どこまで言っていい? 市川紗椰も迷う「ネタバレ」の境界線「"作品紹介イップス"です」

小湊鐵道の車両基地のSLの前で。ネタバレ厳禁の『アンナ・カレーニナ』をオマージュ
『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、「ネタバレ」について語る。

 * * *

台無しとまではいわなくとも、ネタバレされて映画や漫画のワクワクや衝撃が半減した経験がある人も多いと思います。メディアで好きな作品の話をすることもある身としては、内容の紹介をしつつ、どこまで言っていいのか、「ここからはネタバレ注意」と言えばなんでもありなのか、悩むところです。

さらに、動画配信サービスの普及で昔以上に作品を見るタイミングがさまざまなので、も~何を言っていいのやら。以前は10年、20年前に放送されたアニメのネタバレは問題なかったけど、今や『機動戦士ガンダムSEED』や『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』の中身を語るのも気が引けます。現に、2011年放送の『輪(まわ)るピングドラム』は、基本設定そのものがネタバレになるため、一番好きなアニメなのにほとんどメディアで語ったことがありませんし、このコラムでも1984年公開の『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』のオチの考察ができませんでした。

気にしすぎ?と思われるかもしれませんが、数年前にラジオで、1877年に刊行されたトルストイの名作『アンナ・カレーニナ』のラストシーンを話したら、「ネタバレは勘弁してくれ」とお叱りが。少し展開を話したほうが見たくなる作品もあるし、何が正解なのかわかりません。市川、"作品紹介イップス"です。

ネタバレを"された"側として最初に記憶が残っているのは小学生の頃。図書館で借りたミステリー小説の冒頭で、誰かがある登場人物の名前に丸をつけてました。そもそも怪しいキャラクターだったので、「この丸はもしかして?」と恐れていたら、普通に犯人でした。もっと大々的なものだと、玩具にはとにかくやられてきました。映画公開前にたくさん出る公式のフィギュアやグッズは、たまに大事な展開や秘密をバラします。

例えば、1993年に公開された『バットマン マスク・オブ・ファンタズム』。映画はそれまで放送されていたテレビ番組の続きだったので、バットマンに悪事の濡れぎぬを着せていた謎の悪者の正体がついにわかるというのが、映画の重要な要素でした。しかし、先行販売された悪役ファントムのフィギュアを入手したところ、着脱可能な仮面を取ったらそこにはなんと、とあるなじみのキャラが。まさか、この人だったとは......。こうして、映画公開の1ヵ月前に私のバットマンは終わりました。

同じように、映画の最後に判明する『シュレック』のフィオナ姫の正体も、事前に発表された玩具で知りました。顔を回転させると美女から怪物になる仕掛けで、何かのオマケだったので、自分で買ったものでさえないです。ほかには『スター・ウォーズ』のプリクエルシリーズの玩具でも被害に。

女王であることを隠してたパドメがアミダラ様に変身する人形や、腕と首を切られて死ぬドゥークー伯爵の、手と頭が取り外せるフィギュアとか。事前に発売されたエピソード1のサントラのCDでは、「クワイ=ガンの死」というストレートすぎる言葉がタイトルに含まれる曲があり、ショックでした。

一番やられてるのはレゴです。レゴのネタバレの容赦のなさは特筆するべき。以下、2週目に続く!

●市川紗椰
1987年2月14日生まれ。愛知県名古屋市出身、米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。『ドラゴンボール』のエンディングはヤムチャの夢オチ、というめちゃくちゃな偽ネタバレを信じかけたことがある。
公式Instagram【@sayaichikawa.official】

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?