旅人マリーシャの世界一周紀行:第262回「外出制限下のスペインで友人たちが感じる"ソーシャル疲れ"」

日本の薬局で「ポケットティッシュお一人様一点限り」ってけっこう衝撃的! 普段なら道でタダで配ってるのに!

「スペインは15日間も監禁状態だったけど、さらに15日延長になったわ.........」

北スペインのビルバオに暮らすロシ(スペイン女子)はスペインで出会った友人で、今回のコロナについて安否を尋ねると、WhatsApp(LINEのようなアプリ)でそう一言だけ返ってきた。1ヵ月も自由に外出できないのは相当ストレスだろう......。

コロナウイルスの出現で世界は一変した。

私がいつも普通に入国して普通に旅をしていた場所のほとんどは、旅先として楽しめなくなり、街は「外出自粛」や「外出禁止」でゴーストタウン化。スーパーでは「買い占め」が発生するなど、世界では奇妙な共通の現象が起きている。

バルセロナの名所「シウタデリャ公園」にも誰もいない(写真提供:トム)

さて、今回は旅の話をお休みして、世界に散らばる私の旅友や在住者たちがどう過ごしているのか、生の声を聞いてみたいと思います。

(以下はそれぞれ一個人の話であり、3月中旬頃に聞いた話。状況は急速に変化しているので、現状とは差異が生じる可能性があることをご承知ください)

ではまず、このコラムでも直近で紹介させてもらっているスペインの様子はどうだろうか。感染拡大の深刻な状況が続いているが、バルセロナでアパートに滞在させてくれたアナは元気であろうか?

「街中はかなりおかしな状態よ。カタルーニャ州は早くから規制を厳しくしたかったけど、当初スペイン政府はそうしなかったのよねぇ......。今は家で仕事するよう言われていて、外出は食料買い出しとか銀行に行くとかだけ。街中には警察が立ってるみたいだけど、私は今、田舎のほうにいるからそんな景色も見ないし、山に犬の散歩に行って外の空気を吸ってるわ」

スペインは国内で感染が確認された当初ほとんど対応を取らず、感染者の急増を受けてやっと方針転換し、非常事態宣言や空港封鎖に至った。その後、先週末には不要不急の出勤も禁止され、より外出制限が厳しくなっている。

「病院はコロナ感染者でいっぱいよ。今日も昨日も病院では人が亡くなってる。若い人でさえもよ。病院で働く私の友人は一生懸命戦ってるわ。パンデミックは大きな問題だし、できる限りのセキュリティーが重要。大したことないって言う危機感のない人もいるけど、実際には死人も出ているわけで、その間ではすごく論争が起きているわ。

外出禁止はもっと長くになると思う。不安なのは、国が止まったら経済がどうなっていくのかや、仕事はどうしたら良いのか、復活するのが半年後なのか来年なのか、もっと人が死ぬのか、世界中が感染するのか......。

ああ、それから今はキスもできないわね」

人々を助けるために一生懸命戦う医療現場の人(写真提供:アナの友人)

「空港封鎖、国境封鎖をして外からの旅行者は入れなくなったけど、国内の移動手段はあるから、結局旅行者が移動できちゃうんだよね。マドリードの人たちが週末にセカンドホーム(別荘)に出かけたりとか! イタリアと同じ!」

イタリアでは、ミラノなどの都市部に仕事や遊びに出た人が、田舎に帰り高齢者と触れ合ったのも感染拡大の一因と言われている。スペインでは3月18日から国鉄が休止されたが、首都マドリードなどの都市部からの感染拡大の阻止だとも考えられる。

スペインの街の様子。すっかりゴーストタウン化している(写真提供:アナ)

州政府で働くアナは現在オンラインで仕事をしているが、意外なストレスを感じ始めているようだ。

「オンライン作業が、仕事以外にもいろいろ増えてしまったの。友達からは、やれ6時にスカイプ、7時にヨガクラス、8時にクルーズ、9時にシアター、10時にミュージアムなんちゃら......って連絡が来て、『もうやめてー! 自分の時間が必要なんだけど!』ってなる(笑)!

友達と話したりできるのはいいけど、皆がひっきりなしにスカイプしてくるから、それも段々ストレスになってきちゃって、もうそんなソーシャルライフに疲れてるわ(笑)。フェイクニュースもあふれてるしね!」

パンプローナの街中。普段はたくさんの人たちがバルでタパスやピンチョスを楽しみ賑わっているが、今は誰もいない(写真提供:アナの友人)

そう感じているのはアナだけではないらしい。マドリードでお世話になったスペイン人のトムに聞いてみた。

「スペインで聖地巡礼の旅をしていたんだけど、ホステル(宿泊施設)が全て営業停止となってね、やむをえず中止して帰り、検疫を受ける必要があったよ。

今はバルセロナの家で一日中過ごし、2、3日おきに食べ物を買いに出てる。スーパーマーケットでは1.5m離れて、列を作ってひとりずつ入るんだ。通りには犬の散歩をしている人か路上生活者しかいない。空気はきれいだけど、外に出て楽しむことはできないんだよ。

あと僕は、WhatsAppでの友達とのグループチャットのほとんどを離れたんだ。みんなのくだらないジョーク(コロナネタ?)が止まらず、それになんだか疲れてさ、オンライン離れしてるんだ」

こんな状況下でも、気軽に人とつながれるソーシャルはありがたい。でも、過剰になってしまうと、情報量の多さと、常に時間を支配されていることに疲弊が生じてしまうようだ。

賑わっていたバルセロナの街中にも誰もいない(写真提供:トム)

一方でもちろんオンラインは便利なもので、トムも「妹は絵画の先生で、今は対面での授業ができないから、オンラインで何人かの生徒を持っている」と言うし、他にもオンラインを仕事に活用している友人はいる。

アメリカのフィラデルフィアに住むジルは、ヨガのクラスをZOOM(オンラインミーティングアプリ)で開講し、インスタのストーリーでスケジュールを告知することで仕事をキープしている。

「オンラインヨガで関わる人たちはみんな、より思いやりを持ちあって幸せだし、私は生徒に教えることができて嬉しいし、ほんの少しのお金を稼ぐことができて安心したわ。

いつまでこの状態が続くのか不安だけど、世界中の友人とのコミュニケーションを維持するテクノロジーがあることは幸運だよね。収束とともに、物事がより良く、そして人々の良い部分が引き出されたらと願ってるわ!」

実は今回、数人に聞いた中で、プライベートな時間に何をしているかという質問には「読書をしている」という声が一番多かった。良くも悪くもオンラインでのコミュニケーションが密になっている反動で、オフラインな時間を持ちたいという心理が働くのかも。忙しい現代人が、日頃の生活を見つめなおす機会にもなりそうだ。

●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。コラム連載は5年間半を超える。Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】
女子2人組ユニット「地球ワクワク探検隊」としても活動。Youtube配信や国内外各地のPR活動、旅先のお酒やお話を提供するイベント「旅するスナック」を月2回、東京・虎ノ門で開催。
【https://www.youtube.com/channel/UCJnaZGs8hyfttN9Q2HtVJdg】

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