高田文夫氏、又吉直樹の言葉に「やっぱり芥川賞作家は違う」

高田文夫氏、又吉直樹の言葉に「やっぱり芥川賞作家は違う」

又吉の言葉に高田文夫が唸った(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、書店や駅で出会った「読書の秋」についてお送りする。

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「なんで東京でマラソンやらねぇんだ」。バッハは死ななきゃ治らねぇってか……アッこれは浪曲「森の石松」での名文句「バカは死ななきゃ治らねぇ」のシャレです。近頃はおやじギャグなぞと言われ、洒落も説明しなくちゃならない。

 さて読書の秋です。恒例神田神保町は古本まつり開催中。ワゴンながめながらプラプラ行けば大型書店。そうだ、私の新刊『面白い人のことばっかり!』(小学館)発売日だと気付き、さてどの辺にちゃんと並べられているのだろうとながめれば、目に飛び込んで来たのは600頁を越えるぶ厚く貫録のある本。「ハハーッ」とひれ伏し手に取る『全著作〈森繁久彌コレクション〉1』。

「道」と題して、名優であり文人でもあった森繁没後10年記念での発刊。「自伝」がまとめられている。全5巻の予定のようで2巻は「人」と題して「芸談」がタップリ収められる予定。これだけのページ数、立ち読みという訳にもいかずすぐにお買いあげ。発行は藤原書店。

 なにやらこの導入の仕方、今話題にも問題にもなっている京都と吉本と漫才師ミキの税金使った“ステマ”とか言うヤツとは違いますからネ。本も自腹で買っとります。

 さて私の本はと店内すすめばドーンと積みあげられている本の山が誰の目にも飛び込んでくる。又吉直樹の初の長編小説『人間』がいよいよ発売と盛りあげる。芥川賞を獲った『火花』そして『劇場』に次ぐ『人間』だ。たしかこれは新聞小説。

 想い出した。ひと月前「本が出るので」と私の『ラジオビバリー昼ズ』にゲストで来てくれて、40分程喋って帰って行った。70をとうに過ぎた私のしゃべりの早さと頭の回転の早さに相当びっくりしたようで(まぁ又吉のしゃべりがスローモーすぎるというのもある)、その日の夜「ツイッターみたいなのにつぶやいていたよ」と何人かの知り合いに教えられた。そこに書かれていたのは文学者らしい美しいひびき。曰く『相槌を 言葉が追い越してゆく』すごい。やっぱり芥川賞作家は違う。

 そうそう、もの書きといえば慶應大を出てから『TVガイド』に勤め、以来ひたすらコラム、エッセイを書き続けている泉麻人に、数十年ぶりに地下鉄ホームでバッタリ。東京人としてこの人の書く東京、昭和、テレビ、街歩き本などを信頼。駅の立ち話で泉の連載頁に登場決まり、私のラジオに出てくれてなつかしのギャグフレーズを披露しあう。いま書きおろしで1964年(東京五輪年)の事をひたすら書いているとか。もうひとつの「いだてん」楽しみだ。

■イラスト/佐野文二郎

※週刊ポスト2019年11月22日号

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