旅人マリーシャの世界一周紀行:第143回「金と薬と車をゲットしろ!――エチオピアで課せられた3つのミッション」

旅人マリーシャの世界一周紀行:第143回「金と薬と車をゲットしろ!――エチオピアで課せられた3つのミッション」

旅友に「エチオピアの安宿は南京虫率100%」と脅されて、対策にビニール袋に包まれて寝るマリーシャはなかなか死体みたい

ついにエジプトからスタートしたアフリカ大陸縦断。

純粋に南下するならば、お次の国はスーダンといきたいとこなんですが、スーダンはトランプ大統領令で入国制限された国のひとつ。

この国への渡航履歴があると、「世界最強クラス」と名高い日本のパスポートを持っている我々さえも、アメリカ入国にビザ(160ドル)が必要になったりとハードルが上がる。

またスーダン出入国はビザ関連に手間がかかる上に見所が少ないこともあって、同国を縦断ルートからはずす旅人は多い。私もここは飛行機でピューンとエチオピアへ飛んだ。

いよいよサハラ以南からは主に黒人居住地域となり、アフリカ大陸でもモロッコやエジプトなどのアラブ系とはガラリと雰囲気が変わる。ここからがアフリカ旅の本番だ!

さて、エチオピアといえば「ダナキル砂漠ツアー」で行くダロール火山が『ドラゴンボール』のナメック星に似ていると旅人には大人気だけど、私の目的は「少数派民族の村巡り」。この国は80以上の異なった民族集団が存在する多民族国家だというんだから、是非会ってみたい。

しかし、その前に! ここへ来た旅人には、まず大事なミッションが課せられているのだ!

1に「新札の用意」。




村にはATMや両替所などなく、そして民族撮影にはチップとして渡す少額の紙幣が必要。中には生意気にも“新札”しか受け取らない民族がいるという。

2に「マラリア対策」。




マラリアには予防接種がなく飲み薬で予防をするのだが、日本ではその薬が出回ってないので入手するには高額であり、アフリカ圏のほうが入手しやすい。

3は「テントを購入」。




アフリカは意外にもキャンプ場が充実しているそうで、何かとお金のかかるアフリカ旅では千円以下でテント泊をして宿代を節約する旅人が多いのだ。

しかし、ビビりの私はアフリカでは「安全をお金で買おう」と考えているのでテント泊はしない予定…(朝晩冷えそうだしさ)。というわけで、3つ目のミッションは「治安の悪いバスターミナル周辺で民族の村行きバスのチケットを購入」とでもしておこうか。

エチオピアの玄関口となる首都アディスアベバの空港についたのは深夜2時。

空港内には巨大な中華料理店の漢字の看板がドーンとあったり、ゆっくりだけど割と安定したフリーWifiが飛んでいたのは意外だった。そして、まずは街に出るために現地通貨が必要なので、アフリカ旅のために事前に用意していた米ドルを少しだけ両替する。

さらに「民族撮影用に少しでも少額紙幣を作っておかないと」と、ダメ元で「なるべく5ブル札(約25円)いっぱいください」と頼むと、あらま…両替したほとんどのお金を5ブルに、しかも帯の付いた新札の束でくれたのだ!

一番大変そうだと思っていたミッションが、いとも簡単に達成できてしまった。ラッキー! 民族撮り放題じゃん。私もヨシダナギみたくなっちゃうかも?(ヨシダナギとはテレビ番組『クレイジージャーニー』でも一躍有名になった少数民族写真家のことである)

この5ブルの札束は使わずにキープしておくとして、あとはATMで現金おろそっと!

宿に着くと、そこではクレジットカードで支払いをして、お次は薬局ね。

ちょっと遠いけどダウンタウンへ向かって歩き始めると、大通りには車がいっぱい走っていて、さびれたショッピングモールなどもあり、首都なだけあって一応、都会。

ATMはいくつもあるが、お金が出てこなかったり、日本のキャッシュカードに対応してない機種だったり。これはこれは…意外と現金を手に入れるのが難しいぞ。

それにしても、観光客なんて歩いていないのでとにかく自分が目立つ。見られてる緊張感からだろうか、それとも飲まず食わずでずっと歩いているからだろうか、空気はかなり埃っぽいし、なんだか息苦しい。

「なんだか…ではない。本当にすっごく苦しいぞ。息ができない…。倒れそう…ハァ、ハァ…」

それもそのはず、実はアディスアベバは標高2355mという高地にあるのだ。

軽い高山病を感じながら、なんとかダウンタウンに到着すると、明らかに感じの良くない雰囲気に変わり、「ヤーマン。俺は日本の友達がいる」と話しかけられる。

ボブ・マーリー好きそうなふたり組の男たちには「どこに行くんだ」と、避けても避けてもずっとついてこられて「完全に狙われてるな〜」という状態でコワイ。

ここでATMなんて行けないし、相手の機嫌を損ねないように気を使いながら、最後は「疲れているのでもうほっといてほしい」と言って、なんとか振り切ると、薬局に着いてしまった。

結局、薬を買う分の現金が少し足りず、クレジットカードも受け付けてもらえなかったので、ただの買い物なのにあえなくミッション失敗…。

「マネー!」と道端で金を要求してくる人もいたけれど、こっちこそ「マネー!」と言いたい気分。正直、もう怖い。街中をフラフラ歩いていたくない。

焦りが募る中、かなり歩いて何台ものATMにチャレンジし、やっと現金をゲット。今度こそマラリアの薬を手に入れた。薬には何種類かあったけれど、一番高いスイス製のものにした。ミッション2を達成するのに半日かかったぞ!

もうフラフラで頭痛もしてきたけれど、せめてこの街の雰囲気を撮っておこうと路上でカメラを構えたら、突然、石を投げつけられた。危なっ!

エジプトでもそうだったが、女性は特に写真を嫌がる人が多い。まるで痴漢にでもあったかのような反応で、殴りかかってくる人もいる。街中で写真を撮る時には十分に気を付けなければ。

気を取り直して、最後はバスのチケットを買いに向かう。「アフリカでは夜の外出は言語道断。暗くなる前に帰らなくっちゃ! 急げ!」。高架下に位置するバスターミナルの周りは、暇そうにたむろしているタチの悪そうな少年たちでいっぱいだ。

そこそこの現金を持ち歩いているし、パスポートも持っている私は「うわー、ここで買うのか。やだなぁ〜、コワイなぁ〜」と稲川淳二ばりにビクビクしながら、声をかけてきたり体に触れてくる輩をかわし、小さなバスオフィスに駆け込んだ。

危うくおつりをゴマかされそうになったが、バスのチケットを手に入れて、なんとか全てのミッションを達成! …と思ったら、旅友から「南アとエチオピアでスキミングされたよ!」との連絡が。

「ぎゃふん! 今日はクレジットカードも使ったし、何台ものATMで散々カード通したよ。やだなぁ〜、コワイなぁ〜」

やっぱり、アフリカはひと筋縄ではいきそうにない…。そんな思いで、私は南京虫避けのビニール袋に包まれて、1時間程度だろうか、死体のように眠った。

アフリカの旅は始まったばかりーー。

⇒第144回「大人気の『うんこ漢字ドリル』より日本の子供が喜びそう?なエチオピアの“ソウルフード”って… 」

【This week’s BLUE】




気を付けなければいけないのはマラリアだけじゃない。フリーでエイズ検査、してみる?









●旅人マリーシャ





平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。バックパックを背負 う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】  instagram【marysha9898】

関連記事(外部サイト)