。何度も何度もスプーンで脂をかけ、均等に火を入れる。3分休ませてから、オーブンで焼くことで均等にピンク色に仕上げる。

フルーツソースを敷いた皿に、シチリア産岩塩をふったラムを置く。そのまわりに三島の契約農家、杉正農園が畑で育てた四季折々の野菜をあしらえば、コルディアーレのアイスランドラム料理が完成。

「アイスランド産骨付き仔羊のロースト季節の野菜添え シェフの気まぐれフルーツソースで」(2800円)だ。

もちろん、ナイフとフォークはあるけれど、骨だけになったアイスランドラムは手でつかんで食べるに限る。

肉は骨のまわりが一番旨いということもあるが、最北の大地で放牧された、貴重なアイスランドラムは、骨をしゃぶりつくすぐらいきれいに食べたい。

熟成肉を名物料理にしているこの店には、常時100品種のワインがそろっている。グラスワインも赤白あわせて8タイプ。好みのワインをソムリエに相談すれば、懐具合にあったワインを選んでくれるはずだ。


【トラットリア コルディアーレ】

住所/東京都中央区日本橋人形町2−6−9
電話/03−6661−6752
営業/17:00〜24:00(LO22:30)
休み/日曜 ※予約可 ※価格は税別

http://www.cordiale.tokyo/


■ラムのつくねが絶品!

菊池さんがすすめる最後の店は「アイスランドラム肉の店OZ」

アイスランドラムを飲食店に卸していた一村直輝さんが、そのおいしい食べ方を広めるため、今年の4月、北千住にオープンした。

菊池さんは、OZのラムチョップ(1本400円)が大好きだそうだ。でも、この店に来たら、ぜひ食べてほしい料理があるという。

「『つくね』を頼んでください。ラム肉の風味がしっかりしているのですが、食べやすいんですよね。よくできているなあといつも感心させられます」(菊池さん)

正しくは「ラムつくね塩味」(1本400円)というのだが、アイスランドラム肉と玉ねぎだけ作ったつくねは、OZのヒット作。さらに、この秋には新メニューをリリース。

「アイスランドラムのもも肉で作る『ラムモモ肉タタキ』(1200円)です。高知のカツオのたたき風に表面だけを焼きます。ただし、氷水でしめず、そのまま切って出すことにしました。甘い醤油で召し上がってください」(一村さん)


【アイスランドラム肉の店OZ】

住所/東京都足立区千住東2−3−7 
電話/03−5876−4092 
営業/17:00〜23:00(LO22:00) 
無休 ※予約可 ※価格はすべて税別 

http://www.oz-corp.jp/oz_restaurant.html


今回、アイスランドラムの話を取材させてもらった菊池さんが主席をつとめる羊齧協会では、ラム肉を食べるイベントを100回以上実施している。

11月3日(土)と4日(日)には「羊フェスタCARNIVAL2018inなかのアンテナストリート」が中野で開催され、〈味わうだけじゃない!羊好きの2日間〉と題し、飲食ブースと物販ブースを設置する。

このイベントでは、トラットリア コルディアーレとアイスランドラム肉の店OZも出店し、アイスランドラムを食べさせてくれるという。

興味を持ったらぜひ足を運んでみてはどうだろうか。


●「羊フェスタCARNIVAL2018inなかのアンテナストリート」
開催日程/11月3日(土)は11時〜17時、4日(日)は10時〜17時 
会場/中野セントラルパークウッドデッキエリア(東京都中野区中野4−10−2) 
入場無料 

http://hitujikajiri.com/

取材・文・撮影/中島茂信

関連記事(外部サイト)