日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員が独断と偏見で勝手に決定! 令和に復活させたい国産最強クーペベスト11【前編】

日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員が独断と偏見で勝手に決定! 令和に復活させたい国産最強クーペベスト11【前編】

もはや絶滅寸前な国産クーペ。現代に復活させたい名車を独断で11台ピックアップ。1位はこのクルマだ!

トヨタのスープラが17年ぶりに発売されて話題だ。ということで、自動車研究家の山本シンヤがスープラに続いて「復活させるべき11台のクーペ」を選んだぜ!

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■1位に輝いたクーペはいすゞのあの名車!

――30年前は百花繚乱でしたが、もはや絶滅寸前なのが国産クーペです。

山本 やはり効率を考えたらムダな存在ですが、クーペには男の夢があります!

――ということで、今回、山本さんに令和に復活させるべき国産クーペを独断と偏見で勝手に選んでいただきました。で、1位はなんですか。

山本 いすゞのピアッツアです。今のいすゞは商用車メーカーですが、古くは乗用車も製造し、トヨタや日産と並ぶ"自動車メーカー御三家"と呼ばれていたこともある。

――それにしても古さを感じさせない、実に美しいデザインのクルマです。

山本 当時はカクカクしたデザインのクルマが多かったなか、流線形ボディは「マヨネーズのボトルみたい」と言われたことも。時代がやっとこのデザインに追いついたなと。

――いすゞはコンセプトカーのデザインを忠実に再現した117クーペが有名ですが、ピアッツァも同じ手法で開発されたと聞きました。

山本 そのとおり。117クーペの後継モデルを計画していたいすゞが自動車デザインの巨匠と言われるG(ジョルジェット)・ジウジアーロ氏にデザインを依頼して生まれたコンセプトカー「アッソ・ディ・フィオーリ」を忠実に再現しました。

117クーペはデザインを忠実に再現するために板金職人が活躍したそうですが、ピアッツァではボディとウインドーの継ぎ目に段差が現れない「フラッシュ・サーフェース」という新技術が支えに。また、運転中にステアリングから大きく手を離さずに操作が可能な「サテライトスイッチ」は、現在のステアリングスイッチの原型です。

――ちなみに走りは?

山本 エンジンはデビュー当初搭載された2リットルDOHCは非力でしたが、途中で追加された2リットルSOHCターボはクラストップレベルの動力性能を発揮。しかし、シャシーはFRジェミニ(PF型)がベースなので、ハンドリング性能は見た目に対して洗練されておらず、ポテンシャルもそれほど高くなかったのですが、当時傘下のGM(ゼネラルモーターズ)グループのネットワークを生かし、「イルムシャー」や「ハンドリングバイロータス」といったスペシャルモデルを開発して、かなり洗練された乗り味になりました。

――復活させる方法は?

山本 すでに乗用車市場から撤退して26年がたっているので、いすゞ自身での復活は厳しい。そこで海外のカロッツェリアにデザインや製造を頼み、スープラを生産するマグナ・シュタイアー社のようなところに委託生産する。コレが最も現実的かと。

――続いて、2位は!?

山本 スバルのアルシオーネSVXです。実はこれもピアッツァと同じくG・ジウジアーロ氏がデザインしたモデルです。

――キャビンはガラスで覆われ、戦闘機のキャノピーのような印象を受けます。

山本 フロント、サイド、リアのウインドー間にピラーが露出しない全面3次元ラウンドキャノピーは元「飛行機屋」であることを形にしたアイデアです。ただ、従来のガラス製法では不可能でさまざまな技術革新で実現しましたが、そのおかげでサイドウインドーは一部しか開閉できないことがウイークポイントに。

――メカニズムは?

山本 開発当初はバブルど真ん中なのでエンジンは新開発の水平対向6気筒「EG33」、世界的に採用例の少なかった100%亜鉛メッキ鋼板で構成されたモノコックボディ、さらにFRの回頭性と操舵感、AWDの走行安定性を備えたVTD−AWDと4WSなどすべてをSVXのために開発。その結果、スバルが目指す「グランドツーリング性能」を高次元で実現していました。

実は最近、このSVXに乗りまして。だいたい当時のクルマに今乗ると「夢のままのほうが」と思うのですが、SVXは昔と変わらなかった。

――復活させるなら?

山本 エクステリアと比べるとインテリアが地味なので、そこに手を入れる以外はそのままでいい。プラットフォームはスバル最新のSGP(スバルグローバルプラットフォーム)、エンジンはラインナップ落ちしてしまった水平対向6気筒3.6リットル「EZ36」をベースにSTIでツインターボ化させたユニットを搭載すれば、同じ水平対向搭載のポルシェ911とガチンコで戦える一台になると思いますよ!

――3位は?

山本 日産レパードです。2代目は当時ライバル関係だったトヨタ・ソアラを強く意識したモデルになります。エンジンは全車V6で、前期型は3リットルのNA、後期型はシーマにも採用された3リットルターボを搭載。シャシー系はR31スカイラインと共用していたものの味つけはラグジュアリー方向のセットアップで、路面状況やステアリングの操作具合、車速などに応じてショックアブソーバーの減衰力を自動で切り替えする「スーパーソニックサスペンション」など新技術も採用していました。

――でも販売はソアラのひとり勝ちで苦戦したらしいスね。

山本 しかし、テレビドラマ『あぶない刑事』の劇用車として使われたことで一躍有名になりました。ちなみに劇中では前期型のアルティマ(ゴールドメタリック2トーン)が「港303」、後期型のアルティマ(ダークブルー2トーン)が「港302」でしたね。ただ、新車時の販売台数が少ないため、現在の中古車市場はソアラより高値を維持しています。

◆日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員が独断と偏見で勝手に決定! 令和に復活させたい国産最強クーペベスト11【後編】

●山本シンヤ 
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立。スポーツカー、モータースポーツに精通。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

構成/山本シンヤ 写真提供/いすゞ自動車 SUBARU 日産自動車

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