旅人マリーシャの世界一周紀行:第244回「地元ラジオDJが案内するブルネイの穴場とローカル飯」

旅人マリーシャの世界一周紀行:第244回「地元ラジオDJが案内するブルネイの穴場とローカル飯」

ラジオDJと街歩き。バオバブの木はどうやらリッチな王様がお取り寄せしたらしい!?

ブルネイで私が宿泊した宿の主・アッシュの本業はラジオDJ。ウェーブがかった黒髪のロン毛を揺らし、職業柄か軽やかにテンポよくおしゃべりをする男だった。

情報を発信する側だから、その辺の人に比べたらずっと流行にも敏感でイマドキだと思う。それに社交的でインターナショナル。英語も堪能だ。本業の傍らホステル業を始めた理由は......?

「ブルネイをみんなに知ってもらいたいんだ。今はリッチな国になったけど、資源はいつか尽きるだろう? その時に観光があったらナイスじゃないか! 

でも、観光地化させたいわけではなくて、このままのブルネイを見にきてほしいんだよ。カジノとかバーとかを作ったら他の国と一緒だろう? お酒は他の国で飲めばいいのさ。

それから、イスラム圏っていうだけで危険なイメージを持つ人もいるけどさ、全くそんなことはないし、何か特別なこともない。タブーなことだってわざわざカミングアウトしない風習なだけで、若者男女は恋愛もするし、みんなと同じ、普通に生きてるさ!

ラマダン(断食)真っただ中で朝から水も口にしていない彼だが、確かにブルネイはイスラム圏の中でもそこまで厳格なイメージはなく、みんなオープンで自由に生きている感じ(一方で、今年「同性間性交渉や不倫は死刑」という新刑法をめぐり世界で物議を醸したが......)。

「おっと、そろそろ仕事に行かないと。お昼には生放送があるから聞いてね! それから今夜は友人家族が来るから、もし良かったら一緒にディナーへ行こう! 君の場合、鼻のデカイ猿(ブルネイ観光のイチ推し)を見に行くより、ローカルの人たちと会いたいだろう?

さすが、よくおわかりで! 願ってもないお誘いだ! アッシュはホスピタリティーにも長けていて、カンも鋭い。宿泊客からの評判が良いのは納得だった。

そのおかげで、正直あまり見所のないブルネイも楽しく感じていた私。ラジオの生放送に耳を傾けると、彼は元気良くマレー語でHIPHOPなどのイケイケな音楽を紹介していた。

夕方頃、帰宅したアッシュと彼の友人家族が集まった。友人夫婦とその娘と息子の4人。言語はマレー語。車で来た彼らはこの街の住人ではなく遠方から都心へ遊びに来たようで、一緒にバンダルスリブガワンの街をアッシュに案内されながらレストランへと向かった。

「きれいな公園だろう? 国王が街をリニューアルしているのさ。公共ジムもある。それから、この木はバオバブの木だよ!」

「バオバブの木! マダガスカルで見たいと思ってたけど、まさかブルネイでこんなに見られるなんて! 木なんかいくらでもあるだろうに、リッチになった王様はわざわざこの木を海外からお取り寄せしたってわけ?」

私の予想は半分正解といったところだろうか。それはマダガスカルのものではなく、西オーストラリアのキンベリーのものだった。バオバブには様々な品種があり、多くはアフリカ原産だが、これはオーストラリアのアダンソニア・グレゴリーという品種。

本来、伐採が禁じられているそうだが、土地開発など政府が認めた特別な場合に限り、移植や海外への輸出を行なっているのだそうだ。手軽に取引されることはなく、自生地以外ではめったに目にすることのできない貴重な植物なんだって! つまり"レアもの"

ブルネイでバオバブの木が見れるのは、なかなかどうして、重要な観光のひとつではないだろうかと私は思う。

そしてラマダン明けの時間に川沿いにあるレストランに着くと、ちょうど空はサンセット。その日の夕日はこれまた最高で、世界で何度も素晴らしいサンセットを見ている私ですら感動する美しさであったが、一日中何も飲み食いしていないみんなは目もくれずメニューに夢中。

そして、間も無く注文した物が続々出てきたが、それらを前に彼らはまだ手をつけようとしない。しばらくして、夕焼け空にラマダンの終了を告げる大砲の音が「ドーン」と鳴り響くと、口元に両手を持っていき10秒くらいお祈りした後、勢いよく食べ物に食らいついた。私がその様子を興味津々に見ていると、家族のお母さんがこう言った。

だってすごくお腹が空いてたんだもの! 普段は朝ごはんを食べて、そのあと軽食、昼食を食べたら、アフタヌーンティーでおしゃべりして、夕飯の前にも何かつまんで、それから夕飯、食後にもまだアイスとか食べるかな! 普段はずっと食べてる(笑)」

私は何かブルネイらしいものと思い、アッシュのオススメ「パンダンソルティーエッグチキン」を注文していた。ソルティーエッグとはアヒルの卵の塩漬けのことで、パンダンは東南アジア料理の香り付けに欠かせない葉っぱ。ソース状になってチキンと絡められたその料理は、タレ味のつくねを卵黄にくぐらせた感じというか。

濃厚な卵黄のまろやかさと甘じょっぱい味がなんとも言えずウマー。日本では見たことないけど、シンガポールではその味の人気スナック菓子があったり、マクドナルドのポテトにかかっていたり、韓国ではソフトクリームもあるみたい。アジア圏ではポピュラーなようだ。

それから「ウィートグラス」という飲み物。ウィートグラスは少量でたくさんの栄養素を摂取できる小麦若葉。いわゆる青汁のようなもので、「緑の血液」や「地球上で最もデトックス効果がある」「痩せたくないのに5キロ減少」などとネットで囁かれ、欧米セレブや世界中で注目を浴びている。

ありがちな草っぽいエグ味が少しあったので、この時は微妙って思ったけど、そんなにすごいデトックス効果があると先に知っていたら、もっと前向きな気持ちで飲んだのに(笑)!

ブルネイには派手な観光はなかったけれど、アッシュや友人たちと過ごす時間のおかげで、未体験のローカルフードにたどり着くことができた。やっぱり、鼻のデカイ猿よりも地元民との交流だな!

旅行先としてはマイナーな国ブルネイだが、それだけにユニーク。この先の展開やバオバブの成長も気になる私は、その後もアッシュのインスタで毎日この国の様子を楽しんでいる。

【This week's BLUE】
青いハンバーガー発見! これはちょっといただけないかな(笑)

★旅人マリーシャの世界一周紀行:第245回「コタキナバルで旅の"裏技"、ホテル遊びを満喫」

●旅人マリーシャ
平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。スカパーFOXテレビにてH.I.S.のCMに出演中! バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】

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