ダイヤルQ2、ビデオ安売り王、加藤鷹…平成の性の文化史

ダイヤルQ2、ビデオ安売り王、加藤鷹…平成の性の文化史

30代以上には懐かしい景色(写真/Alinari/AFLO)

 平成時代もいよいよ残り2か月を切った。平成の30年間は、テクノロジーも大きく進化したが、男女間の意識も大きく変化した。フーゾク、AV、ラブグッズ、医療、ベストセラー本、メディア……性生活と性意識の変遷を辿る。

【1989~1999年】
 平成前期は、女性誌がセックス特集を組み始め、女性向けセックス指南本がベストセラーになった。それまで御法度だったヘアヌード解禁、イメクラやダイヤルQ2の登場で性風俗も多様化。新しいコンドーム、ED治療薬認可など技術革新が起き、性を謳歌する機運が高まった。

・「女性誌『an・an』が初のSEX特集」(1989年)
『an・an』(マガジンハウス)4月14日号にて「セックスで、きれいになる。」と題した初のSEX特集。その後、年1回特集を組みSEXアンケートや官能小説、付録官能DVDなど話題企画で女性の性生活を豊かに導いた。

・電話がつなぐエロ「ダイヤルQ2」登場
 0990の番号から始まるダイヤルQ2は本来、ニュースや電話相談を課金で提供する目的でスタートしたが、ツーショットダイヤルやテレクラに利用され大ブームとなった。

・新たな性風俗「イメクラ」登場で男性の妄想肥大化(1991年)
 池袋を中心として東京圏で誕生したイメージクラブ(イメクラ)。最初は夜這いや痴漢といった倒錯プレイを提供する業態だったが、コスプレや性感ヘルスの要素が加わり、非日常的な妄想を叶えられる場として普及。レースクイーンイメクラなどもあった。

・「ビデオ安売王」1000店突破で激安AVが普及(1993年)
 当時AVの価格が1万5000円の相場だったのに対し、商品の大半が3000円ほどと安価に購入できることが評判になり、最盛期には1000店以上の店舗数を誇った。

・ゴムでないコンドーム「サガミオリジナル」新発売(1998年)
 相模ゴム工業が世界初ポリウレタン製コンドーム「サガミオリジナル」を発売。ゴム臭がなく“着けてないような”薄さは斬新で、コンドーム着用への抵抗感を減らした。

・ED治療薬「バイアグラ」新発売(1999年)
 米・ファイザー社が開発した勃起不全(ED)治療薬「バイアグラ」が厚生省から医療用薬品として認可を受け、日本国内での製造販売を開始。“夢の新薬”とマスコミでも取り沙汰され、男性の「生涯現役」に大いに役立った。

【2000~2009年】
 男性のバイブル雑誌の休刊、女性向けラブグッズやAV、電マ、大人のデパート、新感覚オナカップの登場などアダルトグッズの誕生が目立った。一方、大物政治家の愛人暴露グラビア、有名大学強姦サークルなど日本が震撼したセックススキャンダルも頻発する。

・秋原葉駅前に大人のデパート・エムズがオープン(2001年)
 2001年に東京・秋葉原駅前で6階+地下1階建て大人のデパート・エムズが創業。2006年には外装が爽やかな緑色にリニューアルされた。ラブグッズの殿堂としてアキバのランドマーク的存在に。

・自民党幹事長の愛人が暴露グラビア(2003年)
 当時の自民党幹事長・山崎拓氏の行為中の全裸写真や音源、性癖までもが愛人により暴露される。本誌・週刊ポストでも「告白グラビア」を掲載(2003年5月2日号)。

・早大イベントサークル「スーパーフリー」輪姦事件(2003年)
 早稲田大公認のイベントサークル「スーパーフリー」による集団強姦事件が発覚。代表者を頂点とする確立されたヒエラルキーと犯行システムが注目されたが、有名大学のサークルによる性暴行事件はあとを絶たない。

・若者のファッションも性も導いた『HDP』が休刊(2004年)
 かつては恋愛マニュアルや性のバイブルとして童貞や若者から重宝された『ホットドッグ・プレス』(講談社)が12月に25年の歴史の幕を閉じた。最盛期は発行部数70万部だった。

・男性用オナカップ「TENGA」発売(2005年)
 7月、松本光一氏が創業した株式会社TENGAより、オナニーグッズのイメージを一新するオナカップ「TENGA」発売。「オナニーの未来が、やってきた」というキャッチフレーズと共に、性能や使い勝手を追求。洗練されたデザインも人気を博し、現在までに累計出荷本数が7500万本を超す爆発的なヒットを記録している。

【2010~2019年】
 大物グラビアアイドルから現役の国民的グループアイドルまでがAV出演を果たし、NHKも朝の情報番組でセックスを取り上げた。医師のセックス指南本、女性用バイブ、膣の快感を取り戻す施術など女性が能動的に性を楽しもうと貪欲になった。

・産婦人科医のセックス指南本が大ヒット(2010年)
 産婦人科医・宋美玄氏の著書『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社)が累計で70万部突破。一般的な女性の視点を重視した、カップルでも読める性指南書は斬新だった。他にも『ちつ☆トレ』(マガジンハウス、荻原かおる著)など女性発信の性指南書がブームに。

・トップグラドル小向美奈子がAV出演(2011年)
 グラドルからストリッパーとしての活動を経て、“スライム乳”小向美奈子が衝撃のAVデビュー。累計販売本数20万本、この年最も売れたAVに。

・NHK『あさイチ』でセックスレス特集(2011年)
 NHK『あさイチ』で夫婦間のセックスレスを取り上げた10月19日の放送が話題に。有働由美子アナが膣トレーニングマシンを体験し「あっ! あっ!」と声を上げるなど、NHKらしからぬ番組内容が賛否を巻き起こし、番組に寄せられたFAXやメールは2000通を超えたという。

・潮吹きを普及させたAV男優・加藤鷹が引退(2013年)
 AV草創期から活躍した出演1万5000本超えのAV男優・加藤鷹が25年の男優人生に幕を下ろした。“ゴールドフィンガー”を武器に女優をビショビショにするテクニックは絶品で、一般人のセックスにも「潮吹き」を浸透させた。

・週刊誌の「死ぬまでSEX」特集ブーム(2013年ごろ)
 本誌・週刊ポストや『週刊現代』が中高年向けの“セックス特集戦争”を繰り広げた。「いくつになっても性生活を楽しんでもいい」というメッセージは性愛に悩みを抱える読者を勇気づけた。

・門脇麦が映画『愛の渦』で壮絶な濡れ場を披露(2014年)
 若手女優・門脇麦がほぼ全編ヌードで出演した三浦大輔監督の映画『愛の渦』が公開。東京・六本木のマンションで毎夜繰り広げられる乱交パーティに参加する女子大生役を演じ、現代日本人の性嗜好の一側面を見事に表現した。

・現役の人気アイドルがAV界に進出(2015年)
 芸能人だけを起用するAVメーカー「MUTEKI」から2015年に元国民的アイドルグループの三上悠亜、翌年には人気グラドルの高橋しょう子がデビューし共に大ヒット。全盛期を迎えたアイドルがAVに転身する時代の象徴的存在に。

・AV出演強要問題が社会問題化(2016年)
 NPO法人「ヒューマンライツ・ナウ」がAV出演者の人権侵害を告発する報告書を発表し、AV出演強要問題が社会問題として注目された。以後AV業界では健全化のための環境整備が進められている。

・#MeToo運動の波が日本にも到来(2017年)
 フリージャーナリストの伊藤詩織氏が準強姦被害を告発。ハリウッドから各国へ広がった性被害告発運動「#MeToo」と連動し世界中が関心を寄せる。

取材・文■PAD

※週刊ポスト2019年3月15日号

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