スープラと兄弟車! 新型「BMW Z4 ロードスター」最速試乗&開発担当者を直撃「実のところ、トヨタさんとコラボってどうでした?」

スープラと兄弟車! 新型「BMW Z4 ロードスター」最速試乗&開発担当者を直撃「実のところ、トヨタさんとコラボってどうでした?」

モータージャーナリストの小沢コージ氏(左)とBMWプロダクトマネージャーのアンドレアス・エデラー氏(右)

BMWが誇るオープンスポーツ「Z4」が3年ぶりに帰ってきた。それも、今回はトヨタのスープラと共同開発という初の試み! 両社のノウハウはどのように反映されたのか。日独合作・新生Z4のポテンシャルはいかに?

小沢コージがポルトガルに飛び、最速試乗&プロダクトマネージャーを直撃した!!

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■BMWの楽しさとトヨタの信頼性

つ、ついにキター!! 日本人にとっての悲願、夢のコラボレーションが実現してしまったぜ!

その名は、新型「BMW Z4」。90年代生まれの古典派2シーターオープン「Z3」の進化型で、2003年に初代が登場。上半身ムキムキの新庄剛志のごとき独特なフロントのスタイルがカッコ良くて、思わず小沢も初期型の2.2Lモデルを中古で買っちゃったほどだ。

そいつが16年の時を経て、3代目となって生まれ変わったのだ。で、何が悲願のコラボかというと、新型Z4は前代未聞となるトヨタとの初共同開発車なのだ。 両社は、2000年代に入って提携関係を模索。以降、燃料電池車やスポーツカー分野での共同開発を進めてきた。それがついに形になったというわけだ。 BMWはZ4の名で、かたやトヨタはスープラの名を復活させて発売する。

近年では、日産とメルセデス・ベンツ、マツダとフィアットなど、予想外の日欧自動車メーカーによるコラボが生まれているが、その中でも今回の日独コラボは意義深い。

走りの楽しさでは世界でも指折りのBMWが、信頼性で世界一のトヨタと組んだのだから(ちなみに、小沢が買った中古のZ4は、買って半年で壊れてしまい、当時の欧州車の脆弱[ぜいじゃく]さを痛感した)。

待ちきれない小沢は、早速ポルトガル・リスボンの国際試乗会に飛び、プロダクトマネージャーのアンドレアス・エデラー氏を直撃した!

■プラットフォームはイチから製作

――われわれ日本人にとって、今回のプロジェクトは夢のようです。BMWが持つ走りのクオリティにトヨタの信頼性が加われば、まさしく鬼に金棒。実際のところ、トヨタさんとのコラボはどうでした?

エデラー(以下、エ) トヨタとBMWの協業関係は長らく多岐にわたっていますが、私が担当するZ4について言えば、開発、製造においてはBMWが主な役割を果たしていました。

――そうなんですか。とはいえ、企画段階ではトヨタからのアイデアも出ていたわけですよね?

 トヨタからは「こういうクルマを開発してくれ」という要求はありましたから、それらに基づいてプラットフォームは開発しました。

――プラットフォームはイチからの新作でしょうか。それとも、既存の3シリーズのプラットフォームを短くしたものとか?

 まったくの新作で、イチから製作しました。

――では、具体的にトヨタからはどんなオーダーが?

  トヨタからオーダーがあったのは、エクステリアとインテリアデザインについてだけでした。あとは、われわれが開発したコンポーネンツに対して、トヨタが 「こんなふうにしたい」「こんなアプリケーションに合うようにしたい」などと調整しました。技術自体はBMWのものですし、具体的なパーツやエンジンも、 われわれの技術を用いていますよ。

――BMWがトヨタに学んだものはないということですか。

 はい。基本的にはないかと。

――スープラの多田哲哉チーフエンジニアに聞いたのですが、トヨタは常に「ポルシェに負けないものを造ってくれ」とオーダーしたとか。

 ハハハハ(笑)。

――最初はBMWに「だったらポルシェを買えば?」と言われたそうですが、何度もしつこくお願いしたと(笑)。

 ハハハ(笑)。スミマセン、それについては何も言えません(笑)。

――わかりました。ではZ4の基本スペックについてですが、トヨタ側がとにかく運転しやすいクルマを造りたくて、今までの量産スポーツカーにはないような短いホイールベースと広いトレッドにするよう求めたというのは本当ですか?

 プラットフォームは共同開発ですし、確かにホイールベースは短く設計していますが、担当者が細かい部分をどうしてほしいとやりとりしたのかについては知りません。

■誰でも楽しめる本格派スポーツ

――昨今はスポーツカーをビジネスにするのには難しい時代です。売上台数もそれほど見込めない。トヨタと組んだのにはそういった背景も?

  確かに、フェラーリのような極端にスポーツカーに特化したメーカーは少ないですが、われわれはそういったものを求めてはいません。あくまでも自分たちが目指しているセグメントの中でお客さまが求めるスポーティさを実現しようとしています。今回のZ4は、それに十分見合う台数が売れると思っています。

――先代はグランドツアラー寄りの性格でしたが、今回はピュアスポーツ寄りになったと聞きました。今は硬派なスポーツカーのほうが求められているのでしょうか。

 それは違います。今は昔のように足が硬くて硬派なスポーツカーは求められておらず、走りの楽しさを純粋に追求しつつも快適性を損なわないモノが求められています。

――つまり、今回のZ4は高速を流すクルーザー的なモノではなく、本格的に走りを追求しながらも、操りやすいスポーツカーになっているということですか。

  そのとおりです。短いホイールベースに広いトレッド、適切なサスペンションジオメトリー、コーナリング速度を高めるためのワイドタイヤ、低重心な高剛性ボ ディ......それらは真の一流スポーツカーになるための遺伝子です。同時に、そうするとおのずと上手でなくても楽しく運転できるようなクルマになるんです。

――運転が上手な人だけではなく、そうでない人でも楽しめる。間口が広い本格派スポーツなんですね。

 はい。ポテンシャルがとても高い上に造り込みの精度も高い。誰でも楽しめる、広く深いスポーツカーに仕上がったと思っています。

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というわけで! 早速、小沢もリスボンの峠道で新型Z4に乗ってみたのだが、これがまぁビックリ! まさにイメージどおりにステアリングは軽く、操作がしやすい。それでいて正確なのだ。

グレードも最上位の「Mパフォーマンス」というだけあって、エンジンは最新のBMW製3L6気筒ガソリンターボが搭載されている。こいつは340馬力を発揮するだけでなく、わずか1600回転で45.9Kgmという極太トルクを発揮するから、やたらと運転がしやすい!

それだけじゃない。スピードを上げてコーナーに攻め込んでいくと、ステアリングフィールが倍増。コーナリングの限界を的確に教えてくれる見事な足まわりに仕上がっていた。

新型Z4は、運転がしやすい上に奥深いという、とんでもないスポーツカーになっていた。でも、それってトヨタ側が求めた味わいでもあると思うんですけどね(笑)。

取材・文・撮影/小沢コージ 写真提供/BMWジャパン

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