「たかが胸やけ、ゲップ」と放置すると食道がんのリスクも

胸やけやゲップ放置で命を落とすことも 逆流性食道炎には食道がんのリスクと医師指摘

記事まとめ

  • 胸やけやゲップを放置していると、重大な疾患に繋がって命を落とすこともあるという
  • 逆流性食道炎が続くと"バレット食道"という状態になり、腺がんができやすくなるそう
  • 腺がんは扁平上皮がんに比べて発覚しにくく、今後は割合も増えていくと見られている

「たかが胸やけ、ゲップ」と放置すると食道がんのリスクも

「たかが胸やけ、ゲップ」と放置すると食道がんのリスクも

たかがゲップとあなどるな

 飲食のたびに胸やけを覚え、毎回飲みすぎ、食べすぎを反省しては繰り返す人もいるかもしれない。だが、「たかが胸やけ、ゲップ」と放置していると、重大な疾患につながり、最悪の場合は命を落とすこともあるというから、決して甘く見てはいけない。

「逆流性食道炎」と呼ばれるこの病気について、おおたけ消化器内科クリニック院長の大竹真一郎医師が説明する。

「逆流性食道炎患者の半数に睡眠障害が現われるといわれています。横になると、胃液の逆流が起こりやすくなり、睡眠中でも胃の内容物が口に戻ってくるなどして眠りが浅くなる。良質の睡眠や食事を得られないことは生活の質の低下につながります。また、胃液の逆流の不快感から食欲の減退が起こることも多い」

 国立国際医療研究センター国府台病院の上村直実名誉院長が警鐘を鳴らすのはがんリスクだ。

「逆流性食道炎が続くと、食道の粘膜が、胃と同じような、酸に強い上皮に置き換えられる『バレット食道』という状態になってしまう。この状態になると食道の胃に近い部分に『腺がん』ができやすくなります」

 日本人がかかる食道がんの9割は「扁平上皮がん」という腺がんとは異なるタイプのがんだが、逆流性食道炎が日本より多い欧米では「腺がん」が5割に及ぶ。

「腺がんは扁平上皮がんに比べて発覚しにくい。食の欧米化が進み高脂肪食を食べるようになった日本でも、今後は腺がんの割合が増えていくだろうとみられています」(同前)

 逆流性食道炎は30年前に比べ罹患率は10倍になり、まだ診断を受けていない潜在層を含めると患者数は1500万人になると推定されているが、増加の背景には「医療技術の進歩」も関係している。

 じつは、逆流性食道炎が増加した一因として挙げられるのがピロリ菌除菌だ。

「2013年に同菌に対する除菌治療の保険適用が慢性胃炎にまで拡大されたことで除菌者が増加。高齢者でも胃酸の分泌が高く維持される人が急増したのです」(上村医師)

 ピロリ菌は胃がんや胃潰瘍、胃炎などの原因菌であり、もちろん除菌したほうがいい。除菌薬は日本人の胃がん死を大幅に減らした立役者だが、その意外な“副作用”がこの逆流性食道炎なのだ。

 ピロリ菌除去で胃がんのリスクを取り除いたはずが別のがんのリスク要因になりかねないとは皮肉である。

※週刊ポスト2019年4月26日号

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