筆跡診断士がみる、新元号「令和」&2018年の漢字「災」

筆跡診断士がみる、新元号「令和」&2018年の漢字「災」

「令和」を筆跡鑑定(Sipa USA/時事通信フォト)

 江戸時代の儒学者・佐藤一斎は、「書には人となりがあらわれる」との言葉を残したという。すっかり手書きを見かけることの少なくなった昨今でも、文字を見れば書いた人の横顔が思い浮かぶ感覚はまさにこのことだ。

 日本筆跡心理学協会認定の筆跡診断士であり、国内では数少ない筆跡アドバイザーとして活躍するのが書家の高橋史氏だ。

「筆跡診断は欧米では国家資格になっていて、フランスではグラフォロジーと呼ばれています。行動心理学と統計学とを融合させた学問のひとつなのです」

 グラフォロジーと呼ばれる筆跡心理学の歴史は約400年前、イタリア・ボローニャ大学のカミール・バルディ教授が1622年に発表した論文が嚆矢とされる。日本でも戦後に筆跡診断の研究が始まり、近年、日本筆跡心理学協会から、筆跡と性格の関係は96%一致するという研究データが発表された。

 筆跡診断は、脅迫文から犯人をプロファイリングするなど捜査や裁判に用いられる。高橋氏は、文字から性格診断をしたり、書癖を修正して運気を高めるアドバイスをしたりと、きれいな字を書くのとは違った角度から、手書きの奥深さを伝える活動を続けている。

 どんな文字でも診断する高橋氏が、誰もが目にした「あの字」を書いた人の「人となり」をご覧いただこう。

◆新元号「令和」発表の文字

【総評】菅義偉官房長官が発表した新元号を書いたのは、内閣府人事課の辞令専門職を務める茂住修身氏。「金運や幸運を招く筆跡であり、見る人にも同様の良いイメージを持たせます。この書は国民みんなが目にしており、令和時代は経済的に豊かな時代になるのではと期待を感じさせる字です」(高橋氏、以下同)

【1】文字の書き出しの「起筆」部分にぐっとひねりが入る字を書く人は、信念が強いタイプ。起筆のひねりには、決めたことを最後まで貫き通す意志の強さが表われている。新しいことを始める際におすすめの筆跡。

【2】線と線が接する左上角の「接筆」部分は、お金や幸運の入り口。「口」(四角)の左上が開いているとお金や良いものがどんどん入ってくるとされる。金運のよい筆跡の代表格だ。

【3】線と線が接する左右下角の「接筆」部分はお金の出口。左下がきちんと閉じている字は、お金がきちんと貯まるとされる。お金を貯めたい人や浪費癖のある人は、字を書く際に意識的に閉じるようにするとよい。

◆2018年の「今年の漢字」=災

【総評】2018年の「今年の漢字」を揮毫したのは京都・清水寺の森清範貫主。「見た人を暗い気持ちにさせる筆跡です。『災』という字を、1年を代表する漢字として書かなければいけないことに、森貫主も悲しい気持ちになられていたのかもしれません」

【1】上の「冠」部分と下の「脚」部分がくっついており、隙間がない。上下がギュッと詰まっている字は、ゆとりがない不安定な印象を与える。「冠」部分と「脚」部分に空間があるほど、ゆとりを感じさせるので、空間を作るよう意識して書くと明るい印象になる。

●たかはし・ふみ/1979年生まれ、東京都出身。セミプライベート書道・ペン字レッスンを実施する書道サロン「墨麗」主宰。書を通して麗しき社会の実現に貢献しようと、書道家のかたわら筆跡アドバイザーとしても活躍中。

※週刊ポスト2019年5月31日号

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