発売2週間で2万台以上を受注! ホンダ新型「N−WGN」がバカ売れのワケ

発売2週間で2万台以上を受注! ホンダ新型「N−WGN」がバカ売れのワケ

N−WGN開発責任者の古舘 茂氏とN−WGN(左)とN−WGNカスタム(右)。古舘氏は2万台の受注にガッツポーズを決めながら、「N−WGNは長く愛されるクルマにしたい」と語る

約5年半ぶりにフルモデルチェンジを受けたホンダの軽自動車N−WGNが8月9日に発売され、今、売れに売れている。気鋭の自動車ジャーナリスト・竹花寿実(たけはな・としみ)ががっつり試乗し、人気大爆発の理由に迫ってきた!

■昔の国産コンパクトを完全に超えている

――ホンダの新型N−WGNがバカ売れしているみたいですね!

竹花 8月9日の発売から2週間で受注が2万台ってスゴいですよ! でも実際に乗ってみると、それもナットクの出来栄えです。

――そんなによくできたクルマに?

竹花 とてもマジメに、そして手を抜かずに開発されたクルマです。軽自動車に対するイメージをひっくり返すくらいのインパクトがありました。

――具体的にはどんなところがスゴいんですか?

竹花 まず室内空間が広い。キャビンの前後長は軽ハイトワゴンでナンバーワンです。ラゲッジ容量も従来モデル+24リットルの134リットルに拡大した上、ラゲッジフロアが180mmも低められて開口部も拡大。

さらに上下2段に分けて使える2段ラックモードや、リアシートを倒して長尺物も詰めるビッグラゲッジモードなど、使い勝手もグッと向上しました。小物入れなどストレージもとても豊富です。

――なるほど。でもそのへんは各社とも頑張っています。

竹花 確かにそうですが、ハイトワゴンでスーパーハイトワゴンに迫る実用性を備えた点は高く評価していいかと。

――そのほかの注目点は?

竹花 先進的な安全運転支援システムのHonda SENSINGが全車標準装備となり、停止制御付きのACCや夜間の歩行者認識性能が向上した衝突軽減ブレーキなども搭載された点も要注目ですが、何よりもまず、ドライビングポジションの自由度が格段に高まった点が素晴らしいです。

――というと?

竹花 クルマって、正しいドライビングポジションが取れないと、運転していて疲れるし、正確な運転操作ができないので、とても危険なんです。

でも新型N−WGNは、シート高の調整幅が大きく、ステアリングにはチルト機能に加えてテレスコピック機能が備わり、ペダルの位置も最適化されているので、小柄な女性から大柄な男性まで、体格に関係なく適切なドライビングポジションが取れます。これは軽自動車では画期的なことなんですよ。

――確かに従来の軽自動車って、運転席に大柄な男性が座ると、ステアリングが遠かったり、ペダルが近かったり、どこか窮屈な印象がありました。

竹花 それが新型N−WGNではほぼ解消されています。個人的には、もう少しテレスコピック機能の調整幅が大きいとうれしいですが、ドライビングポジションに関して、ホンダは軽自動車の新たな基準を打ち立てたといえます。

■ターボの走りは衝撃的にいい!

――ズバリ言って走りのほうはどうでした?

竹花 大雨のなか、東京湾アクアラインを使って川崎〜木更津間を往復したんですが、もはや軽自動車の常識を超えた上質感でした。信じてもらえないかもしれませんが、新型N−WGNは動的質感の点で、ひと世代前の国産コンパクトカーを確実に超えていると思います。

――実際にどんな乗り味で?

竹花 今回は自然吸気エンジンを搭載したN−WGNのLと、ターボエンジンを積んだN−WGNカスタムのLターボに試乗したんですけど、15インチタイヤを装着して前後にスタビライザーがついているN−WGNカスタムLターボの走りは、衝撃的に良かったです!

――マジっスか!

竹花 コシがあるのにしなやかで、走りだした瞬間からタダ者じゃない感がステアリングやシートからびんびん伝わってきました。速度を上げても路面からの入力を見事に受け止め、いなしていて、タイヤとサスペンション、ボディ、シートが一体となって振動を打ち消している感じ。

まるでフランス車に乗っているかのような感覚でしたね。ハンドリングもとても自然で、安心感も高いです。

――軽自動車の評価とは思えない表現ですね。

竹花 それほどよくできていたんですよ。エンジンは最高出力64PS、最大トルク104Nmで、トランスミッションはCVTで、メカニズムは平凡なんだけど、発進時の加速Gの立ち上がりや、アクセル開度に応じて加速Gをリニアに制御する、CVTの「G−Design Shift制御」をN−WGN専用にセッティングしたのが、とてもうまくハマって、加減速もとても気持ち良かったです。

――ほう!

竹花 カスタムLターボに関しては、ヨーロッパでも十分に通用すると思います。ドイツでは走りと快適性、ハンドリングのバランスが高いレベルで取れているクルマを「ゼア・ハーモニッシュ!」と形容するのですが、このクルマもこの表現にふさわしい出来栄えです。

――自然吸気のN−WGNはどうでした?

竹花 カスタムLターボと比較すると物足りなさを感じてしまいますが、こちらも悪くないですよ。タイヤが14インチで、リアスタビライザーが備わらないので、明らかに乗り心地はソフトで、往年のフランス製高級サルーンのようです。

高速域の直進性やフラット感は若干落ちますが、駅への送り迎えや近所のスーパーへの買い物といった日常使いであれば、これで十分です。

――燃費はどんな感じで?

竹花 WLTCモードで23.2km/リットルです。ちなみにターボでも22.0km/リットルなので、もはやハイブリッドである必要性もありません。

――スゲー! ところでデザインについてはどう思いました?

竹花 飽きのこなそうなデザインでいいと思います。確かに今時のメッキギラギラ系よりインパクトはありませんが、標準仕様のN−WGNでも、限られた寸法のなかで巧みな面の張りでボリューム感を持たせていて、プレスラインを極力用いずに個性と存在感を感じさせる造形になっています。

カスタム系も競合モデルと比べるとやや地味かもしれませんが、逆にある程度年配の人が乗っても恥ずかしくないスタイルに仕上がっていると感じました。

――確かに誰にでも推せる雰囲気があります。

竹花 乗り味と同様、ルックスにも上品さが感じられます。デザイナーの方もおっしゃってましたが、長く所有するほどに愛着が湧くデザインにするために、2年間も面を修正し続けたそうです。

――2年間!

竹花 このシンプルなデザインが味気なく見えないのは、それだけの仕事が詰まっているからです。新型N−WGNは、ホンダのエンジニアやデザイナーの、「どうすれば軽自動車ユーザーに喜んでもらえるか」という思いが詰まったモデルなんです。

開発責任者の古舘さんは「先代は軽自動車の新基準を作ることを目指していたのですが、新型は、毎日使うベーシックカーだからこそ、より良いクルマにしなければならない、という思いで開発しました」と。まさにそれが形になったなと。

――なんだか日本だけで売るのがもったいない気が......。

竹花 そうですね。ヨーロッパでも十分に通用すると思いますが、衝突安全基準や速度域の点で現実的には難しい。でも、東南アジアやインド、南米あたりなら成功しそうな気がしますよ。軽自動車でこれほどの上質感を実現したとなると、年内にデビュー予定の次期フィットが楽しみになってきました!

●竹花寿実(たけはな・としみ) 
1973年生まれ。東京造形大学デザイン学科卒業。自動車雑誌や自動車情報サイトのスタッフを経てドイツへ渡る。昨年まで8年間、ドイツ語を駆使して、現地で自動車ジャーナリストとして活躍

取材・文/竹花寿実 撮影/本田雄士

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