39歳婚活女子 気持ちが冷めた50歳男性の「食後のひと言」

39歳婚活女子 気持ちが冷めた50歳男性の「食後のひと言」

婚活中、気持ちよく奢る、奢られるのは難しい……。

 男女間における論争の一つに、奢り・奢られ論争がある。二人の関係性がデートなのか、友人なのか、ビジネス上なのかによって「正解」は変わってくるだろうが、では婚活中の場合はどうなのか。39歳、凜々子の場合。

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◆「このお店はリーズナブルじゃないんだよ」

 婚活中の39歳、IT系企業で働く凜々子(りりこ)さんは、マッチングアプリで出会った男性と数回デートを重ねたが、破局した。二人の価値観の違いをあらわにしたのは、デートの際の奢り・奢られ問題だった。ことの経緯はこうだ。

 凜々子さんがマッチングアプリで正樹(まさき)さん(50歳)からアプローチを受けたとき、「年上すぎる」と思った。だが、マメな正樹さんからは、ていねいかつ、長すぎないメールがたびたび届き、そのやりとりは凜々子さんにとって、「すごく楽しくもないが、苦痛でもない」ものだった。凜々子さんが見に行った映画を、たまたま同じ日に正樹さんも見に行ったりしていて、趣味もあうなと思うようになっていた。

 気づいたら、メールを初めて1カ月が経過。「今度、軽くお茶でもどうですか」という正樹さんの誘いに、自然にイエスと答えていた。

 最初のデートは、凜々子さんの自宅近くにできた新しいカフェでお茶をした。休日の午後だった。映画やドラマなど、共通の話題で盛り上がり、思ったほど年齢差を感じなかった。隣の駅に、コーヒーが好きだという正樹さんがお薦めのカフェがあるというので、ほどなく、二回目のカフェデートをした。マメで慎重な人、というのが、正樹さんの印象だった。

 二回目のデートで、今度は夜、どうですかと誘われた。ワインが美味しいビストロがあるのだと。そこで事件が起きた。

「食事とワインはとても美味しかったんです。平日だからか、彼はわりあい仕事の話をしていましたが、その話も興味深いものでした。で、帰り際、僕が選んだ店なので、今日は僕が払うよ、と彼が言うので、ありがたく奢られることに。飲んだのは、グラスワイン3杯くらいかな。普段はもっと飲むのですが、私にしては遠慮しました。まあ、デートだったし、奢ってくれるような気がしていたので」

 これまでのカフェデートも正樹さんが支払ってくれていた。今日の店は、コーヒー一杯と値段が違うことはわかっていたが、高級フレンチではないのだから、50歳の正樹さんにとってはそれほど負担ではないだろうと、凜々子さんは踏んだ。正樹さんは、大企業勤務ではないけれど、定年まで勤め上げそうな堅実なサラリーマンだった。

 ところが、「お店を出た瞬間、彼に言われたんです。このお店はリーズナブルじゃないんだよ、と」

 釘を刺すような物言いに、え?え?と、凜々子さんの頭にクエスチョンマークが並んだ。

◆年上、年収も上の男性のプライド

 2人が出会ったマッチングアプリに正樹さんは自分の年収を載せていた。正樹さんのそういうところに、凜々子さんは誠実さを感じてもいた。そしてその年収は、ビストロ店で女性に奢っても、財布が痛むような年収ではないと、凜々子さんは捉えていた。

「彼は年も上だし、私より年収も上だし、私が払うと彼のプライドを傷つけるというか、むしろ嫌がられるかなと思ったんですよね。でも、そうじゃなかったんでしょうね。奢ってもらって当然、という態度に見えて、カチンときたのかな」

 そう解釈した凜々子さんは、次のデートで会うなり、「今日は割り勘で」と言った。そして、割り勘なのだからと、遠慮なく飲んだ。しかし、トイレに行っている間に彼は支払いを済ませていた。私も払いますと言ったが、彼は不機嫌そうに、「今日もリーズナブルじゃなかったけどね」と言った。

「だから、払うって言ってるじゃないですか!」

 気付いたら声を上げていた。お酒の力も少なくなかっただろうと凜々子さんは振り返る。

 その後、口論になり、正樹さんの、自分は女性にお金を出してもらいたいと思ってるような小さい男じゃない、けれど、自分が払ってるのは安い金額じゃないことを言わずにはおられない、そんな面倒なプライドを感じた。そして気持ちが冷めていった。

◆条件付きの奢りはめんどう

「こんな高いお店に連れて行ってくれて、そして奢ってくれてありがとうございます、みたいな感激を求めていたのかな。はあちゅうさんが著書で、ごちそうしてもらったら、4回は『ごちそうさま』を言おうと書いていたのを思い出しました。でも、私はアラフォーだし、私だって働いているし、無理して奢ってもらいたいとは思わないんですよね。無理には、経済的な無理もあるけど、気持ちの問題も大きい。条件付きの奢りって、めんどうだと思う女の人は多いんじゃないかな」

 とはいえ、「奢ってもらって嬉しい気持ちがないわけではない」とも凜々子さんは言う。女のほうにだってプライドが見え隠れする。

「最初から割り勘にされたら、それはそれで引いたかもしれない。そこは難しいです。やっぱり相手の年齢とか年収とかを抜きには語れないのかな……」

 この後、もやもやが晴れない凜々子さんは婚活仲間3人にリサーチをした。三者三様の意見からは、奢る・奢られ問題は、女性側のスタンスも実に多様だということが見えてきた。

◆28歳、後輩美女の場合「奢ってもらうのは当然」

 30歳までに結婚! という目標を掲げる彼女の場合、若さと美貌を武器に、高スペックな男性にターゲットを絞って婚活をしているという。年齢35歳まで、年収1000万以上、大学は東大早慶(できれば東大)、これが彼女の希望だ。

「婚活デートで奢ってもらうのは当然です。そういう価値観でない男性とは知り合う必要はないと思っています。ただし、私が言ってるのは、男は女に奢るべき、ということではないですよ。自分が狙っている女、いいなと思ってる女には奢るべき、と思っています。私はそう思われるよう努力しているし、自分磨きを怠っていません」

◆39歳、同級生の友達の場合「見返りを求められるのがイヤ」

 フリーランスで働いている彼女は、結婚相手というより、共に生活するパートナーを求めている。生活が不安定なのもあって、一人で生きていくのは不安がある。しかし、自由な時間は必須。そんな彼女が求めるのは精神的・経済的には自立しあった関係だ。

「結婚した後はともかく、デート中の段階で奢られるのは負担です。絶対に自分の分は自分で出したい。奢ったでしょ、という感じで、その後、いろいろと見返りを求められるのが嫌なんですよね。そうじゃなくても、奢って“あげた”という感情を抱かれること自体が気持ち悪い。たかがお金で、なんで優位に立たれなくちゃいけないんだよ、って。奢られる=愛されてるって思う女のほうにも問題があるかもしれませんけど」

◆45歳、職場の先輩の場合「女の子扱いしてほしいけど……」

 結婚願望はあるものの、仕事を優先し、縁がなかったという職場の先輩。45歳には見えない若さだが、婚活は難航している。だが、長年婚活をしている年長者ならではの知恵があった。

「本音を言えば奢ってもらいし、たぶんそれは、女の子扱いしてほしいという気持ちなんだけど、年齢も年齢なので、そういうスタンスで臨まないように気を付けてはいます(笑)。長く婚活をして学んだのは、できるだけ早めに、奢る・奢られるのスタンスについて、相手と話し合うのがいいということ。友達がこんなことで彼氏と揉めたんですって、とか、友達の話にして、相手の考えを探るとか。あまり露骨に話すと、失敗することもあるから難しいですけどね」

 男だから奢って当然、という時代では、もはやないだろう。しかし、奢るという行為には、時に、そこで支払う金額以上のコミュニケーションが発生しているように見受けられる。言葉以外のシグナルをどこまで読みとることができるかが、奢る・奢られる問題を地雷にせず、うまく乗り切っていく術かもしれない。

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