東京から静岡まで長距離ドライブで体感! トヨタとスバルの新型EVの「違い」

トヨタ/スバルの新型EVであるbZ4X(左)とソルテラ(右)で、東京から静岡までの公道を約260km試乗! どちらも4WDモデルであった

5月12日に国内で発売されたトヨタの新型EV「bZ4X」と、その兄弟車であるスバルの「ソルテラ」。両社合同の報道陣向け試乗会が開催された。ニッポン待望の2台をモータージャーナリストの竹花寿実(たけはな・としみ)氏がロングドライブ! 先行する欧州のライバル車などと比較しながら濃厚解説してくれた!!

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■公道試乗で見えた2台の「実力」

トヨタとスバルが共同開発した新型EVであるトヨタのbZ4Xとスバルのソルテラに、ついに一般道で試乗することができた。

今回は東京・水道橋にあるトヨタ東京本社からbZ4XのZ(4WD)で富士スピードウェイまで、そこでソルテラの上級グレードであるET−HS(4WD)に乗り換えてJR静岡駅前のホテルまで向かった。走行距離は合計約260kmで、走行ルートは高速道路、一般道、ワインディングロードがバランス良く組み合わされていた。

2台は、ディテールのデザインは異なるものの共通のボディを持ち、どちらも71.4kWhのリチウムイオンバッテリーや、前後に109PSと169Nmの電気モーターを搭載する点など、基本メカニズムも同一だ。

なのでEVならではのスムーズな加速感や静粛性に差はない。加速フィールはEVとしてはおとなしめだが、動力性能的にはエコモードでも十分だ。

トヨタ bZ4X 価格:600万〜650万円 bZ4Xは、トヨタらしくデイリーユースでの快適性と高効率な走りが特長。フロントに150PSの電気モーターを搭載した前輪駆動モデルも用意される

インパネ形状は基本的にbZ4Xとソルテラで共通も、bZ4Xにパドルスイッチは設定されていない

bZ4Xとソルテラは、エンブレム類やフロントバンパー、前後ライトなどのデザインが異なっている

それぞれの個性が感じられるのはシャシーチューニングや走行に関する機能の部分。bZ4Xは、サスペンションが比較的ソフトで、乗り心地を優先したセッティングだが、ソルテラはしっかりダンピングの利いた、引き締まった足回りとなっている。

またbZ4Xは、時速80キロ以下の低負荷直進時にリアモーターの駆動力をカットすることで、消費電力を抑える制御を採用。逆にソルテラは、常に4輪に駆動力を与えることでレスポンスのいい走りを狙っている。

つまり2台はスタート地点こそ同じでも、bZ4Xは快適性と高効率を、ソルテラは走りのいいEVを目指しているというわけだ。この違いは実際にステアリングを握ればはっきりわかる。bZ4Xは、コーナリングはゆったりした感覚だが街乗りや高速走行時の乗り心地が上質。

一方のソルテラは硬質な乗り心地だが、ワインディングロードでのハンドリングの正確性や、路面への張りつき感は素晴らしく、bZ4Xにはないパワーモードに入れて、ソルテラのみに備わるパドルスイッチで回生ブレーキの強度をコントロールしたり、ほぼワンペダルドライブが可能になるSペダルを使えば、まさに自由自在にダイナミックな走りが楽しめるという印象を受けた。

スバル ソルテラ 価格:594万〜682万円 ソルテラのヘッドランプは、アイコニックなコの字形のデザインが特徴。4WDモデルは常に4輪に駆動力を最適に配分し続ける点がbZ4Xとの違いだ

4WDモデルはパドルスイッチが標準となるほか、ドライブモードセレクトにパワーモードも用意される

ソルテラはリアランプもコの字形に点灯。試乗したET‐HSは20インチタイヤが標準

私は欧州のEVを黎明(れいめい)期から取材しており、まだ日本未導入のモデルも現地で試乗している。今回のbZ4X/ソルテラが、世界の最新ライバルと勝負できるかというと、スバルらしいスポーティなキャラクターのソルテラは問題ないが、bZ4Xに関しては若干厳しいと正直感じた。

理由は荒れた路面においてバネ下がバタつく感覚と、特に高速走行時に感じるノイズの大きさだ。乗り心地を優先して減衰力を低めに調整されたbZ4Xの足回りは、低速時や滑らかな路面を走っているときにはすこぶる快適だが、舗装の継ぎ目や段差を越えたときなどにブルブルと震える感覚を覚える。

また、ロードノイズや風切り音は、最新EVとしては決して小さくない。開発エンジニアは、「あまり無音にしてしまうと気持ち悪く感じる方もいる」と言うが、EVなのだから走行フィールが内燃機関車の延長線上にある必要はない。

ホイールハウスやボディ下面の遮音や、現時点で空気抵抗を示すCd値は0.29というエアロダイナミクスの改善に今後期待したい。

bZ4X/ソルテラの欧州市場におけるライバルは、フォルクスワーゲンのID.4/ID.5、ボルボのXC40/XC40リチャージ、それに今年10月に発表予定のポールスター3あたりだ。

トヨタとスバルが、新型EVをスタイリッシュなデザインのミッドサイズクロスオーバーEVとした点は、欧州で勝負する際の武器になるはず。

ただ、指名買いならいいが、ほかのブランドと比較されると、平均速度が高く、石畳の道も多く残る欧州では乗り味の洗練度の点で、特にbZ4Xの弱さが露呈するかもしれない。

今回のbZ4X/ソルテラの出来は悪くないが、次回作以降は、世界を「アッ!」と言わせるようなモデルを期待したいところである。

●竹花寿実(たけはな・としみ) 
モータージャーナリスト。2010年渡独。フランクフルトをベースに在独モータージャーナリストとしての経験を持つ。現在もドイツの自動車メーカーの最新動向に精通。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

撮影/竹花寿実

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