質の高い内外装から快適な走行フィールまで、完熟の域に達したマツダのフラッグシップカー・アテンザ

質の高い内外装から快適な走行フィールまで、完熟の域に達したマツダのフラッグシップカー・アテンザ

質感が高まってきたマツダ アテンザセダン XD Lパッケージ

ショールームに展示するクルマには常に最新の技術を採用する方針で、商品改良の手を緩めないマツダ。

2012年に登場したアテンザは、マツダの新世代商品群として躍動感を表現した魂動(こどう)デザイン、走りの楽しさと環境性能を両立させたSKYACTIVテクノロジーをフル搭載し、満を持して登場したモデルだった。それが今年5月末には3度目の商品改良を実施。

今回の変更では、マツダのフラッグシップとしての立ち位置を引き上げるべく、大々的な改良が実施された。発売から6年を迎え、もはや完熟の域にあるアテンザ。乗用車ではSUVが人気を得ている流れのなか、クルマの基本形であるセダンやワゴンをしっかり造り込み、コダワリ層に響く価値を提供したいという強い思いが伝わってくる。

それにしても、今回のアテンザは質感がグッと高まってきたことに驚かされる。登場したての頃から輸入車講買層を振り向かせるだけの魅力を備えていたが、今回のマイチェンで最も変化を感じさせるのはフロントフェースのデザイン。

クロームメッキのラインが薄くワイドな造形のヘッドライトの下部まで伸びて、低く広がり感のある雰囲気を手にしている。グリルは水平基調のフィンが立体的で艶めきを感じるディテールに変更。グッとクラス感を高めた。

インテリアは、エアコンなどの操作パネルの変更に加えて、ダイヤルの操作感が滑らかに。まるでフルモデルチェンジしたのかと思えるほど、高級車志向のものに変わっている。

滑らかな肌触りのナッパレザーシートや本杢(ほんもく)パネルなど、上位グレードには本物の素材を採用。インパネやドアの内張りに落ち着いたグレーの「ウルトラスエード ヌー」と呼ばれる新素材をあしらい、躍動感のあるスタイルとシックな内装のコンビネーションが「ハイセンスなマツダ」のイメージを引き上げた。

シートはCX−8などで快適な座り心地だと評価を得ている高減衰ウレタンを採用しており、各座席に求められる役割に応じて、フィット感、支持性、乗り心地などを考慮して設計が施された。

さらに、マツダ車として初めて、上級仕様のフロントシートに涼感を与えるベンチレーション機能を採用。汗ばむ季節には不快な熱や湿度を取り除くことで、快適に過ごせるだろう。

今回の大幅改良で特筆すべきは、視覚や触覚で感じる要素の変更にとどまらず、走りの質を左右する「目に見えない部分」に手が及んでいること。動力性能については、優れた燃費性能とパフォーマンスフィールを高いレベルで両立させることを目的として、2.5リットルのガソリンエンジンは燃焼効率が向上し、巡航時などに気筒休止を行ない、燃料消費を抑える機能が追加された。

乗り味も大きく変わっている。2.5リットルのガソリンエンジン車に試乗してみると、19インチの薄いタイヤを装着しているとは思えない、優しいタッチで車速を乗せていける感覚が心地いい。カーブでは、粘りのある走りとともに、イメージしたラインを着実にトレースしていける。全長4.8mを超える大きさのモデルを走らせているとは思えない軽やかさも特徴だ。

アクセルペダルに力を込めただけ車速が得られるなど、ドライバーの意図を汲(く)み取って走るあたりも、クルマをコントロール下に置いている安心感が得られるのと同時に、意のままに走る楽しさに結びつく。高回転まで伸びやかに吹ける回転フィールは、ガソリンエンジンならではの魅力だろう。

日本車において、セダンやワゴンにディーゼルエンジンを設定しているのは、アテンザの独壇場といえる部分。2.2リットルのディーゼルターボエンジンは、最高出力こそ2.5リットルのガソリンエンジンと同じ190馬力だが、2000回転で45.9kgmもの分厚いトルクを発生する。

今回の改良では、2000回転以下の領域から5000回転にかけてトルクが高まっており、追い越し時など、ゆとりをもって走れるので、ストレスのない加速とともに、回転数を抑えて流せる分、静かで快適にドライブできるメリットがある。

さらに、最新の運転支援機能も充実させており、ドライバーのうっかりミスによって起こる衝突事故のリスクを低減する機能が満載だ。フラッグシップモデルにふさわしい質を高めた内外装のデザイン、爽快な走りとともに、快適に移動できる走行フィール、さらには、安心感がプラスされたアテンザ。

フルモデルチェンジ並みの変貌ぶりに、マツダの意欲が感じられた。

●藤島知子(ふじしま・ともこ) 
1975年生まれ、神奈川県出身。文教大学女子短期大学部英語英文科卒業。01年にスーパー耐久のレースクイーンを経験。その翌年からレーサーに転身。国際C級ライセンスを持つ。テレビ神奈川『クルマでいこう!』にレギュラー出演中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

撮影/本田雄士

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