ポツンと一軒宿、18代目が守る開湯480年超の名湯

ポツンと一軒宿、18代目が守る開湯480年超の名湯

渓谷美を仰ぎ見ながら入る温泉は開放感も抜群

 宿に向かう山道は車がすれ違うのが難しいほど狭く、ガードレールのないカーブが続く。熊出没注意の看板や急勾配を知らせる道路標識などに出会うたびに、吾妻連峰の山中、山形の温泉としては最高地の標高1250メートルにある姥湯温泉 桝形屋へ向かっていることを実感する。

 JR峠駅から車で約25分(徒歩だと2時間20分)、仙境の中にひっそりと建つ宿が見えてくると、道は駐車場前で行き止まりに。風にのって硫黄のにおいが漂ってくる。その先、宿まで250メートルは徒歩でしかアプローチできない。自家発電小屋を過ぎた後の玄関手前100メートルの登り坂は運動不足の身にはこたえるが、ようやくたどり着けば達成感と高揚感に包まれる。

 出迎えてくれたのは18代目の遠藤哲也さん。後奈良天皇時代の天文2(1533)年、先祖の遠藤大内蔵が発見した温泉を守り続けている遠藤家の当主だ。コンビニのある米沢市街まで車で50分、学校にも通える距離でないため、営業シーズン中は子供たちとは別居している。

「私自身も園児のころから両親とは離れて暮らしていました。息子も継いでくれることを願っています」と遠藤さん。雪が降り始めるころ山を降り、家族水入らずの季節を迎える。

 露天風呂は混浴2つ(女性専用時間帯あり)、女性専用1つの計3つ。夕食には、山菜など地元の山の幸をはじめ、米沢牛のしゃぶしゃぶ、米沢鯉の甘露煮や洗いのカルパッチョなど山形名産を使った料理が並ぶ。

【姥湯温泉 桝形屋】
住所:山形県米沢市大沢姥湯1
1泊2食:2名1室 大人1名 1万3650円(入湯税込)〜
休:11月上旬〜4月下旬 ※2019年の営業は11月5日まで
アクセス:JR奥羽本線・峠駅から宿の駐車場まで送迎あり(宿泊客のみ)、同駐車場から徒歩約250m。マイカーの場合も同様。

取材・文■上田千春 撮影■太田真三

※週刊ポスト2019年9月20・27日号

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