AI問診は1時間で5400円 ヒューマンエラーを減らせる

AI問診は1時間で5400円 ヒューマンエラーを減らせる

待合室も無人化

「AI(人工知能)医療診断」は驚異の進化を続けている。「問診」は医師と患者という人間同士の“対話”で、AIとは縁遠い印象があるが、それもまた違っている。すでに「人間ドック」の一部にAI問診を取り入れている病院がある。

 東京・大田区にあるAI和合クリニック。記者は専用のスマホアプリで予約してあるので、受付用タッチパネルで患者番号を入力すれば受付完了である。

 待合室でタブレット端末を渡され、氏名、年齢、身長、体重を入力。画面に次々に現われる質問項目に、該当する選択肢を指でタッチして答えていく。

「主な症状は?」という質問の時、この診断を体験した記者は1年ほど前から左上腕にしびれを感じているので、「腕のしびれ」をチェック。すると「より詳しく聞かせてください」という画面が出てきたので、選択肢から「やや耐えがたい」を選んだ。

「どのくらい前から?」「症状が出る時間は?」「しびれもしくは違和感の現われ方について一番近いものを以下から選んで下さい」と、質問はしだいに詳細になる。

 その後アレルギーの有無や過去の病気に関する質問に移り、4~5分程度で“問診”は終了した。

 次は歯科検査で、歯のレントゲンを撮り、噛み合わせや歯周病など口内チェックを行なう。終了後に診察室に移り、担当医からAI問診の結果を聞く流れだ。

「AIによれば、しびれは神経の通り道が狭くなることで出てくる症状で、その少し上にある胸郭の動脈の通り道が狭くなっている可能性が考えられます。疑わしい病名としては胸郭出口症候群。頸椎症の可能性もあるという結果ですね」

 重大な疾患の疑いが出れば、精密検査などを勧められることもあるという。記者の場合は、ひとまず経過観察でよいとのことだった。

 次に別室で「SKY-10」という体に電圧を流す検査機器によるチェックを受け、「血管年齢は55歳で老化が進んでいる状態」などの指摘を受けた。

 AI問診を含めた3つの検査がこのクリニックの「人間ドック」で、料金は5400円。所要時間は1時間ほどだった。

「AIによる補助診断のメリットは、ドクターの負担軽減と、問診でのヒューマンエラーを減らせることだと考えています」(院長の重山洋一郎氏)

 また、AI問診のシステムを開発した「Ubie」の共同代表・阿部吉倫医師はこう説明する。

「問診の質問数は15~20個で、質問の種類は約3000種類、答えとなる選択肢は4000種類ほどあります。AIはアルゴリズムによって最適な質問を選び、さらに自己学習していく。例えば糖尿病患者が多いクリニックでは糖尿病関連の質問が多くなるというように、クリニックの専門性の違いも反映されていきます」

 このAI問診はすでに70のクリニックと5つの病院で採用されているという。人間の医師の場合、患者が同じように答えても忙しくて掘り下げるべき質問を飛ばしてしまったり、聞き流して判断を誤ってしまうことも起こり得る。そうした事態を防ぐ手立てになることが期待されている。

※週刊ポスト2019年1月1・4日号

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