60~70代のボランティア熱高まるがトホホな失敗談も多い現実

60~70代のボランティア熱高まるがトホホな失敗談も多い現実

”スーパーボランティア”の尾畠さん(共同通信社)

〈広島県 くれ 天応地区へ ボランティアに行きます 春夫〉

 警察と消防がのべ550人で捜索しながらも発見できなかった2歳男児を、わずか20分で見つけ出した尾畠春夫さん(78)。「スーパーボランティア」とも呼ばれる尾畠さんが、その後大分県内の自宅で過ごしたのはわずか2日間で、軒先に置いた伝言板に冒頭のように綴ると、8月18日には、7月に豪雨被害を受けた“次の現場”へと向かった。

 9月になれば、2020年東京五輪のボランティア募集も始まる。観客サービスや競技運営サポートなどを行なう「大会ボランティア」が8万人。国内外からの旅行者に対する観光・交通案内や競技会場までの誘導などを行なう「都市ボランティア」が3万人の、計11万人規模となる予定だ。

 こうした背景もあってか、60~70代のボランティア熱が高まっている。東京ボランティア・市民活動センター副所長の長谷部俊介氏が説明する。

「今年3月、東京都が『都民等のボランティア活動等に関する実態調査』を発表しました。それによると、直近1年間にボランティア活動に参加した60代男性は23.4%、70歳以上の男性は24.8%と、定年後世代の4人に1人。何か新しいことを始めてみたい、地域に貢献したい、という思いから積極的に参加を希望されています」

 だが「何から始めたらいいかわからない」という人も多い。

 豪雨被害のあった岡山県倉敷市をボランティアで訪れた高知県の町議が、酒を飲んで自衛隊が被災者用に設営した風呂に入り、避難所に無理矢理宿泊するという事態も起きた。そこまでのトラブルにはならないまでも、トホホな失敗談は多い。

「東日本大震災の直後、被災地に向かいました。年齢もあって足手まといになってはならないと考え、被害があまりひどくなかった地域の避難所に行ったら、そこは人手が余っちゃっていて。被災者の方々と世間話をするばかりで、もっと人員が必要な場所がきっとあったと後悔しています」(71歳、元メーカー営業)

「年4回の消防訓練と、冬の自警団だけなので簡単だと思って地元の消防団に参加したが、いざ火災が起きたら、現場でオロオロするばかり。今は各家庭への防火啓蒙訪問を細々とやっています」(66歳、元公務員)

「老人ホームで、入居者とおしゃべりや、囲碁、将棋の相手をするボランティアをしていました。あるとき、入所者向けのイベントをやることになり、昔取った杵柄でマジックを披露したのですが、寄る年波には勝てず、手元が狂って大失敗の連続。

 ちなみに、私の次にステージに立った方は、綾小路きみまろよろしく漫談を披露して、盛大にスベっていました」(63歳、元商社マン)

※週刊ポスト2018年9月7日号

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