蔓延するインフルエンサーのステマ その相場と見分け方

インフルエンサーによるステルスマーケティングが蔓延 ミキ、木村祐一らの投稿話題に

記事まとめ

  • 京都市が、吉本興業のミキとツイート1回につき50万円支払う契約を結んでいた騒動
  • インフルエンサーのツイート価格はフォロワー1人あたり5円程度のことが多いという
  • ステマ投稿のURLは複雑で長いアフィリエイトリンクになっているそう

蔓延するインフルエンサーのステマ その相場と見分け方

蔓延するインフルエンサーのステマ その相場と見分け方

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 京都市が、吉本興業に所属する芸人ミキの二人に1回につき50万円支払う契約を結んでいたことが明るみに出た「ステマ」問題。口コミを装ったステルスマーケティング、通称「ステマ」ではと批判が集まる一方で、何が悪いのかという声も上がっている。SNSにおけるステマ事情に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんが、広告の送り手も受け手も、誰も幸せになれないステマの実例、見分け方までを解説する。

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「ステマ」として批判を浴びたミキのツイート内には、「#京都市盛り上げ隊」「#京都市ふるさと納税」などのハッシュタグがついていた。文面を見ると分かるが、ミキが京都出身がゆえに地元の情報を私的に発信しているように受け取れるような発信の仕方だ。

 この事案では他にも、木村祐一さん、ナダルさん、タナからイケダなどに同様にツイートを依頼したという。なお、50万円という料金は、一般的にインフルエンサーのツイート価格はフォロワー1人あたり5円程度のことが多いため、20万人超のフォロワーを持つミキのアカウントなら、特別高いというわけではない。

 京都市の説明では、ステマは「主旨が何かを誤認させるもの」というものだととらえており、京都国際映画祭など京都市そのものを盛り上げる目的から逸れていないので該当しないという。だが、発信者が個人の意志で発信したのか、それとも金銭の授与があったのかによって、受け手のとらえ方は異なるはずだ。

 本来、広告は受け手がどうとらえるのかに対して慎重になるべきだろう。質の悪い広告を防ぐために業界団体も黙ってはいない。広告代理店などで構成する「WOMマーケティング協議会」が作成した広告ガイドライン「WOMJガイドライン」では、金銭や利益供与がある場合は「プロモーション」「PR」「AD」などと明示することが求められている。ところが、問題のツイートにこのような表記はないため、ガイドラインに照らし合わせれば、京都市が依頼した事例はステマに当たると言えるだろう。

 前述のガイドラインだけでなく、景品表示法上でも、2012年に改正された「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する 景品表示法上の問題点及び留意事項」で、表示された内容が優良誤認 又は有利誤認にあたる場合についてステマは問題となる事例として追加されている。法律の面からも、やはり京都市の事例は広告であることをもっと明らかに明示すべきだった。

 今回の事例はTwitterだったが、ステマはTwitterだけの話ではない。実はInstagram、YouTubeなど多くのSNSやブログで広く行われている。

◆「信じて相談していたのに悔しい」

 これまでにも様々なSNSでステマが行われ、多数の問題が起きている。

 2017年、ある30代女性はダイエット中のアラサーだとプロフィルにあるAさんのアカウントをフォローした。そのアカウント主は、青汁ダイエットで10キロも痩せたという。

「写真がインスタ映えしていないところがむしろ信頼できたし、親切に質問に答えてくれたので信じていた」(フォローした30代女性)

 しかしAさんは、Twitterアカウントであえて10キロ太ってからダイエットしたことを告白し、Instagramは勤務先の会社が運営する青汁情報サイト宣伝用だと暴露、そしてInstagramのフォロワーについて愚痴を言っていた。このTwitterとInstagramの両方を偶然、同一人物によるものだと知らずにフォローしていたネットユーザーによって、匿名掲示板で告発され、その情報が広がってネット炎上が起きていた。

「信じていたのに裏でバカにされていたのが悔しい。ステマは有名人がすると思い込んでいた」とフォロワーだった女性は悔しさをにじませる。ステマを連投していることに気づかされ、目にするとモヤモヤした気持ちになるため、そのファンだった芸能人のファンではいられなくなってしまった体験を語る人もいる。

「凛として好きなアイドルがいた。彼女がすすめるものは何でも買っていた。でも最近はやたら宣伝ぽい投稿ばかりになっていて、あれと思っていた」とある40代女性は言う。

 ある時、同時期に他の芸能人たちと同じ商品を紹介していることに気づいて、我に返ったそうだ。「彼女はステマの常習者に名前が挙がるようになった。離婚して色々と苦しいのかもしれないけれど、ステマはしてほしくなかった」

 WOMマーケティング協議会によるインフルエンサーマーケティング実態調査(2018年11月)によると、企業の依頼を隠して商品やブランドの紹介を行ったステマに対しては、51.9%と半数以上が「不快に感じる」と回答。続いて「裏切られた感じがする」(28.6%)、「商品やブランドが嫌いになる」(24.7%)、「わざとらしさを感じる」(23.7%)などとなった。不誠実な広告は、誰も幸せにしない。

 一足先にSNSでのステマが問題になっているアメリカでは、公正な取引を監督・監視する連邦取引委員会(FTC)が度々セレブやインフルエンサー、企業に対してステマをしないように警告文を送付していると言われており、2016年にはカーダシアン姉妹がFTCから4万ドルの罰金支払いを命じられた。以降、彼女たちをはじめアメリカのインフルエンサーたちは、宣伝のInstagram投稿には「#ad」「# sponsored」をつけている。しかし残念ながら、日本の有名人によるInstagram投稿にはそういった誠実さはまだ浸透していないようだ。

 ステマっぽさは投稿ににじみ出ることが多いものだ。前述の例のようにうまく装っても、バレてしまったときには当人と商品に対して大きなマイナスイメージを与えることは知っておくべきだろう。

◆騙されたくないステマの見分け方は

 ステマに気づかされたことを、嫌な体験として語る人が少なくないのに、それでもなくならないのはなぜか。やはり一定の需要と供給があるからだろう。

 かつてYouTuberのシバターさんは、「格安で商品を紹介してほしい」という話がくるが、動画内で「ステマの相場はチャンネル登録者数×1.5円」と告白した。当時、シバターさんのチャンネル登録者数は26万人くらいいたため、その時点で「40万円程度」と明言していた。なお、現在は104万人のため、150万円になるだろう。

 Instagramの場合、広告費の相場は1フォロワーあたり2〜4円ほどだという。料金はフォロワー数が多いほうが依頼も多く、高額になる傾向にある。しかし、ここ数年はInstagramの人気が高く、フォロワーがそれほど多くなくても依頼がくるようになっているそうだ。

 とはいえ、ステマは不快だと感じる人にとっては、ステマによって商品購入したことが購入後に判明する、というのがもっとも避けたい事態だろう。最悪の結果を避けるためには、あらかじめステマを見分けるのがもっとも効果的だ。

 では、ステマ投稿の見分け方はどうすればいいのだろうか。芸能人のステマ投稿は比較的わかりやすい。広告のウリ文句をそのまま使っていて説明口調のことが多く、買える店について説明したり、オンラインショップのリンクを貼ったりしているためだ。

 URLもシンプルなものではなく複雑で長いアフィリエイトリンクになっており、売れた分が収益になるようになっていたりすることが多い。また、同時期に他の芸能人による同じような投稿が増えることも多いので、検索結果を時系列で見るなどして参考にしてほしい。

 気になるけれど怪しい投稿を見つけた場合は、商品名で検索して口コミを調べるようにすると、実際の評判がわかるだろう。ステマで残念な商品をつかまされないよう、リアルな口コミを得た上で判断するようにしてほしい。

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