Instagramに流れる医療情報を盲信すべきではない理由

Instagramに流れる医療情報の盲信に警鐘 育児中のママたちに不適切な医療情報拡散も

記事まとめ

  • 最近の若いママたちは、情報を調べるときにもInstagramで検索するという人は多いそう
  • 子どもに乳児湿疹が出た20代のママは、原因やステロイドのリスクまで調べるように
  • Instagramには標準ではない医療情報が溢れていて、子どもに甚大な被害を与える危険も

Instagramに流れる医療情報を盲信すべきではない理由

Instagramに流れる医療情報を盲信すべきではない理由

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 ネットでの調べものと言えば検索エンジンのGoogleで調べる「ググる」が一般的だった。ところが、広告ばかり検索上位になる、検索結果が多すぎて分からなくなるなどの理由から、次第にSNSで検索をする人が増えている。女性ユーザーに人気が高いInstagramでは気になる言葉にハッシュタグ(#)をつけて検索するのが一般的だが、その検索結果が極端なこともある。例えば、「#ワクチン」と検索すると、「#ワクチン反対」「#ワクチン副作用」「#ワクチンの危険性」などが並び、投稿には、ワクチンの危険性や不要をうたう主張が多数見つかる状態だ。なぜこのような状態となっているのか。SNSの最新事情に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんが、Instagramにおける医療情報の得方について解説する。

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 最近の若いママたちには、LINEとInstagramしか使わないという人が増えている。情報を調べるときにもInstagramで検索するという人は多い。

 子どもに乳児湿疹が出て不安になったある20代のママは、Instagramで検索。検索しているうちにどんどん不安になり、アトピーの原因やステロイドのリスクまで調べるようになっていたそうだ。

「夫に相談することで落ち着けましたが、もし一人だったら極端な行動に走っていたかも」という。「調べれば調べるほど怖い情報が見つかって、湿疹は自分のせいかもと思ってしまって」。その後、お子さんの湿疹が落ち着いたことで冷静になれたという。このような話は、けして例外的なことではない。

◆Instagramに並ぶ極端な文章

 Instagramには、標準ではない医療情報が溢れている。たとえば、「#自然派ママ」「#自然派育児」「#アトピー」「#乳児湿疹」などがついた投稿を見ていくと、「水道水は安全ではない」「果糖はコカイン並みに危険」「シャンプーやボディソープは経皮毒」などの極端な文章が並んでいる。

「ワクチンは有害だから子どもに摂取させてはいけない」という考えの投稿も少なくない。あるアカウントは「水銀やホルマリンが含まれている」などとワクチンの有害さを熱烈に語った上、「全国の方に正しい知識を伝えている」「相談や質問があればメッセージを」と結んでいる。

 またあるアカウントは食品添加物を敵視しており、マグロ、消臭剤、食卓塩、コンビニおにぎり、ハム、アーモンド、りんごなど様々なものを「危険」と断言している。投稿は毎回、「海外で正しい情報を得たことで余命宣告を克服した」という体験談で結ばれている。毎回約200件あまりの「いいね」や、「知りませんでした、ありがとうございます!」などの好意的なコメントがつく状態だ。

 ブログなどにこのような極端な投稿をしていたら、批判コメントもつくだろう。ところがInstagramでは賛同や共感のメッセージだけが並ぶ状態となっている。

◆クローズドな空間内での交流に注意

 なぜInstagramはこのような状態となってしまうのだろうか。これは、Instagramの特性が関係している。元々SNSは、同じような性質の人同士がつながりやすい場だ。さらにInstagramは、ツイートが検索対象となるTwitterなどと比べてクローズドな空間となっているためだ。

 震災時などには、不安で必要な情報が得られず、常に情報を求めている状態となるため、デマに惑わされやすい状態となることはよく知られている。

 同様に、育児中のママたちは、核家族化が進みかつてのように親世代から協力や情報を得づらくなっている。育児には心配事や悩みがつきものであり、常に情報を求めている状態だ。「大切な子どもに何かあってはいけない」という思いから、SNS内の極端な情報にも飛びついてしまいがちになるのではないか。

◆どのような医療情報か見極めて利用を

 適切な医療情報を得たり、適切な医療行為を受けないとどのようなことになるのか。たとえば、「Journal of the National Cancer Institute」に発表された論文によると、ガンの標準的な治療をせず代替医療を選んだ人が5年以内に死亡する割合は、標準治療を続けた人々と比べて最大で5.7倍も増加するという。

 日本でも2009年に、ホメオパシーという民間療法を信じる助産師が、新生児に必要なビタミンKを投与せず、ホメオパシーで使われるビタミンKの効果を持つとされる砂糖玉「レメディ」のみを与えたことで、ビタミンK欠乏症による出血で死なせる事件も起きている。育児中のママたちに不適切な医療情報が広まることで、子どもに甚大な被害を与える危険につながりかねないのだ。

 このような状態を憂い、現役医師などが「#インスタ医療団」というハッシュタグをつけてInstagramなどのSNSやブログなどで適切な医療情報を発信している。育児中に不安に襲われたら、このような情報や、省庁などが公開している情報を参考にするといいだろう。

 大切な子どものことだからこそ、心配になったり不安になるのは当たり前のことだ。心配や不安を一人で抱えたり、極端な情報に振り回されるのでなく、家族や医師などに相談して解決するようにしてほしい。

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